第六話 催眠術

8月14日12時35分

どうしたものか、最近アリーチェさんと遊びすぎた。

勉強するか、、、ダメだやる気が出ねぇ。

モチベ出すために明日アリーチェさんと遊びににでも行こうかな。

アリーチェさんはスマホなどは持ってないらしいからどうする?

今から行くか。

支度をして家を出る。

自転車に跨り、アリーチェさんの家に向かう。

自転車で30分位でアリーチェさんの家に着いた。

インターホンは無いのでドアを叩くがアリーチェさんは出てこない、こんな広い家にいたらノックの音なんて聞こえないのだろう、しょうがないか、勝手に入るか。

多分怒られるだろうがまぁ良いか。

ドアを開け家に入る。

リビング?分からないがこの前料理を振舞って貰った場所へ行く。

誰も居なかった。

あと居そうな場所は寝室かアリーチェさんの部屋な訳だが、自室は入ったら駄目だからな、どうしよう、ノックでもしてみれば良いか。

とりあえず寝室に行く。

誰も居なかった。

アリーチェさんの部屋のドアを叩く。

すぐにドアが開く。

「優輝か、というか、なんで勝手に家に入ってきてるんだ?関心出来ないぞ」

「明日遊びにに行こうと思って、アリーチェさんを誘おうと思ったらアリーチェさん携帯持ってないから家に来たら、ドアをノックしたけど、気づかれなかったし」

「そういえばそうか、今まで誰も家に来なかったから気づかなかったが、これじゃあ不便だな、まあいい、とりあえず部屋に入ろう」

「良いの?」

「前は吸血鬼って事を話してなかったから隠さないといけなかった」

部屋に入ると、病院で使う点滴のパックのようなゴミがゴミ箱に入ってた。

恐らく輸血パックを買ったか奪ったかだろう。

「気づいたと思うが私は輸血パックで血を飲んで栄養を取ってる、一応普通の食事でも栄養は取れるが血液を取らないと空腹感が消えない、1回だけ1ヶ月位飲むのをやめてみたが、目に映る人間全員飲み干そうかと思う様になりそうになった、人は殺したくなかったから、だから病院で輸血パックを貰ってる、言っては居なかったが優輝以外にもう1人医療従事者にも話してる、今私が生きるために必要な人だ、かれこれ20年位の付き合いになるかな?、ちなみに安心しろ相手は女性だ」

「輸血パックって1袋何円なの?」

「400mlで1万2千程度、正直に言って買えないから廃棄される様のを貰ってる」

「僕の吸ってみる?」

「良いのか?」

「ちょっとなら、別に良いけど」

「じゃあ頂いて見ようかな」

アリーチェが僕の背後に周り、首筋にチクッと痛みが走る。

なにか、とは言っても血なのだろうが、吸われてる感覚がする。

吸うのが終わったのだろう、アリーチェさんは僕の首筋から口を離す。

「美味しかった?」

「うん」

と言いながらアリーチェさんは、どこかタンスを漁る。

「あった」

「何が?」

「いや、久しぶりに新鮮な血を飲めると思ったら応急手当の道具を出す前に我慢出来なくなって、吸ってしまったから」

「あ〜なるほど」

絆創膏を2枚首筋に貼ってもらう、明らかにこんなところに怪我をする訳ないがまあいい。

「抱いていい?」

今なんて言った?、抱くだって?、まさかするのか?、いやでもこの前中学生には早すぎると言ってたし。

「可愛い」

かっこいいじゃなかったことにちょっと落ち込む。

「ごめん反応が面白そうだったから、言ったけど、落ち込んじゃった?」

「いやー、そんな出来るなんて思ってないし、いやほんとに、本当に」

「そうとう落ち込んだな、ごめんね、あと7ヶ月で高校生だろ?そうなったらやってあげるから、ほら、な?」

7ヶ月のお預けと。

「胸を触らせてあげる位なら今もしても良いかな?」

触ったところで挿入までは行けないから虚しくなるだけだろう。

「まあいい、とりあえず明日遊びに行くのか?」

「まぁ人前に出るだけなら良いかなって」

「多分大丈夫だと思う」

「じゃあ決まりだな」

よしこれで今日勉強する気力は出ると思う。

「これを話したかっただけだから、帰るね」

「そんなにすぐに帰れるとでも?」

「ですよねー、でも何をやるの?」

「確かにやること無いな、じゃあ明日の予定でも相談しよう」

「まずどこに行く?」

数秒沈黙が続く。

「面倒くさいから明日行きたいところに行くか」

「そうだね」

「そういえば、最近催眠術の本を買ってみたんだけど試してみたいから、実験体と言うと聞こえ悪いが、催眠術をかけさせてくれ」

「良いよ」

「一応説明しておく、催眠術はあくまでも優輝が嫌だと思うことはさせたりは出来ない、あとかからないと思っててもかからないからな、あと説明することは、強いていうなら私を信用してくれ」

「わかった」

「じゃあ、リラックスするために隣の寝室行くぞ」

「はい」

移動し終わって、僕がベットに寝て、アリーチェさんがベットの隣で座ってる。

「心をリラックスさせるために深呼吸してください」

「吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー」

「普通の呼吸に戻して良いですよ」

「次は、体の力を抜いていきます、まずは右足から、右足に意識を集中してください、そして力が抜けていく感覚を想像してください、スーーーっと力が抜けて行きます、スーーーっと力が抜けていきます、次は左足、右足と同じようにスーーーっと力が抜けていきます、スーーーっと力が抜けていきます、足から脱力感がだんだん体全体に侵食していきます、腰、お腹、胸、どんどん体から力が抜けていきます」

「腕の力も抜けていきます、だんだん体全体へ脱力感が侵食していく」

「首も力が抜けていく、どんどん、口も目も、頭すらも、頭から力が抜けると思考が出来なくなる、考えることが面倒くさいと思うようになる、面倒くさい事はしなくても良い、今はそういう時だから」

頭がボーッとしてくる、考えることすらも面倒くさいと思ってくる。

「今からもっと深い催眠に入ります」

「今あなたは何も無い空間、何も無い真っ黒な空間にいます、何も無い、地面すらも、地面すらも無い空間をずっと落下していく、落下していく」

「落下していくに連れ変性意識の状態になる」

「どんどん落下していく、落下していく」

「私が3秒数えて手を叩くと、完全に変性意識状態になる」

「3.2.1」

(パン)と手を叩く音が聞こえる。

「今は暗示を受けやすい変性意識になってますが、暗示が本当に嫌だと思うものなら拒む事も出来ます、そして私が言ったことは必ずそうなります」

「あなたは今の状態が心地いいと思うようになります、必ずそうなります」

「そして、樽と聞こえるとすぐにこの状態になります必ずそうなります」

樽にした理由は特に無いが。

「今からあなたは犬になります、私が3秒数えて手を叩くと目を覚まし犬になります、必ずそうなります」

「3.2.1」

(パン)

優輝が起き上がる、四つん這いで。

ベットから優輝が降りて、頭を私の足に擦り始める。

なかなか人懐っこい犬らしい、椅子から立ちしゃがみ犬じゃなくて優輝を撫でる、すごく気持ちよさそうにする、顎をさすってみる。

さらに気持ちよさそうにする。

優輝が私の手を舐めて来た。

くすぐったい。

「優輝、擽ったいからやめよう、な?」

「クゥゥン」

ちょっと物足りなそうな顔で舐めるのを辞める。

可愛いかよ、可愛すぎるんだよ。

もうそろそろ違う暗示してみるか。

「樽」

優輝が気絶したかのように倒れる。

それを手で支えてベットに移す。

どういうか催眠状態にするのに毎回あれを言わないと行けないのか、恥ずかしいな、まぁ催眠中の記憶は消すつもりだからいいが。

次は何にしようか、いい事思いついた。

「今から私が3秒数えて手を叩くと、服が透けて見える、下着さえも透けて見える、必ずそうなる、自分の服さえも透けて見える、必ずそうなります」

「3.2.1」

(パン)

優輝が寝起きの様に起き上がる。

優輝が私を見ると、顔を真っ赤にして顔を逸らす。

「な、何でそんな格好を」

どう答えようか、面白そうな回答は、

「さっきあんな事してきたのに覚えてないのか?」

「あんなことって、まさか」

優輝は自分の格好を見るように下を見る。

「すみませんでした」

なんかそんな面白くなかったな。

顔を赤くしてる優輝は可愛かったが。

「樽」

優輝がベットに倒れ込む。

「今から私が3秒数えて手を叩くと、私の事が今よりももっと好きになる、今の何倍も何倍も、愛おしく感じる」

「3.2.1」

(パン)

優輝が目覚める、優輝が私を見た瞬間、抱きついてきた。

「ねぇ、僕のこと好き?」

「あぁ、もちろん」

抱き締め返す。

そういえば優輝の友人の誠に聞いたが優輝には父親が居ないらしい、理由自体は誠も知らないらしいが、ここで聞いて見るか。

「なんで父親が居ないんだ?」

数秒の沈黙

「言わないと駄目?」

「言いたくないなら良いが、出来れば聞きたいかな」

「わかった言う代わりに添い寝して欲しい」

「わかった」

「多分5歳の頃だっけな、父親と母親と僕で買い物に行ってて、その時暴走車が来て、僕と母親を庇う形で亡くなった、うっ」

「どうした?」

トラウマを呼び起こしてしまったからだろうか。

「大丈夫、なにか父親が死んじゃったあとなにかがあった気がするってだけ」

「何かってなんだ?」

「分からない、思い出そうとしただけで頭痛がする」

「もういいとりあえず添い寝するんだろ?」

30分位経っただろうか、優輝が寝てしまった。

今は3時くらいか、3時間後で起こして催眠解除して帰って貰おうかな、明日の用意もあるし。

寝顔も可愛いか、隙が無いな。

眠くなってきた、多少寝ても大丈夫か。

目が覚める。

「今何時だ」

午後10時と、やばいな。

「優輝起きろー」

と言いながら揺らす。

「むにゃ?」

「起きたか?」

「うん?」

「樽」

優輝の意識がまた落ちる。

催眠術で遊ぶのもたまにはやりたいし、暗示自体は残そうかな。

「今日あった催眠術に関わることは全て忘れます、私が3秒数えて手を叩くと必ずそうなります」

「3.2.1」

(パン)

優輝が目を覚ます。

「ここは?」

「私の家だ」

記憶が無いことは私が優輝の血を吸いすぎて貧血で倒れたって事にしとくか。

「すまん私が血を吸いすぎて貧血にしてしまった」

「大丈夫だよ」

「もう遅いから送っていくよ」

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