第2話
「疲れたぁぁぁぁぁぁあ!!」
俺は自分で耕した畑につい寝転がり、空を見上げる。
「……綺麗だな」
スキルが判明した翌日、俺は辺境の地にある小さな村に追放された。
記憶が落ち着き、今の状況もきちんと把握できるようになっていた。
ここは異世界のオーディル王国、異世界最大の大陸であるグランデ大陸ほぼ全てを手中にする王国だ。
以前異世界の世界地図を見せてもらったことがあるが、現実世界とは似ている部分はあったが、スケールダウンした感じだった。
追放されて1ヶ月、不安もあったが、意外にこれも悪く無い。
ここ辺境のエンル村は自然も多いし、空気は澄んでいる。
異世界ではスキルを使うたびに瘴気が発せられるらしく、それは車の排気ガスや都会のなんとも言えない生活臭に似ている不快さだ。
それが無いだけで異世界の辺境の地、田舎はかなり暮らしやすい。
それに実家から追放されたことで気が楽になった。
面倒なしがらみも何も無い。
代わりに自分で色々としなければならないが、それも楽しみになっていた。
そしてもう1つ、いやこれこそがこのエンル村に来たことで1番嬉しかったこと、それは……
「ショウ君、こんなところで寝ていたら汚れちゃうよ?」
白髪に青空の様な瞳、現実世界でもお目にかかれない美少女が俺を心配していた。
「大丈夫だよ、風呂入ればいいし。ノーフィも横でなってみない?」
「……それって、一緒に汚れて一緒にお風呂に入るってこと……」
「ん?何が言った?」
「な、何でもない!!それよりまたショウ君魔獣に好かれてるんだね」
「うん、よくわからないけどこの辺の魔獣はなつきやすいのかもしれない」
俺の腹の上には小さな黒猫の様な魔獣。
魔獣種はキャドラというらしいけど、俺はキャーラと呼んでいた。
「そんなこと無いと思うよ、私にはこんな懐かないし。ほら、それに触ろうとすると……」
「シャー!!」
「……ね?」
うーん、理由はわからないけどとにかく可愛いから良いかな。
「そうだ忘れる所だった!村長が呼んでるよ。近くで盗賊が現れたらしくてその対策を今からするんだって。ショウ君強いから今度もきっと大活躍だね!」
俺が強いんじゃなくて、この辺りの盗賊が弱い気もするけどな。
剣も1日しか触ってない俺に負けるなんて弱いとしか思えない。
確かに見た目は胴着を着た某格ゲーキャラみたいにゴツかったし、強そうだったけどさ。
「皆ショウ君を頼ってるんだよ、早く行ってあげて。その間腕によりをかけて美味しい昼食作っておくから!」
「期待してる、行くよキャーラ」
「ニャオン」
こんなクズスキル持ちでも頼られるのは悪く無い。
よし、頑張るか!
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