42.占領された部屋
カレンの目的は俺への
「ここ、ここっ……げっ! また失敗した!」
「カレンちゃん、ほんとスタダ下手だよね。もはや伝統芸になってる……」
そこまではまあ、大目に見てもいいかもしれない。どのみちカレンはカノンと一緒に夕食を楽しむ算段だったのだろうし、その場所が俺の部屋になっただけ……というか、最初からそこまで織り込み済みだったのだと思われる。
「キノコ読みでショトカっ……ってまたバナナ!? 八位でバナナとかWHY!?」
「カレンちゃん、ほんとバナナ好きだよね。毎日がDKジャングル……」
カレンの言葉を借りるならば二人は以心伝心。茶番めいた裁判でカノンが通い妻みたくなっているなどと騒いでいたが、どうせそれも端から知っていたに違いない。ゆえにあの裁判は夕飯ができるのを待つまで暇潰しで俺をからかっていたに過ぎなかったわけだ。
それについても文句はあるが、まあ許容してもいい。過ぎた話だと水に流してもいい。
「っしゃここでキラー! からのサンダー! 神回避きたー!」
「カレンちゃん、ほんとダイナミックの申し子だよね。それでも結局負けてるけど……」
――が、しかし。
こればかりは許せない。許容範囲を超えている。
「お前ら……いつまで俺の部屋にいるつもりなんだ」
俺からの問いかけに、ゲーム中だった二人は『はい?』と声を揃えて振り向いた。
「いやいやせんぱい、まだ三グランプリ終わったばかりじゃないですかぁ。あたしの本気はここからですからっ」
「カレンちゃん、最初のグランプリ負けた時も同じこと言ってたけど……いつになったらウォーミングアップが終わるの? 永遠にウォーミングアップなの?」
「いやいやいやカノンちゃん、ここまではほんのちょっと手加減してあげてただけだからっ。それにまだ、あたしにはハナチャンバギー+ローラータイヤを超える最強カスタムが……!」
「意味不明な御託を並べるな。俺が言いたいのは、ゲームをするならカノンの部屋でやれってことだ」
そう、こいつらは夕飯を食べ終わったあとも帰る気配を見せず、あまつさえカノンが持ってきていたゲーム機で遊び始めていたのだ。
しかも二人して俺のベッドの上に座ったり寝そべったりしているなどの自適ぶり。俺の部屋なのに俺が休む場所も時間もないなど許していいわけがない。
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