第11話 食文化研究部


「そういえばここが何部なのか知らないって言ってたけど、本当なん?」


 AA先輩がわたしの『なんで?』を無視した。


「ああ、そういえば話していなかったね。これは、あれをやるチャンスなのではないか?」


「せっかく練習したものね。緊張するわ」 


 音々ねおんさんとはる先輩がAA先輩の横に並んだ。わたしから見て陽先輩が左で、音々さんが右だ。


「「「ようこそ! 食文化研究部へ!」」」


 わたしに向かって陽先輩が右手を、音々さんが左手を、そしてAA先輩が両手を伸ばした。


 部外者を名乗っていたAA先輩が真ん中だけれど、本当にそれでいいのだろうか。背の低いAA先輩が間に挟まれているから見ためのバランス自体はいい。


 じっと見ていると、アメージンググレイスのチャイムアレンジバージョンが流れ始めた。


「おっと。もう下校時間のようだ。続きは明日にしよう」


 三人が荷物を持ってドアから外に出ていく。わたしもやっと帰れると、その背中を追う。


 校門を出たところで大事なことを思い出した。 


「ねえ。お菓子は?」




(※この作品はフィクションです。「ある=あげる」ではないので気をつけましょう)

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