第13話

「すみません、また取り乱してしまったようです……」


「私もショウ様に止まらなくなっちゃって……」


 やはりそうだ。


「シア、この学園にスキル鑑定士っているか?」


「はいもちろんいます、ですが何をしに行くのですか?」


 それは勿論決まってる。


「俺のスキルを再確認しに行くんだよ」


「ショウ様のスキルは物を持てるスキルでは無いと言うのですか?」


「ああ、俺の予想だととんでもないスキルかも知れない」


「わかりました、では行きましょう」


 シアについて行くと着いたのはまた魔罪武器の飾っていた場所。


「マギルキ先生、ショウ様のスキル鑑定をお願いしたいのですが……」


「あんたねぇ、私は生徒の便利屋じゃ無いんだよ。私は魔罪武器の管理者なんだ。それ以外のことはやりたくないね」


「ですが先生は学園、いやブルタスでも1、2を争うスキル鑑定士ですよね?だからこそ魔罪武器を生徒達に選ばせている様に見えてスキルに見合うものを与えている、そうではないのですか?」


「……それは秘密なんだが、あんた只者じゃ無いだろ?何者だ?」


「私のことはどうでもいいです。お願いします、ショウ様の真の力を教えて欲しいのです」


 こんな真摯なシアの頼みを断われる訳もなくマギルキ先生は俺の頭に手をかざす。


「私もあんたのスキルは気になっていた所だからまぁいいさ、いくよ……鑑定!」


 最初の鑑定の時とは違う身体の中が痒くなる感覚だ。


「これは……あたしはこの学園が出来て100年以上いるけれど、こんなスキルは初めてだよ」


「あの、一体それはどう言う意味でしょうか?」


 俺にはもうわかっていた。


「単純さ、こいつのスキルはスキルじゃなくスキル、相手が物体なら何でも気に入られるスキルなのさ」


 そうだ。


 だからシアが俺に好きだと言ってくれたことも、ノーフィが少なからず俺を気にかけてくれたのも全てスキルのおかげだ。


「あんたも律儀だねぇ、黙っていればハーレムだった夢じゃないだろうに。言ってしまえばあんたに下手に近づく人は減ってしまうよ?」



「それよりも嫌だったんだ、2人を騙す様な真似をするのは。でも信じて欲しい、気づいたのはついさっきなんだ。最初から騙していたつもりはない」


 通用する訳ないだろうな。

 これは俺の罪悪感を晴らすための言い訳だ。


 失望されるだろう。

 もしかしたら金輪際話してくれないかもしれない。


 それでも仕方ない。

 他人の心を操って知らなかったでは済まされないからだ。


「……ショウ君、それは違うよ」


「……え?」


「だってショウ君と初めて会ったのはスキル覚醒する前だよ?私がついてきたのは他の何でもない私の意思、それは絶対に間違い無いよ?」


「私は確かにショウ様と出会ったのはスキルが覚醒した後です。ですが私はそれでも良いと思っています。ショウ様が私を助けてくださった、その事実こそが1番大切だと思うからです。それは私が破廉恥な行動に及んでしまうのは恥ずかしいですが……」


 ……思ってもみなかった。


 もっと罵倒されてもおかしくないのに。


「……ありがとう、ノーフィ、シア」


「良かったじゃないか、勇気を出した甲斐があったねぇ」


「……あぁ」


 そう言うことしか出来ないくらい、俺の瞳からは涙が溢れそうだった。


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