第6話

「ショウ君!大丈夫だった!?」


「ああ、ノーフィの一撃であっさり終わったからな、ありがとう」


「ううん、この矢があったからだよ?それとあの……王女様も大丈夫ですか?」


「はい、助けて頂きありがとうございます。このお礼は是非私の国に帰った際には必ず致します」


「ん?私の国ってオーディル王国の王女ですよね?」


「…………」


 何故黙っているんだ?


「助けて頂いた貴方達を更に巻き込むのは申し訳無いのですが、お願いがあります」


 黒い外套を取ると、そこから現れたのはの美少女。


「蒼髪蒼眼……隣国ブルダスの王家の証か」


「え?オーディル王家の王女じゃないの!?」


「それは本人から聞くべきだな……説明してもらっていいですか?王女様」


「はい、実は……」


 王女様の話によると、数日前に攫われたのは事実らしい。


 そして、攫ったのはオーディル王国の貴族であるホルドア家。


 つまり、だと言うことだ。


 そしてその目的は王女の血らしい。


「私のスキルは、交わった相手のスキル自体を強化するスキルです」


「そんな……酷い……」


「オーディルとブルタスは冷戦中だからな、どちらかが力を得れば、均衡は崩れるってことか」


「はい、ですが私は私の母国に帰りたいのです。敵国の貴方達に頼むのは駄目元だと言うことは理解しています。ですがどうか……お願いします」


 今にも泣き崩れそうな少女。

 よく見てみればまだ12歳、いや10歳かそれくらいか?


「……ショウ君」


 そんなもん、決まってる。


「わかった、乗りかかった船だ、隣国まで送り届けるよ」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


 ふわりと王女に抱きつかれると甘い香りが鼻をくすぐる。

 それに外套でわからなかったがこの王女……どうやら着痩せするタイプらしい。


「……ショウ君?」


「あ、いやこれは……」


 今完全にデレデレしていた、自分でも感じる。


「にゃおー」


 お、丁度いいタイミングでキャーラが来てくれた。


「あれ?そう言えばキャーラは何してたの?」


「俺が少し頼み事をしてたんだ、キャーラが森の異変を1番早く察していたみたいだったからな」


「頼み事?」


「森にオーディル兵がいるかどうかだ、もしいれば協力できるしな。で今それがわかったみたいなんだが……今すぐにここを出発した方がいいみたいだ、かなりいる」


「それって王女様を取り戻す為に来たってことだよね?」


「そうだな、でも俺達は姿を見て裏事情を知ってる、もし見つかれば簡単には帰してもらえないだろうな」


「申し訳ありません、私のせいで……」


「気にしないで下さい、悪いのは王女様じゃないですから」


「……ありがとうございます、それと私が王女だとバレてしまわないように彼女と同じ様に敬語は無しで扱って頂けると嬉しいです。改めてですが私はシアと申します、私の騎士ナイト、ショウ様」


 何か、すごい見つめられている気がする。

 勘違いしそうな言葉を添えて。


「わかったシア、ノーフィもすまないけど付き合ってもらうよ」


「村に帰れなくなるのは悲しいけど、私はショウ君がいれば平気だから!」


 ノーフィのそれは強がり、だからとにかく早く目的地に行こう。


 オーディルと双璧を成すブルタス王国に。


 

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