第32話
「ラピス!コーラル!」
「了解、
最初からスキルを明かしてくれるとはありがた……いや、罠か?
「さぁ、俺の最強最硬神白銀の皮膚を越えてみろ!!」
……いや、馬鹿だなあれは。
まずは小手調べだ。
下半身を水刃が、上半身を炎で包み込み、誰しもが弱点であるアキレス腱と呼吸を出来なくさせようと一気に攻めてみる。
皮膚は超硬質だろうが集中的に1箇所を狙い、皮膚以外を狙うなら別のはず。
「小賢しい!はぁぁぁぁぁあ!!」
と、思ったのだがヴァルカルが拳を一振りすると一瞬で炎は掻き消され、水に至っては完全に無視されていた。
「ますたー、水は全然効かない」
「こっちも、炎はすぐ消される」
「わかった、ならこれだ!」
瑠璃剣から放たれた大量の水がヴァルクァルの身体全体を覆う。
これで完全に呼吸は出来ない。
後は溺れるだけ……なのだが、これも苦しむ様子が全くない。
すると、ヴァルカルは一気に息を吐く。
「そんなことで……うおっ!?」
ヴァルカルの全身を覆っていた大量の水、それが一瞬で弾け飛んだ。
「その程度の水では溺れることはない!この筋肉のポンプがあるからな!!」
いやいやあの筋肉デタラメ過ぎるだろ!?
「なら次はこれだ、押し潰してやる!ラピス!」
大量の水がヴァルカルの周囲に集まり圧力をかける。
確かに硬くはあるが、それが皮膚だけなら中身は衝撃や圧力には弱いはず。
「がっ!?がぐぅ!?」
そして今度ばかりは苦しいのかうずくまって動かなくなる。
よし、これで……
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!全て同じこと、無駄だぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
水圧で僅かに鼻から出血するものの、ヴァルクァルは再び大量の水は吹き飛ばしていた。
「どうする、ますたー?」
「かてない、マスター?」
「やはりゴールドクラス、雑魚は雑魚ということか……今降参すれば楽に気絶させてやる、だが抵抗すると言うならタダでは済まないだろう」
「降参はしない」
「ほぅ、ならば……半殺しだ!!」
巨大な拳、それに俺は赤い剣を向ける。
「それはこっちのセリフなんだよ、馬鹿脳筋」
俺の目の前に迫る巨大な拳。
しかし、それは俺に届く事なくヴァルクァルは地面に崩れ落ちた。
「なんだ?俺はどうしたんだ…………貴様、何をした!?」
やはりわかっていない、本当脳筋だな。
「これだよこれ、見えるか?」
俺の足元に広がる水、そこに滲む赤。
それはヴァルカルの血液だ。
「何を、こんなただの多少の流血、どうと言うことは……いや、待て……貴様、その赤い剣、いつから持っていた?」
「そうだよ、これは俺の剣じゃない、あんたの血で創った血の剣だ」
物にモテるスキル、それで血に触れたらどうなるか。
流れた血はバルクァルとは別物、だがその流れはバルクァル自身と繋がっている。
そして流血に俺が触れれば血は俺と一体化しようと流れ続け、そうなれば流血が止まらないヴァルクァルは失血で動けなくなっていたという訳だった。
まぁ、多少の出血なんて大したことないと普通は思うからな。
「本当に神白金級かよ?馬鹿だし弱すぎないか?」
「きっ、貴様!調子に乗るなよ!確かに俺は貴様に負けた……だが神白金級の上位3人は別格だ、入学時から神白金であり、そして一度のクラスダウンも無い最強の3人、貴様が勝てる見込みは無い!」
「…………えぇ?」
「貴様、疑っているな!?」
失血で真っ青のはずの顔が真っ赤になるくらいまで怒っているようだがそりゃそうだろ?
めちゃくちゃ強いかと思っていた神白金級の4位がこんなクソ雑魚だったんだからな。
「そうか、そんなに疑うのであれば聞いてみればいい、そのお方にな」
「そのお方?一体誰の……」
「あー、やっぱり来てくれたんだ」
聞き覚えのある声。
それに振り向いてみると、そこにいたのは……フィエ?
「ヴァルカル、君は何をしてるのかな?」
「も、申し訳ありませんグーシュヴァンド様!フィエという奴に招待されたと申すものですから怪しいと思いまして……」
「でもさぁ、その通行書はボクのだよね?君の目は節穴かな?」
完全にヴァルカルが萎縮している。
それほどにフィエ、いやグーシュヴァンドが強いと言うことか?
「まぁいいや、だって君が来てくれたからね!すぐに来てくれるなんて本当に嬉しいよ!あ、でも今日から君は神白金クラスだよね?ならずっと一緒だ!」
そうか、ヴァルカルとの戦いは決闘だった。
一気に神白金級か……だが。
「確かに神白金級に行けるだろうが、辞退する」
グーシュヴァンドとヴァルカルは俺の言葉に唖然としていた。
「えぇ!?何故だい!?神白金級に来れば何不自由は無いし全てが思うがまま、絶対に楽しいよ?」
そうかもしれない。
だが、俺が学園に来た理由はただ楽しい学園生活を送るだけじゃない。
「俺は学園を首席卒業する、だからフィエ……いやグーシュヴァンドも俺のライバル、強ければ尚更な」
それに今クラスアップせずとも神白金級4位の実力がこの程度なら、そこまで苦労せずに神白金級には行けるだろう。
それにシアとノーフィが神白金エリアに行くのはかなり大変だ。
「どうせ変態の君のことだから、女の子絡みで行きたくないとかでしょ?」
「うっ……バレたか」
……というのもあるが本当の所は別にあった。
今のグーシュヴァンドを見て理解した。
俺とグーシュヴァンドは相容れない。
強い弱いでは無い別のそれが何かはわからないが、フィエがグーシュヴァンドと呼ばれた瞬間にそう感じた。
確かにクラスアップすることは首席卒業に近づくことには違いない、だかそれ以上に今神白金級に行きグーシュヴァンドに近づくことは危険だと、そう思った。
「ボクと君は相性が良いと思ったんだけどなぁ、残念だよ」
しかし、グーシュヴァンドはそう言いながらふわふわの髪で俺の顔を包み込む。
「でも、いつでも気が変わったら来ていいからね?君なら大歓迎だからさ。あ!そうだ!ボクの自己紹介が終わってなかったね」
グーシュヴァンドはTシャツの端をドレスの様につまみ、そして恭しくお辞儀をする。
「
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