第43話

 今、俺は学園の外にいた。


 ククリに言われるがままついてきたのだが、最初は人や家のある街を抜け、更に人すらも見かけなくなり森の中を歩いていた。


「何処に向かってるんだ?」


「うるさい、ククリねえさまの言う通り着いてきて」


 刺々しい言い方だな。

 ククリならともかくリリアには何もしていないんだが……


「すみません……もうすこしで…………あ、つきました」


 着いたと言われても、目の前に広がるのはただの池にしか見えない水溜り。


「付き合うって何なんだ?まさか水遊びか?」


「そんな訳ないでしょ、とにかく、はだかになれっ!!」


「待て待て!なぜ服を脱がせる!?」


「それは脱がないとからきまってるじゃん、もしかして……お風呂に入るの苦手なの?」


 ガキじゃあるまいしそんな訳ないだろ……って、温泉?


「私はほら、もういつでも入れるし」


 いつの間にかリリアは全裸になっていた。

 最初に会った時から思ったが、ククリもリリアも俺よりも、いやラピスコーラルよりも年下かもしれない。


 何処とは言わないが下半身は綺麗にツルツルだし、胸も発育していないに等しい。

 


「リリアちゃん男の人の前で裸になったりしちゃダメだよ!」


「へ?でもヴァルにぃの前では裸になってるじゃん、あ、もしかしてククリねえさまもおふろが怖いんだ!リリアの方がすこしおとなだ!」


「違う、お風呂は大好きだって知ってるでしょ……」


 むしろガキはリリアの方だと思うが。

 ククリにタオルで身体を隠されたリリアは不満そうだ。


「で、温泉に連れてきた理由を教えてもらってもいいか?」


「えっと、それは……ここの温泉は穴場で誰も使わないとっておきの場所だったの……でもつい最近にある事に使われるようになって……」


「ある事?」


「そうそう、なんか。ククリねえさまは教えてくれないんだけど、知ってる?」


「……さぁ」


 確かにここは人目は無いし暖かいから穴場ではあるな……穴場……


「……ちなみに女の方って、黒髪で褐色肌の半獣人だったりするか?」


「はい……でも何で知って……あの……」


「すまない、そいつは俺の知り合いだ。後でここを使わないようにキツく言っておく」


 キャーラめ、こんな女の子を穢して楽しみを奪う真似をしやがって。


「それで私達がはいっている時にみはってほしいの、またあいつが来たらうるさくてゆっくりできないから」


「俺じゃなくてもヴァルカルか交互に見張ってれば入ってこないだろ」


「ヴァルにいさまには教えてない、だってヴァルにいさまは一緒に入ってこようとするし、いっしょにはいったらお湯が汚くなるもん。それに前にリリアがみはってた時はそのうるさい女に無理矢理追い出されたし」


 あいつ、マジで淫乱性女だな……


「わかった、見張ってるからゆっくり楽しんでくれ。これで恩を返せるとは思わないが」


「ほんと?じゃよろしく!!」


「リリア、入る前に身体を綺麗に洗い流して……」


 本当に後でキャーラにはキツくお灸をすけないといけないな。


「それにしても……お湯が汚くなる、か」


 ヴァルカル、同情するよ。

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