第25話

「よし!これで10人目!」


 暴走した魔罪武器に手間取って油断だらけの生徒に弓を放ち倒すのはノーフィ、順調に生徒を倒しているようだ。


 一方シアはと言うと、混乱している生徒に魔罪武器を使うのは卑怯だと思ったのかただの剣として扱っていた。


「……シアちゃん」


「ノーフィさんですか……良かったです、残るはわたしとノーフィさんだけのようですよ。これでクラスアップは間違いなし、後はどちらがゴールドクラスへ行くかですが」


「それは私が……えっ?」


 シアの蒼剣が水を纏い、そしてシアの背後に水の壁を創り出す。


「ノーフィさんには悪いですが全力で挑ませて頂きます、本来なら押し潰し殺せますがここでは代わりに校章が破壊、それでも1週間は寝たきりになるでしょうが……その間、私はショウ様と2人きりになってしまうのは仕方のない事ですね」


「っ!そんな事、させない!!」


 ノーフィは魔罪武器を手に取ろうとするが寸前でその手が止まってしまう。


「ますたー、シアの魔罪武器も触ったんじゃないの?」


「ああ触った、


 全員の魔罪武器に触れ、嫉妬させることで使い物にならなくさせる。


 それは参加者全員をノーフィと同じ条件にさせ、魔罪武器の嫉妬が冷めたであろうノーフィだけが使える状況にしたかったからだ。


 だが、シアの蒼剣はいつも通り力を発揮していた。


 シアと魔罪武器蒼剣、その関係性は意志を持ち俺に嫉妬する以上にシアと強く結びついていた。


 いや、そもそもシアはもしも急に強くなった所で調子に乗るなんてことはなかっただろうし、俺の作戦では無理だったかもしれない。


「それでは、さようならです」


 水の壁がノーフィを襲い、その姿が見えなくなる。


「ノーフィさんの努力は認めますが、やはり魔罪武器を使わなければ勝負にはなりませんでしたね。ここで手を抜くことはかえって失礼だと思いましたので」


 水の壁が引いて行き、そこには倒れたノーフィが……いない?


「言ったでしょ、そんな事させないって!」


 現れたノーフィは空高くで滞空し、瞬時に水の壁を避けていた。


翡翠ヒスイが少しだけ力を貸してくれるって、ねぇ翡翠!」


「ますたー、作戦通り」


「いや、あれはノーフィの勇気以外の何物でもないだろ?」


 そしてノーフィの言葉に反応して5本の矢が現れると、一斉にシアを襲う。


「やりますね、ですが!」


 シアを護る様に滝の様な水の壁が現れ矢は全て弾き返される。


「それがノーフィさんの真の実力ですか、なら私も……藍宝剣ブルタス=マリン!」


 蒼剣は蒼く透明なレイピアに変化し、シアは刺突を放つ。


 空高くにいたノーフィに届かないと思われた攻撃だが、ノーフィはバランスを崩して地面に落下していた。


 ノーフィ自身は無傷なものの、制服は裂け、水に濡れた跡。


「流石だねシアちゃん!でも負けないから!」


「私もです!ノーフィさん!」




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