第12話 その塔の下で
異世界二日目。午前10時頃、一行は、【罅谷】に到着した。
表の世界の道でいえば、日本橋から八重洲、有楽町を経由して、日比谷に到着する感じだろうか。
【罅谷】は、その名の通り、
この塔は、元の世界にはなかったものであり、異世界に来たことを改めて強く認識した。
崖から、【象牙の塔】の最上階に向かって、吊り橋が架かっていた。これを渡って、【象牙の塔】の最上階から最下層に向けて降りていくのだという。
「
【象牙の塔】という名称が、閉鎖的な学問の世界にいる、
「【象牙の塔】は、
「ゲームとか嗜まれるんですか?」
「私が子供の頃、親父が
意外な印象だな。
「地下何階まであるのでしょうか?」
ゲーム内のダンジョンだと、地下何百階という階層が存在するが、現実の構造物にそんなに深い階層は存在し得ないだろう。
「最下層は、地下8階まである。」
「結構深いな。それにしても、何故中空円筒状なのでしょう?」
「表向きは、最下層の【光庭】という書庫の採光をするため、だとされている。真の理由は、最下層に着いたときに教えよう。それにしても、中空円筒状だと、慣性
確か、国会図書館も最下層の地下8階には書庫があり、採光のための吹き抜けの名前が「光庭」……。いうことは、この塔は、明らかにそれを模して作ったな……。【象牙の塔】。その塔の下で、何が行われているのだろうか。
「物理学科では、剛体の力学で定番の計算問題ですね。」
「密度をd、内径をa、外径をbとして、ヤコビアンを用いて極座標に変換すると……。」
今度は、慣性
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吊り橋を渡って、【象牙の塔】の最上階に到着。ゑ?「吊り橋効果」?そんなものはなかった。あと、吹き抜けから下を覗くことは出来ないようになっていた。
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受付。個人の図書カード的なものを発行して貰う。こちらには、
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螺旋階段を降りていくと、ここから、本棚・本棚・本棚である。同伴者が、夢遊病者の如く彷徨い歩き出そうとするのを止めるのが大変だった。
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政治系と教育系。同伴者曰く、資格を取得済みの自分にとっては、特に用はない場所、とのこと。
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理工書の階。同伴者が誘惑される気持ちが少しだけ分かる気がした。
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言語学の階。異世界の言語かと思いきや、表の世界の言語も結構あった。
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魔法・魔術・法術の階。「陰陽術」、「
ここで、最下層に下りる許可の手続きを行った。
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書庫。除架された本が眠る場所。中には、禁書とされる本もあり、一般には入れない。
ここで、同伴者の様子がおかしいことに気付く。本を手にしたまま、根が生えたように、微動だにしない。「あと、5分」とか言い出すのを引き摺っていくのが大変だった。
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螺旋階段を降りていくと、【光庭】に通じる扉がある。その扉の向こうには、果たして何が待ち受けているのであろうか……。
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