第9話 【き・お・く】
2600年前。
記憶も結構曖昧だ。あれはいつのことだったか……。
しかし、今日亡命してきた郡山という青年は、あの日、対峙した青年に酷似していた。
彼は、『皆で仲良くやろう』という意味である、『和』という概念を唱えた。『王は民のために、民は王のために』だと?!あの時は、青二才の描く絵空事だと
彼は、
彼は、烏に導かれ、
彼は、
答えは否だった。
正義が勝つのではなく、勝った方が正義なのだ。
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転生後も、
中華思想からすれば、東西南北は、東夷、
約1500年前。彼の直系が途絶えた。
約1200年前。最後の純血の
約820年前。
しかも、ヒヒイロカネの製法も失伝させおって。
他にも、政治の腐敗が四大怨霊を生んだりしたのもこれらの頃辺りか。
約730年前。神風が吹いたらしい。この頃、異国の商人の小僧が、『黄金の国ジパング』等と呼んだ
約120年前。英語公用語化論なるものが浮上する。大和民族は、自らの誇りや矜恃さえ、棄て去ろうとしているのかと危惧した。
数字を3桁毎に読点で区切るのも異国の慣習ではないか。この国は、万進法なのだから、4桁毎に区切らないと理に適わないではないか!
生まれ持った黒い髪を何故茶色や金色に染める?黒は何物にも染まらぬ、究極にして完璧なる孤高の色だというのに。
最近は、
明治維新の頃、必死に翻訳してくれていた先哲の御蔭で、高度な学問を母国語で学ぶことが出来るのではないかね?
その頃に翻訳した漢語を中国は逆輸入して使ったというが、今は、中国はIT用語を自前で訳している。何故日本はそれが出来ない?怠けているのではないかね?
舶来かぶれも結構だが、これは明治維新の先哲の顔に泥を塗る行為ではないか!けしからんよ!
自分達の国の言葉さえ、他国の言語の文化的侵略に抗えない。この国は堕ちるところまで堕ちてしまったようだ……。
だが、あの日の
き:今日
お:怒った
く:悔しい
この【き・お・く】は、
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