第24話 空子さん


「なぜだい姉さん。どうしてうちの部活が廃部にならないといけないんだ」


「本気で言っているの? 廃部にならない理由を探すほうが難しいじゃない」


 音々ねおんさんと向き合い、生徒会長は生徒手帳を開いた。


「まず所属生徒数が9人以上でなければ部として認められないわ。同好会でも5人以上必要だけど、ここは何人所属してる?」


「うむ……たべ子さんが入ってくれたから4人だな」


「あ、わたし入部してないです」


 わたしがすかさず訂正すると、会長は優しく微笑みかけてきた。


「大丈夫よ。入部状況はちゃんと確認したの。たべ子さんは入部してないわ」


「書類上など些細なこと。大事なのは気持ちなんだよ。たべ子さん」


「気持ちの上でも入ってないんだよなぁ」


「そんな……」


 音々さんが胸に手を当てうなだれた。廃部を言い渡されたときよりも苦しそうだ。


 正直それはどうでもいい。わたしには他に気になることがあった。


(いまさらっと会長にたべ子さん呼びされたな)


 わたしの名前は多部たべ空子そらこなんだが?




(※この作品はフィクションです。人の名前は忘れないようにしましょう)

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