第19話 サクラ・ド・ノエル


 音々ねおんさんが箱を開けると、ピンクの花の飾りのついたブッシュ・ド・ノエルが入っていた。


「春らしく桜の咲いたブッシュ・ド・ノエルだ」


 わたしは光姫みつきさんとはる先輩に羽交い締めにされていて動けなかった。


「音々先輩! ブッシュ・ド・ノエルは薪だから花が咲いてるのはおかしいですし、桜の花を咲かせたらクリスマスケーキ感がないです!」


 わたしが思ったことを光姫さんが全部言ってくれた。


「大丈夫よ。あれは美味しいケーキだから。ね?」


 陽先輩が獣でもなだめるように、わたしに優しく語りかける。


「あ、ありがとうございます。もう投げないんで、大丈夫です」


 正直、前フリを無意味にするほどツッコミどころがあるケーキが現れたときは危なかった。


「すまないな。これしか手に入らなかったんだ」


「開ける前にそれを言え」




(※この作品はフィクションです。説明は過不足なくするようにしましょう)

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