第15話 お菓子すら必要ない
わたしに向き直った女の子のリボンの色は一年生を示す青色だった。
「
光姫さんがバットを拾い直した。敵意剥き出しの目は大きくて綺麗だけれど、強い意志が伝わってくる。もともと目力の強い子みたいだ。
わたしが音々さんをたぶらかしたとか言っていたけれど、そんな経緯は存在しない。きっと音々さんがやたらとわたしを気にかけるのが気に入らないのだろう。
「おっけー。概ね状況は理解した」
どういう方向性かわからないけれど、光姫さんは音々さんのことが好きなのだ。
もし二人がうまくいけば、音々さんがわたしに絡んでくることはなくなるかもしれない。音々さんはお菓子をくれなくなるかもしれないけれど、光姫さんからお礼としてせしめればいい。
「大丈夫。わたしは応援するよ。協力する」
「たべ子先輩……!」
わたしが右手を差し出すと、光姫さんはバットを捨てて両手でつかんだ。
音々さんが体を起こした。
「いたた……おや? いったい何があったんだい?」
光姫さんが音々さんに熱い視線を向けた。
「音々先輩! たべ子先輩めっちゃいい人です!」
「お? ん? ああ、そうだろう。そうだろう」
この子めっちゃチョロいな。
(※この作品はフィクションです。言葉巧みに騙されないように気をつけましょう)
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