第四話 アリーチェさんの正体

7月31日7時8分

目が覚める。

ここは、周囲を確認したら。

見知らぬ天井、見知らぬ壁、見知らぬベット。

どこだここは、昨日何があったか考えよう。

昨日はたしか、アリーチェが自販機にジュース買いに。

「やっと起きたか」

アリーチェさんの声が聞こえた、多分アリーチェさんの家なのだろう、、、アリーチェさんの家だと。

とりあえず挨拶をするか。

「おはようございます」

昨日のあった事を鮮明に思い出す。

めっちゃ恥ずかしい、とりあえず抱きしめたりした事を謝ろう。

「昨日はすみませんでした」

「その事何だが謝るべき者は私だ、実は優輝のカル○スの中に惚れ薬を入れた、すまなかった。」

「なんでですか?」

「面白そうだったから」

なーんだそんな理由か、あぁ〜悲しいなぁ。

「昨日あった感情は紛いものに過ぎないから安心しろ」

僕の恋心が紛いもの、そんな訳は無い、初めてあった日から今日までずっとアリーチェさんを見てきた、それが紛いものな訳が無い。

感情が高ぶり言葉が漏れる。

「紛いものなんかじゃない」

「ん?ちょっと聞こえなかった、もう一度言ってくれ」

感情を抑えきれず、強気で言ってしまう。

「僕のアリーチェさんを思う気持ちは紛いものなんかじゃ無い」

アリーチェさんは困った表情をしていた。

「すまなかった、優輝の感情に気づけずに勝手に決めつけるような事を言って、すまなかった、その言葉は告白と受け取っても良いんだな?」

「はい」

「答えは保留にさせてくれ、とりあえずこの前約束した食事を振舞おう、今日中には必ず返事をする」

「分かりました」

保留、付き合うなら直ぐに答えるし、振られたと考えて良さそうだな。

「ご飯作るからちょっと待っててね」

「分かりました」

てか親は心配してないのかな。

捜索願い出されてたらまずくね、一旦家に帰らないと。

アリーチェさんのところに行こうと思ったが部屋がありすぎてどこにいるか分からない、物音が聞こえるのが唯一の助けだが。

「アリーチェさん一旦家に帰らないと親が」

「その事なら大丈夫だ、家の前に置き手紙を置いといた、お前の家より私の家の方が近いから私の家にしたけど、なんかダメだったか?」

「いや、大丈夫、ありがとう、暇だから、家の中散歩しても良い?」

起きて直ぐに思ったが寝室だけでも広い、そして部屋も大量にあった。

「良いけど、私の部屋には入らないで欲しい、私の部屋は廊下側から見て寝室の左隣ね」

「分かりました」

部屋を出ていき、適当に歩いてるが改めて思う、この家、屋敷かも知れないが、広すぎる、部屋も見てってるがホコリがひとつもないように見える、相当部屋の掃除をしてるんだろうな、本当に凄い人だな。

もうそろそろご飯も出来ただろう。

さっき居た部屋に戻る。

「ちょうどいい時間に戻ってきたな、出来たよ」

「本当にありがとうございます」

パスタを作ってくれた、めっちゃ美味しそう。

「いただきます」

麺をフォークで巻いてたべる、案の定いや、予想以上に美味い。

美味い、美味いと食ってたら直ぐに食べ終わった。

「味はどうだった?」

「めっちゃ美味しかったです」

「それなら良かった」

「アリーチェさんは食べないんですか?」

「私は今お腹減ってないから大丈夫」

「食器洗いぐらいはやりますね」

と言いながら食べ終わった食器をもち水道の所へ

「じゃあ頼もうかな」

食器を洗い終わり、昨日できなかった勉強をして暇を潰す。

夜に裏庭に来いと言ってた、もうそろそろ行った方が良いか。

「やっと来た」

「何を伝えようとしてるんですか?」

「早速本題に入るがちょっと 目を瞑ってくれるか、な?」

「はい」

目をつぶる。

5秒くらい経っただろうか、

「もう開けて良いよ」

目を開けると、コウモリの様な羽の生えているアリーチェさんの姿があった。

アリーチェさんは吸血鬼だったと実感は湧かないが目で見たものだ、信じざるを得ないだろう。

「驚いたかい?」

「はい」

「わかっての通り、私は吸血鬼だ、それでも怖いだとか、思わないのか?」

「別に、アリーチェさんはアリーチェさんだから、人を襲ったりしないでしょ、食料はどうしてるか気になるけど」

「貴様の惚れた女は化け物なのだぞ?それでもいいのか?」

「化け物だとか関係ないと思います」

「人を騙すようなこんな私でも良いのか?」

「はい、でも何でそんな質問を?」

「昔話をしよう西暦1500年頃私はとある男に能力を渡された、その能力は吸血鬼としてこの世に存在する能力、それにより吸血鬼にされた、吸血鬼の能力は人間の能力を圧倒する程強かった、その結果、私を産んだ親さえも私に恐怖し迫害した、住んでいた村を追い出された私は世界中をまわり私を受け入れてくれる人を探した、だがそんな人間はほとんど居ない、一般的な人間は異物を好まない、他の人と何か違ったり、そういった物を徹底的に排除する、そうして、今に至る、今なら人口も増えたので受け入れてくれる人は多くなっただろうが、安全に厳しい世界になっており、私がいること自体が分かったら国すらも動き、戦争の道具として使われるか、解剖されて実験されるか、そのまま殺されるか、のどれかだ」

「ならなんで僕に正体を明かしたの?」

「何でだろう、何故か信用出来た、何故か心を許せた、何故かずっと一緒に居たいと思った、何故か、何故、なん、で涙が」

アリーチェさんが泣いてる。

とりあえず安心させるために抱きしめる。

朝変な形の告白になってしまったから今この場で、言うしかない。

「好きです、付き合ってください」

「もちろん、お願いします」

アリーチェさんは泣きながら、笑顔で、そう言った。

安心してくれたのかそのまま眠ってしまったらしい。

眠ってくれたのは良いのだが、どうしようか、抱っこして持ってくしか無いが、頑張るか。

頑張って昨日俺が寝てた寝室に着いた訳だが、疲れきってしまった、アリーチェさんには申し訳ないがベットに座って休憩させてもらおう。






寝ていたみたいだが今何時ぐらいだ?

目を開けて明るさを確認しようとした。

目の前にはアリーチェさんの寝顔があった。

なんでアリーチェさんと寝てるんだ、昨日、何があった?思い出せ俺。

たしか庭に呼び出され、吸血鬼という事を明かされ、その後アリーチェさんをこの部屋に運び、休憩しようとしたら寝てしまったと。

「うにゅ」

アリーチェさんの声がした、これがバレると勝手にベットに入って来る変態だと嫌われるかもしれない。

バレずにアリーチェを起こさずにこのベットから出なければ。

そっと掛け布団をめくり出ようとしたら、手を捕まれ布団に引きずり込まれる。

「逃がさんぞ」

「起きてたんですか」

「初めての夜がこんなので終わると思ってるのか?一応これでも乙女だぞ私は」

「責任を取れと?」

アリーチェが布団から出て言った。

「あくまでも貴様は中学生だ、まだそんな事は早いからダメだ、せめて高校生になってからだなまぁ憲法上は私が捕まる訳だが私に国籍など無いし、私の存在自体が危険だから世に存在が出回ったら私の自由は無くなるだろうだから私のは法を守らなくても良いが守った方が見つかりにくいだろう」

「好きな人に襲われるなら別に良いですけどね」

「ほう」

アリーチェさんが不敵な笑みを浮かべ目の前から消える。

気づいたらアリーチェさんに押し倒されていた。

一応抵抗を試みるが、案の定吸血鬼の力に人間が勝てる訳もなく。

「今言った言葉を後悔しない事だな、、、な〜んてね、流石にしないけど、本気でしたいなら前向きに検討するよ」

検討するだけなのだろうけど。

「だけど」

急に顔を近づいて来て、口付けをされる。

「あげちゃった、私のファーストキス」

嬉しいだけどめっちゃ恥ずかしい、口の中臭かったりしてないかな。

「優輝大丈夫か?、それとも嫌だったか?」

「大丈夫、本当に嬉しかった、なんならもう一度」

「ほぉもう一度と」

言葉が遮られる。

アリーチェさんが口付け、舌を入れてきて、口の中を掻き回される。

気持ちよすぎて頭が真っ白になる。

「どうだった?」

意識が戻る。

「気持ちよかった、あとディープキスって初めてだと気持ちよくないとかネットで見たけど」

「ディープキスの気持ちいいやり方を調べたことがあってな、それを思い出して実行した、気持ちよかったなら良かった」

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