第3話 名推理

その日帰宅した後、私は今日できたばかりのクラスのLINEグループを開いた。

「よろしくお願いします」など、新しいコミニティではお決まりの言葉が飛び交っている。

ちなみに私はこういう時、発言のタイミングを伺ううちに会話の波が途切れ、結局何も言わないまま終わるタイプだ。

今回もそうなるであろう。


そして私はクラスのグループLINE参加者の一覧を見た。

そしてただその名前だけを探しながら下にスクロールする。見つけた。

「修斗」と設定されたLINEアカウントのアイコンは誰かとうつっている星野の写真だった。しかし、よく見えない…。

拡大してみようとアイコンをクリックした瞬間、私は大きく目を見開いた。


そこには星野と女の子のツーショットの写真があった。しかも女の子の制服は見覚えのないものだった。他校の生徒だろうか。

いや、そんなことはどうでもいい。

今大事なのはこの子と星野との関係だ。


満面の笑みで私と同じ制服を着てピースをする星野と、星野に寄り添うように控えめにピースをしている女の子の写真を見ながら、私は推理を始めた。

しかし結局これだけの情報ではなにごとも断言はできないというのが無能探偵の推理の結果だった。

ただひとついえるのは、私の考えが一般常識であるならば、なんでもない関係の女の子とこんなに距離感の近いツーショットをアイコンにする男なんていないと思う。


好きになったかもしれないとはいえ、正直星野のことは名前と顔とリュックと5、6人の友達がいたという事しかまだ知らない。

この時点でいくら顔が好きでも星野とどうにかなりたいと思うほど好きというわけではなかったのだと思う。

彼女がいるかもしれないことに多少ショックは受けたが、そこまで引きずることはなかった。

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