第1話
空は青く、白い雲が揺蕩っていた。
太陽は頭上高くに、木々はその陽光を浴びながら風に揺れていた。
木がつくりだす影のなかに二人の少年が座っていた。
一人は白い髪をうなじまで伸ばしていて絹のようにさらさらとしていた。顔は幼く、あどけなさが残っていた。
もう一人は黒い髪をしていて、あちこちに跳ねさせていた。鼻がスッと高く、爽やかな印象を持たせていた。
二人は布を広げ、その上に両足を伸ばして座っていた。脇には少し大きめなバスケットが置いてあった。
「今日も良い天気だな。」
黒髪の少年が空を見上げながら、満面の笑みで言った。
「そうだね。」
白髪の少年が同意した。
「......ところで、お腹すかない?」
黒髪の少年がバスケットを指差しなから言った。白髪の少年が首肯する。
「それじゃ、食べるか。」
バスケットの中にはサンドイッチが入っていた。肉がたっぷり入っているものと、野菜がたっぷり入っているものと、二つずつ入っていた。
白髪の少年が一つずつ取って、手元に置いた。黒髪の少年が
「肉......」
とボソッと呟いた。白髪の少年が黒髪の少年の方をちらりと見て、そっと肉入りのものをバスケットに戻した。
「僕は、食べきれないかもしれないから置いとく。」
空気を読んでそう言った。
黒髪の少年は嬉しそうに肉入りのものを自分の手元に二つ置いた。
太陽が少し傾いて木の影が小さくなった頃、
「明日もこんな感じだといいな。」
黒髪の少年が言って
「そうだね。」
白髪の少年がお腹をさすりながら言った。
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