第10話

「こんなに人が多いのか」


「はい、ブルタス中央学園はブルタスで最も規模が大きく倍率も高い学園ですから」


 次期国王の約束をして3日後、俺達は学園入学の為にブルタス中央学園を訪れていた。


 それまでの3日間は城に篭りっきりだったが色々面倒だった。

 敵国の俺を良く思わない俺を罵倒したり、今朝も俺の寝ていた部屋に無断で誰かが入っていた形跡もあった。

 学園なら俺がオーディル出身だと知る奴もいないからましだろう。


 俺達含め青を基調とした制服に身を包み数百人はいるだろう人混み、それだけ人気ということだろう。


「でも良かったのか?ただの一般生徒で入学試験を受けるなんて」


「はい、出来る限りショウ様と一緒にいたいですから。それに私も王女である以上、力を持っている事を証明する必要がありますので」


 そう言ってくれるのは嬉しい。

 俺よりも年下なのに出来た女の子……あれ?


「シアって、もしかして俺と同い年?」


「はい、今年で15歳ですが……」


 どう見てもそうは見えないくらい童顔だ。

 まぁ、胸は年相応、いやそれ以上かも。


「ショウ君シアちゃんの胸見過ぎ、変態だよ?」


「別に見てなんて……」


 そしてノーフィも一緒に学園試験を受けに来ていた。


「シアちゃん、は忘れないでね?」


「はい勿論です、まずは学園へ入学できるよう頑張りましょう!」


 一致団結してる2人だがあの約束というのが気になる。


「それで、入学試験ってどんなもの何だ?」


「簡単です、入学出来ます」


 ……ん?どう言うことだ?


 ──俺ダメだったよ、仕方ないから第二学園に行くよ

 ──私も、あんな試験合格する訳無いわ……


 学園とは逆方向に歩いて行く生徒はそんなこと言いながらどこかに去って行く。


「一体何なん……だ……あがっ!?」


 学園の門を通った直後、突然何かにぶつかる。


 それは周囲の生徒達も同じだ。



「一体何が……」


「ショウ君気をつけて、周囲察知で見てみたけど何かいるよ!」


 周囲でも吹き飛ばされたり倒されたりして学園に入ることが出来ない生徒達だらけ。


「なるほど、見えない敵か」


「はい、それを通過して日暮れまでに学園に入れば合格です」


 単純と言えば単純だが、敵の姿も数も分からないなかで行くのは至難の業だ。


「ショウ君シアちゃん、私は先に行ってるね!」


 ノーフィは学園に走り出しながら途中で避ける様な動きで無事に学園の校舎に到達していた。


「ショウ君も早く!簡単だよ!」


 見えない敵をどうやって倒すか考えないといけないが……


「ショウ様、私もお先に失礼します」


 取り出したのは宝剣だ。


「初代王よ、私に力を!!」


 すると宝剣は俺の出したものよりサイズは小さいながらも水を纏い学園に向けて水流が一直線に放たれ、そのすぐ後ろをシアは走り抜けて行く。

 


「ふぅ、うまく行きました。ショウ様であれば余裕ですね」


 なるほど、その手があったな。

 俺も蒼剣を使うか……あれ?


「……蒼剣、どこだ?」


 確かに昨日まではあったはずだ。

 まさか、今朝誰かに盗まれた?


 ……どうするか。


 あるのはどこにでもある剣だけ。

 これで突破出来るとは思わないがやるしか無いか、よし。

 そうして踏み出した瞬間だった。


「うわっ!?何だ!?」


 右手が何かに掴まれると、そのまま思い切り引っ張られる。


「うわっ、ちょ、待った!!」


 感覚的には俺より小さな透明な何かがぐいぐいと引っ張っているかのよう。


「……カッコいい……好き……」


「は!?誰だ!?うわっ!?」


 何かと考える前に学園の校舎に到着してしまった。


「……私、ククリ、覚えておいて」


「あ、え……はい……」


 本当、一体何が起きたのか。









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