第五話 友人M

8月2日10時25分

あと5分でアリーチェさんを初めて家に上げる訳だが、最終確認、部屋は綺麗、リビング綺麗、格好いつもの、大丈夫だな、多分大丈夫、あとは待つだけ。

後3分

インターホンが鳴る。

ドアを開け、誰が来たか確認する。

そこには僕の唯一の友人がいた。

「すまん今日は用事がある、だから帰れ」

「なんかいつもと違う?」

「いつもとって何が?ていうか受験生なのに良く遊びに来たな」

最近、1500歳は優に超えている彼女を作って、今からお家デートをしようとしてる俺が良く言ったものだ。

「なんか服がちゃんと整ってるし、家も掃除されてるし、家が綺麗なのは勉強が嫌で部屋の片付けを率先してるからとしても身なりを整えてるのはなんでだ?」

「理由は無いけど、てかなんで来たんだ?」

「勉強一緒にやろうと思ってな」

「すまんな明日にしてくれ」

「本当に分からない所があるから教えてくれ」

「無理だ」

「頼む」

「本当に無理」

「本当に頼む」

頼まれたら断りにくい性格だから、早めに無理と言ってたが無駄だったようだ。

「わかった良いよ、ただし1分だけな」

あんな会話をしている間に2分も経っていた。

「なんで1分だ?」

「良いから、早く」

「やあ、優輝大丈夫か?」

タイムオーバーらしい。

「おい優輝、あの美人は誰だ?お前の知り合いなのはわかったが」

アリーチェさんが日傘をさして家に来た。

この状況どうしようか、友人の誠を家に帰らせる、アリーチェさんがどう思うかわかんないからダメだ、なら3人で家に入る、絶対に気まずい、、、どうも出来ないか。

アリーチェさんが日光大丈夫か知らないし、仕方ない3人で家に入るか。

「とりあえず家に入ろう」

3人でリビングに座る。

会話なんて起こらず5分程度過ぎていく。

「アリーチェさんだっけ?優輝とはどんな関係なの?」

誠が話を初めてくれた、ありがたい、と思ったが全ての元凶はあいつだったな。

アリーチェさんにどういう事にしようかと訴えかけるような視線を送られる。

俺が言った方が良いのだろう。

「アリーチェさんは母親の友人で、親の勤務先の後輩らしい」

「へー、お前との関係は?」

「親の友人程度としか思ってないけど」

アリーチェさんには後で謝っておこう。

「今日は何やる?」

「お前勉強しに来たのは嘘だったのか?」

「勉強をしに来たが、俺たちが勉強したらアリーチェさんが暇になるだろ」

「私なら気にしないで良いよ、なんなら分からないところ教えてあげるよ」

ここは誠に任せるか。

「どうする?優輝」

そんなに都合よくはならないか。

「俺はどっちでも良いよ」

「じゃあ、今日を受験勉強の休憩日にしてゲームしたら?最近休めてないだろうし」

「それで良いか」

「なんのゲームするの?」

「優輝どうせボードゲーム持ってるだろ?」

「わかった、自室にあるやつ全部持ってくる」

部屋に行き押し入れを漁り、ボードゲームを持ってく、トランプもあるから持ってくか。

「意外と早いな」

「何持ってきたんだ?」

並べてみたら、チェス、将棋、麻雀、カタン、オセロ、トランプ、囲碁。

「トランプでポーカーやろ」

「良いよ」

「どっちでも良いけど賭けるものが無いと、ポーカーはつまらないと思うけどどうする?、もちろん金は無しな」

「じゃあ、ポイント制にして1番ポイントが少なかったやつがみんなのアイスを買いに行く」

「私はそれで良いよ」

「僕も良いよ」

「じゃあ開始、手札配るね、その前にチップはないから、オセロのコマで良いか、1枚に付き100ポイントそれを10枚、マイナス分は自己管理を頼む、とりあえず100-200ポイント参加料で」


負けた、300円の出費はちょいきついな。

そこに追い討ちをかけるように誠が言う。

「ハーゲ○ダッツお願い」

悪魔か、そうか俺の友人は悪魔だったか。

そこに天使か女神が現れる。

「私はスーパー○ップで良いよ」

財布の用意をする。

「じゃあ行ってくるよ」

「「行ってらっしゃい」」



コンビニに着いた。

アイスの前に面白そうなものを探す。

コンビニだから対して無、ペヤ○グから出てる激辛のやばそうなのがあった、買うか。

アリーチェさんと誠から頼まれていたアイスを手に取り、アイスとカップ焼きそばレジに通し家に帰る。


「「おかえり」」

「ただいま」

リビングに入ると、テレビ画面が目に入る。

誠とアリーチェさんがスマ○ラをやっている様子だった。

誠がル○ナ、アリーチェさんはゼ○ダだった。

見た限りは互角、最終盤面、と思ったが、アリーチェさんが空前を決めて終わった。

「すまんな、暇だったから、ゲームをやらせてもらった」

「別にいいよ、それとアイス買ってきたついでになんかやばそうなペヤ○グから出てる、激辛のやつ買ったから次の罰ゲームな」

「市販だからそこまでだろ」

「結構やばいらしいぞ、三口程度で腹壊したやつがいたりする」

「何それヤベーな」

「最悪の場合はソースを落として食うから大丈夫」

「優輝良く金がないとか言いながら、買ってきたな」

「面白そうだったから」

今回は300円の恨みと惚れ薬の時と両方への仕返しの時だ。

「でなんのゲームで勝負するの?」

「そうだ手ごろに出来るおもちゃがあった」

自室に戻り、トランプを持ってくる。

「ポーカーやろうぜ」

「アリーチェさんルールはこれを見て覚えて」

3分くらいしただろうか。

「覚えたぞ」

「オッケー、じゃあ配るね」

全員に5枚配った。

俺の役は4のスリーカードだそこそこ良い。

「捨て札は無い」

アリーチェさんがそう言った。

「2枚捨てる」と言うと誠が「俺も」と言った

かける金は無いので降りることも無い。

役を出すと誠がツーペア、俺はスリーカード、アリーチェさんがロイヤルストレートフラッシュ。

やばい化け物が居た、運が良すぎるな。

「とりあえず誠が食うのは確定したとして、俺も1口貰うな」

一口だけ食べてみたかった。

「じゃあお湯沸かすね」

「頼んだ」

5分後

出来た訳だが、匂いがやばい。

とりあえず1口食べる。

割といけ、、、無いな、口が痛い。

1口でこれかよ、誠死んだなあいつ。

「誠、どんまい」

とりあえず冷蔵庫に入ってる牛乳を飲む。

神か、牛乳ってこんな上手いんだな、ってなると思ってたけど、味がわからん。

やばい、まじで、痛い。

辛いよりも痛いが、脳内を埋め尽くす。

5分位たったのか、やっと治まってきた。

「まだ食って無かったのか?」

「あれ見て食えと?」

「罰ゲームだししゃあないだろ、さあ一気に行った方が楽だと思うぞ」

誠のために牛乳を持ってくるか。

牛乳パックとコップを持っていく。

誠が焼きそばを食った途端もがき苦しみ始める。

喉を抑えてる、多分辛みで喉が痛いのだろう。

牛乳をコップに入れたらすぐに誠が取って飲み始めた。

「もう一杯」

また飲み干す。

「もう一杯」

飲み干す。

「も」

言葉を遮るように。

「ごめん無くなった」

「まじか」

「すまんな、で残りはどうするよ?」

「洗って、どうにか食べる」

「頑張ってね」

「手伝ってくれねぇのかよ」

「手伝うこと無くね?」

「確かに、まぁ頑張るよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る