第21話 お肉屋さんの娘


 ケーキを食べきっても子豚はテーブルの下にいたので、後ろから捕まえた。人に慣れているようで暴れたりしない。大きさは猫くらいだ。


 ちょっとピンクがかった肌色とか、笑っているように見える口元とか桃みたいな形の鼻とか、よく見ると結構かわいい。


「なんでこんなところに子豚が……?」


「食べ物を研究する関係上、生ゴミが出たり食べ物をこぼしてしまうことがあってね。それらを食べてくれるから部室で飼っているのだよ」


 音々ねおんさんがわたしの抱く子豚を撫でた。


「いや、ゴミ片付けるのより子豚の世話のほうが大変でしょ。というか子豚に人間の食べ物あげちゃダメなんじゃ? さっきこぼれたケーキ食べてたけど絶対に甘すぎるって。体壊すよ?」


 最後の一言だけ子豚に言った。


「え? でも……」


 答えたのははる先輩だった。


「最終的にわたしたちのおなかの中に入るのだから、同じなのではないかしら?」


「それジョークですよね?」




(※この作品はフィクションです。むやみに動物を怖がらせてはいけません)

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