最終決戦

二条家に到着すると門が全壊しておりあちこちで治療されている人たちが目に入る。


妖霊省職員「三栗谷家当主様。あちらの建物へ行ってもらえませんか?」


仁「わかった」

俺は急いで建物へ向かった。


理事長「仁よ。すまぬ封印を解かれてしまった」


全身の傷口から血が流れている理事長が居た。


仁「傷口が!」


理事長「大丈夫じゃ仁。それよりもあいつは都内に向かった」


仁「都内に?」


理事長「恐らく人間を食べるためだろう。頼む早く止めてくれ」


理事長はそのまま喋らなくなった。


仁「理事長!理事長!!」

俺は何度も呼びかけるが返事はない。


二条家「大丈夫ですよ。お疲れになっているだけでしょうから」


そのまま理事長は運ばれて行く姿を見送り都内へ向かった。



数十分後の都内では・・・


テレビ中継がつながっているテレビを見ている。

テレビ「上空からお伝えしております駒田です。悪霊警報が災害級警報に上がりました。都内にお住みの方は速やかに妖霊省が指定する建物もしくは県外まで避難をお願いします」


私は今テレビで見ている中継から目が離せないでいる。


私が陰陽師の少年に助けられた奴よりも大きいのがテレビで見るだけで30体はいる。


怖くて家を出られないでいた。


ピコン

母「やよい大丈夫かい?」

母からメールが来た。


私「助けて怖いよ」


母「今どこにいるの?」


私「家」


母「近くに妖霊省の建物はないのかい?」


私「1km先に避難場所があるけど怖くて動けない」


母「そろそろそっちに三栗谷家当主様が行かれるからそれまで辛抱しておくんだよ」


私「三栗谷家当主様?」


母「そうよ。私の従兄弟が陰陽師なのは知ってるかい?」


私「初めて聞いた」


母「あら、言ってなかったのね」


私「どんな人なの?」


母「やよいよりも若い少年だよ。仁様って言うの覚えたときなはい」


私「わかった。待っとけばいいの?」


母「そうね。やよいはそっちの方が安全かもしれないからね。仁様に会ったら言うことをきちんと聞くのよ」


私「わかった」


私はテレビを見始めた。


悪霊と戦っている人たちが妖霊省の職員だろう。


しかし、悪霊の方が有利に見える。それに悪霊は数が減るばかりか増えてきている。


テレビ「あちらから式神を率いた人が来ました!」


そのテレビに映されたのは私が前、悪霊に襲われた時に助けてもらった少年だった。


その言葉を最後にテレビの中継が途切れた。


やよい「助けて」

私の声だけがこの静かな空間に響き渡った。


妖撃ようじゅつ気術火炎撃きじゅつかえんげき


玉藻「仁よ。敵が多いの」


仁「恐らく本体がどこかにいる」


玉藻「正解。妾が案内してやろうか?」


仁「そんなに身体が欲しいのか?」


玉藻「もちろんよ。目の前に餌がたくさんあるじゃない」


玉藻は悪霊を見ながら言う。


仁「確かにそうかもな」


俺は次々と悪霊を倒していくがきりがない。


「キャー」


住宅街の方から女の人の悲鳴が聞こえた。


まだ避難していない人がいたなんて。俺は急いで悲鳴の先に向かった。


ドンドンドンドンドンドン


ドアを勢いよく蹴られている。

やよい「やめてよ。怖いよ」


私は必死にドアを抑えているがそろそろ持たないかもしれない。


ドォッン

大きな音と共に扉ごと引き飛ばされてしまった。


やよい「来ないで来ないで」


悪霊が私を食べるために大きな口を開く。


中には無数の黒い突起があり飲み込まれそうなほど真っ暗になっている。


「ザシュッ」

と音と共に目の前の悪霊が倒された。


周りにいた悪霊たちも次々と倒される。


一瞬で無数といた悪霊たちが倒された。


1人の少年が近寄ってきた。


男「大丈夫ですか?」


やよい「あなたが三栗谷家当主様の仁様ですか?」


仁「そうですよ。それより早く逃げましょう」

私は前と同じように犬に乗せてもらった。


大きな建物に着いた。この近くに悪霊がいない。


妖霊省職員「三栗谷家当主様こちらです」


仁「すみません。私は行かなければいけない所がありますのでこの方だけお願いできますか?」


妖霊省職員「わかりました。こちらへ」


やよい「助けていただきありがとうございました」


仁「また会いましたね。これあげます」

そう言いお札を貰った。


仁「これがあれば大丈夫ですよ」

そう言い仁様が去っていった。


妖霊省職員「さあ中へいきましょうか」



間に合ってよかった。


仁「玉藻どこにいるか教えてくれないか?」


玉藻「いいわよ。ここから真正面に建物があるでしょう」


仁「ああ」


玉藻「その最上階からみてるわよ。呑気にね」


仁「子供の姿をしているか?」


玉藻「そうね。見た目は子供なのに妖気は化け物ね」


仁「そうだな」

気功


俺は一直線にビルに向かった。


仁「気術火炎撃きじゅつかえんげき


ドオン

粉塵が巻き上がった中から1人の子供が出てきた。


男の子「おにいさんいたいよ」


仁「無傷かよ」


男の子「そりゃあそうでしょ。ぼくのほうがつよいもん」


玉藻「妾はこやつは嫌いじゃ」


それは俺もだから気にするな。


仁「気術爆炎龍きじゅつばくえんりゅう


ドスッ

ドン


俺が壁に蹴り飛ばされた。


速すぎて全く見えなかった。


男の子「おにいさんよわいね」


仁「気術風神力きじゅつふうじんりき


男の子「きかないって」

男の子の右手が大きく膨れ上がり攻撃してきた。


仁「気術妖壁きじゅつようへき

ドカン


ヒビは入ったがギリギリ抑えられた。


男の子「おにいさん後ろだよ」


仁「グッ」

首を掴まれて息ができない。


男の子「おにいさんからなんでようきがかんいとれるの?」


仁「玉藻、俺の身体を使っていいから倒せるか?」


玉藻「もちろんよ。妾に任せなさい」


頼んだぞ


玉藻「仁の気。使っていい?」


いいぞ


玉藻「おい小僧!」

ザシュッ


仁を掴んでいた腕を引きちぎった。


男の子「おにいちゃんきゅうにつよくなったね。いいね〜ぼくもほんきだすよ」


ブチブチブチブチ


男の子「ひさしぶりだな。このちからをつかうのは」


今までの男の子とは到底思えないような巨大な悪霊に変身した。


玉藻「妖術呪物殺ようじゅつじゅぶつさつ


パスン

妾の攻撃が吸収された。


ドスッ

ドン


仁の身体が吹き飛んだ。


それに加え追撃してくる。あの図体でこの速さだとパワーが桁違いで今まで戦ってきた悪霊より圧倒的に強い。


妾の力だけでは勝てないな。

玉藻「仁よ。仁が妾の力をフル活用してくれないか?」


良いけど玉藻はそれでいいのか?


玉藻「今回は協力しようか」


わかった。戻る。


仁「ああ、身体が痛い」


切り傷と肋骨が何本か折れたのだろう。口から血が溢れてくる。


玉藻「今回の敵は強いぞ」


仁「分かってる。妖功ようこう


黒いもやが身体をまとう。


玉藻の妖気が強く力がみなぎる。


押しに力を入れて化け物に近づき蹴る。


ドゴッ

化け物「グアアアアアア」


ドォ――――ン


化け物が吹き飛んだ。


粉塵ふんじんが晴れた化け物を見ると化け物の表面がニュルニュルと動き、傷口が再生している。


追撃するために妖功のまま近づくが払われた。


化け物「クソガキが!!」


化け物が凄い速さで近づいて来る。


化け物「מכה」

仁「気術妖壁」


ガン・・バリン


ドーン


仁「グフ」


視界がぼやけている。遠くから化け物が近づいて来るのが見える。


仁「これは勝てないかもな」


玉藻「仁よ。諦めるのはまだ早いんじゃないか?」


仁「諦めてはいないよ」


玉藻「なんじゃ。秘策があるのか?」


仁「あるよ。禁術」


玉藻「おい、仁それは・・・」


仁「呪印紙」


「まさかお前がそれを使うとはな」


仁「国彦くにひこ様」

国彦様は三栗谷家の先代当主様だ。


国彦「まあ使ったのならしょうがない」


国彦「禁術理封壊きんじゅうつりふうかい


化け物「グアアアアア」

化け物が痛みに苦しんでいる所に俺は近づいて行く。


仁「今度は一生復活させないよ」


俺は玉藻を出し化け物を食べさせた。


グチュグチャグチュ


やっと終わった。


仁「玉藻この身体を約束通りあげるよ」


玉藻「大事に扱おう」

俺の意識はそこで途絶えた。



私と華さんと倫花さんで都内に向かった。


しかし悪霊の姿が1体たりともいない。


瞳「どういうことだと思いますか倫花さん?」


倫花「誰かが一人であれだけの数の悪霊をやったのかもしれないわね」


瞳「お兄様は?」

私は妖霊省の職員がいる建物に向かった。



妖霊省職員「神宮寺家当主様方どうされましたか?」


倫花「三栗谷家当主を見なかったですか?」


妖霊省職員「先ほどまで戦闘音が聞こえたのでこの近くにいると思われます」


倫花「分かりました。ありがとうございます」


私たちはこの周りを探した。


倫花「瞳ちゃん、華ちゃんこれ」

そう言い倫花さんが取り出したのはお兄様の式神たちの札だった。


瞳「それどこに落ちてましたか?」


倫花「あっちにあったよ」


案内された場所には大量の血だまりと肉塊それに腕が落ちていた。


瞳「お兄様の手だ」

お兄様は左手の中指に指輪を着けている。


私と華さんはボロボロと涙を流した。


倫花「2人とも帰りますよ」

私たちは倫花さんに連れて帰られた。




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