第14話 オートガード


 なんだかんだで帆乃ほのは一緒に来ていない。『わたしのことを頼ってばっかじゃダメだよ』とか意味のわからないことを言っていた。


「さて。今日も一番乗りではないだろうな」


 音々ねおんさんが部室のドアを開いた。


「やぁやぁ! おま――」


「覚悟ぉー!」


 ドアの向こうからバットが飛び出してきた。バットは的確に音々さんの顔面を捉える。


「あっ……」


 バットを振り下ろした張本人――お団子の髪をした小柄な女の子の口から明らかな動揺が漏れた。音々さんはそのまま尻もちをつくようにしながら倒れる。


「だ、大丈夫ですか!? 音々先輩!」


 女の子がバットから手を離し、音々さんの横に描か見込む。殴った本人が本気で心配する光景はとてもシュールだ。


 床に落ちたバットは空っぽな軽い音を立てる。おもちゃのバットだったのだろう。


「くっ……! 音々先輩を盾にするなんて卑怯な!」


「いや、不意打ちの方が卑怯だから」




(※この作品はフィクションです。不意打ちには注意しましょう)

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