第26話
「マスター」
「ん?何だ?」
「これ、いつまで続く?」
剣状態のコーラルは疲れた様にそう言うが……
「……さぁ、わからん」
「はぁぁぁぁぁ!!」
「やぁぁぁぁぁあ!!」
ノーフィとシアの戦闘は試験開始から半日以上続いていた。
最初はどうなるかと観戦していた生徒も数時間すれば全員が寮に戻っていた。
2人はまだ無傷なものの、制服はボロボロになり下着だけのほぼ全裸、2人のおっぱいは辛うじてブラジャーで隠されているだけ。
「ますたー、部屋に戻ってトイレ行く?」
「マスター、私も一緒に行きたい」
2人の姿はそれは良いおかずになるが、今はそんな状況ではない。
というか普通にトイレに行きたくはある、漏れそう。
「はぁ、はぁ、はぁ……中々やりますね。ですがまだです。王の娘として、そしてショウ様と一緒にいる為に見合う女性にならなければいけないのです!」
「私だってショウ君とずっと一緒にいたんだから!ショウ君が私の下着盗んだのも、お風呂を覗いていたのも見逃してあげたんだから、だからショウ君には私が必要なの!」
おい人の恥を公衆の面前でさらすのはやめろ、疲れで頭が回ってないのか?って言うか……バレてたの?
「それくらい私だっていくらでもお渡しします!」
「ますたー、わたしもあげる」
いや、これ以上俺の恥を晒さないでくれ……
「マスター、2人とも倒れた」
「え?……本当だ」
ふらふらと意識朦朧だったノーフィとシアと同時に倒れ、そして試験終了の鐘が鳴る。
「ますたー、これ、どうなるの?」
「……俺にもわからない」
それからノーフィとシアは医務室に運ばれて治療を受けることになった。
外傷は無いが精神的に疲労が溜まっていたらしい。
半日も戦い続けていたら当然か。
「意識を取り戻すまでには1日はかかるわ。ども心配しないで、ただの疲労だから」
黒髪メイド服の美少女がそう言ってくれるのだが……本当に大丈夫だろうか?
「心配みたいね、もし何か気になることがあれば私に言いなさい。先生として相談に乗ってあげるわ」
「……え、本当に先生?」
「ええそうよ?治療専門だけれどね、それより貴方も休みなさい。気づいてないかも知れないけれど、貴方顔が真っ青よ?」
「え?」
確かに顔を鏡で見てみると、真っ青だ。
「当然、マスター10日間ほとんど寝てない」
元々人が苦手な上300人近くの他人に話しかけるのは俺にとってはかなりストレスになったらしく、この10日間はほとんど寝れていなかった。
「そうだな、それじゃ俺も休ませてもらうか」
「そうしなさい、本当は
鍋で火にかけられた緑色の液体がごぽごぽと泡を吹き、フラスコに入った謎の紫色の液体が1秒ごとに色を変えていた。
「気になるなら試しにポーションを錬成してみる?あなたも疲れてる様だし1本は必要よ?」
「俺が出来るのか?」
「私の回復薬錬成のスキルがあれば元は作れる、後は混ぜるだけなら誰でも出来るのよ。とても不器用じゃなければね」
疲れてるしプレッシャーをかけられると失敗しそうで怖いが、でも面白そうだ。
渡されたのは紫色の液体。
それを鍋の中の緑色の液体に入れるだけらしいが……
「あ、やば」
普通に手にこぼしてしまった。
「下手ね、でもそれ自体は害はないからそのまま入れなさい」
まぁ、自分で飲むものだし平気だ。
出来上がった回復薬はとても綺麗な蒼色をしていた。
「おかしいわね、回復薬は緑色のはずだけどこれじゃまるでエリクサー……いや、まさか……」
「失敗したなら捨てといてくれ、じゃ休むんで」
「ラピス、わかってる?」
「こーらるこそ」
部屋に戻り寝る間際、そんな会話が聞こえた気がしたが眠気には勝てずそのまま意識を失ってしまった。
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