第30話

「ますたー!あれ食べたい!おにく!」


「マスターあれは?甘いかおり、美味しそう」


 適当に服買い着せてゴールドエリアを歩き始めると、すぐラピスとコーラルは色々な店を回り始める。


 まぁ、それも納得だ。


 若干腐臭のあったスラム街的雰囲気があったブロンズエリアとは違い、道は綺麗に整備され、売っていた様々な料理の匂いが食欲をそそった。

 朝市の様な夏祭りの屋台の様な雰囲気と活気、いるだけで楽しくなりそうだ。


 それにゴールドエリアは生徒数以上に人が多く、学園生徒以外の人も買い物や遊びに来ていた様だ。


 まぁ、ブロンズエリアにも来れるのかもしれないが、クラスの料理は半分腐ってる臭いだったし、いけるとしてもあれなら誰も行かないか……


「ますたー、これくれた、一緒にたべよ」


「マスター、これも食べていいって、あーん」


 よくわからん肉の串とわたあめみたいなふわふわしたものを一緒に口に突っ込まれ脳と舌がバグりながら何とか味わっていると、少し気になる人を見つけた。


 噴水側のベンチで仰向けで寝ていた女性。

 そのそばには女性の物であろうバッグに手を伸ばした男子生徒。


 スキルを使っているからかワープしたかの様に手だけがバッグを探っていた。


「よっと……コーラル、の形の炎を出してくれ、トイレで見た俺のだ」


「はい、マスター、完全に再現した」


 バッグを探る手を掴み、そこにコーラルの出した炎を放つ。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!」


 遠くどこかで男の悲鳴。

 火傷の跡を見たら驚くだろうな……俺なら死にたくなる。


「ううん……あれ?君は?」


「盗まれそうになってたからな、気をつけろよ」


「ありがと、君、優しいんだね」


「まぁな、じゃ」


「待ってよ、お礼させてくれないかな?」


「いや、礼が欲しくてやった訳じゃ……」


 羊の様にふわふわした白髪、大きなあくびをしてのんびりとした雰囲気。

 目はタレ目だが小さな顔と高い鼻、当然の如くの美少女。

 それよりも気になるのはその服。

 Tシャツ一枚で完全にノーブラ、下は流石に穿いてるか……多分。


「んー?ボクのおっぱいが気になるのかな?」


「見られると興奮する痴女かと思ったが、違うのか」


「失礼だねー、この方があったかいんだよー……そうだ、君もボクの服の中でお昼寝……する?」


 Tシャツの胸元をグイと広げて谷間を見せてくれる。


「じゃあ、お言葉に甘えて……」


 グイと服を引っ張ると、白く美しい下乳。

 肌が白いせいか薄く血管の浮き出ていたのがまたエロい。


「じょ、冗談だよ!?」


「どんな冗談だよ……それより自分のものくらいちゃんと持ってろ、あとその姿はいつ襲われてもおかしくないぞ?」


 まぁ、それに乗った俺も俺だけど。


「……君、変態だけど悪い人じゃないね」


「可愛い女の子には優しいだけだ」


「口説いてる?いや、それって最低なのかも……そうだ、君今度遊びに来てよ。ボクはフィエ、こっちに来たらボクの名前を出せばすぐに会えるからさ」


「こっち?」


 渡されたのは蒼と翠の混じった様な神白金色のチケット。


「そう。これがあればエリアに入れるから、待ってるね」


 神白金?それって確か最高位のクラスだったはずだよな?


「って、あれいない……ラピス、コーラル、どこに行ったか見たか……おい?」


 いつの間にかフィエは消え、ラピスとコーラルは剣に戻っていた。

 反応もない、もしかして遊び疲れて寝たか?


 疲れているなら部屋で休ませるか。







 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る