第23話 子豚は失敗していない


「子豚かわいいけど、見つかったら廃部なのでは?」


 膝の上で子豚を撫で回していると、音々ねおんさんがその子豚を抱き上げた。


「子豚は賢いんだ。見られていけない相手かどうかちゃんと判断できるし、見つからないように隠れることもできる」


 音々さんは『たかいたかい』をするように顔の高さまで豚を持ち上げてブタを称えた。


「たしかにケーキを食べに出てくるまでいるなんて全然思わなかったかも」


 納得しかけて、ここで気づいた。


「豚の賢さに頼るの限界あるだろ……」


「なに大丈夫さ。ここだけの話。わたしの姉は生徒会長なんだ」


 ノックが聞こえ、誰かが返事をする前に部室のドアが開いた。


「音々はいる?」


 顔をのぞかせたのはこの学校内では知らない人などいない、生徒会長だった。


 なるほど確かに、サラサラの黒髪やモデルのような体型は音々さんに似ているかもしれない。音々さんのメガネを外して少しおとなしい顔にしたら同じ顔になるような気もする。


「ほら。噂をすればだ」


 音々さんは嬉しそうに笑った。いつの間にか子豚は姿を消している。


「音々。あなたの部活今週で廃部ね」


 音々さんの笑顔が真顔に変わった。




(※この作品はフィクションです。何事も過信は禁物です)

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