トーナメント

遂にトーナメント当日となった。


トーナメントは5日間にわたって開催されるため初日で負けてしまうと4日観戦という地獄が待っている。


俺は1回戦から準々決勝まで「妖撃ようげき」のみで勝ち進んだ。


如月さんは2回戦で敗戦し、橘さんは4回戦で敗戦した。


4日目


華「準決勝を開催します。」


次の相手は3年の市東一花しとういちか先輩だ。主に体術だけここまで上がってきた。


術を使う相手であればそれ以上に強い術を出せば倒せるが体術が得意な人に対しては総合的に強くないと勝てない。


華「市東一花しとういちかVS三栗谷仁みくりやじん


市東「よろしく仁君」


仁「お久しぶりです生徒会長」


市東「本当に生徒会に入る気ないの?」


仁「ないですよ」


華「はじめ!!」


戦いが始まったと同時に目の前に生徒会長がいた。


市東「気術火玉」


仁「気術妖壁」

パスン


結界で弾いた。


ドスンドスンドンスドスン

生徒会長が妖壁を殴っている鈍い音が闘技場に響き渡る。


ドスンドスン

ピキ


妖壁にヒビが入る。この力で殴られたらひとたまりもない。


市東「仁君遊ぼうよ」


仁「えっ!」


まさか市東さん戦うと人格が変わる人なのか。


市東「仁君早く出てきてよ。ほらほらほら」

ドスンドスンドスンドスン


殴りのスピードが速くなっている。


ピキピキピキバリン


遂には妖壁が割れた。


市東「みいつけた」


シュン

俺はギリギリ避けたが髪の毛が数本と肌が浅く切られた。


市東「避けないでよ。そうしたら楽に退場」


仁「こわ」


あのパンチに当たったら死ぬ。


仁「気功」


全意識を足に集中し最速で近づき殴った。


先輩は壁に激突し動かなくなった。


華「勝者三栗谷仁!!」


ウォオオオオオオオ


生徒会長は強かったけど人格が変わったことが怖かった。


この試合を一人の男が見ていた。


男「仁君って強いんだね」


??「仁は強いぞ。わしは一回負けているからな」


男「俺勝てると思う?」


??「勝てないな。今のお前だとな」


男「どうやったら勝てる?」


??「お前の身体を俺が使えば勝てると思うぞ」


男「分かった。貸そう」


男の周りに黒いもやまとい始めた。


男はニヤッと笑いその場を去った。


準決勝は圧勝で勝ち上がったそうだ。勝った生徒に妖気を感じたため恐らく悪霊と契約していると思う。


仁「玉藻、相手の悪霊食べる?」


玉藻「妾はお腹空いていないぞ」


仁「分かった。じゃあ食べて」


玉藻「お主は人遣いが荒いのう。まあ食べるけれど」


決勝戦が始まった。


華「決勝戦では両者ここまで圧倒的な強さを誇っているこの2人が対戦だ。1人目は三栗谷仁」


ワアアアアア


華「もう1人はダークホースだった。斎藤師史郎さいとうししろう


ワアアアアア


華「理事長この2人の戦いはどう思われますか?」


理事長「そうですね。斎藤君は今回のトーナメントは人が変わったのではないかと思うほど強いですね」


華「それはダークホースだったということで間違いないでしょうか?」


理事長「ダークホースだね。両者頑張ってれ」


華「それでははじめ!」


斎藤「妖撃」


仁「気術妖壁」


斎藤「さすが仁君。やっぱり強いね」


仁「どちらさまですか?」


斎藤「私かい?仁君のファンだよ」


嫌な感じの相手かもしれない。


仁「気功」


俺が詰め寄り殴るが防がれる。


斎藤「仁君まだまだ遊ぼうよ」


ガキンキンキンカンキンカン


あまりにも速すぎて生徒たちには戦いの様子が見えていない。


華「なんと三栗谷選手の攻撃がすべて弾かれています」


理事長「良い戦いじゃのう」


キンキンキンキンキン


ガキン


斎藤「仁君もっと力出していいよ」


斎藤の妖気が増々増えている。


仁「玉藻いつ食べる?」


玉藻「こいつを気絶させて周りを妖壁で囲んでくれない?」


仁「分かった。妖功」


最速で斎藤に近づく。


斎藤「えっ」


俺は思いっきり斎藤の腹部を横から薙ぎ払うように蹴った。


ドォォォォン


追撃で斎藤の意識がなくなるまで殴った。


斎藤「もうもう降参です」


仁「お前その力をどこで得た?」


斎藤「なんのことですか?」


仁「斎藤君、お前の悪霊を今ここで殺してもいいんだぞ」


斎藤「え?なんのことですか?」


仁「まだとぼけるのか?」


斎藤「なんのことですか~」


仁「分かった。お前には降参させない」

俺は斎藤を殴り始めた。


ドカンドカンドスドスドスドス


斎藤「やめてやめてください」


仁「本当のこと言う?」


斎藤「本当のこと言います」


俺は殴るのをやめて斎藤を見るとあざだらけになっていた。


斎藤「酒呑童子っていう悪霊です」


あいつか


仁「玉藻どうする?」


玉藻「酒呑童子に出てきてもらったら?」


仁「そうしよう」


仁「斎藤君、酒呑童子をだしてくれない?」


斎藤「わかった」


酒吞童子が出てきた。


酒「久しいな主よ」


仁「久しぶりだな酒呑童子」


酒「今回はどのような件で?」


仁「お前を殺すか生かすかの話」


そう言うと酒呑童子の表情が暗くなった。


仁「今回はなんで斎藤君と契約したの?


酒「俺さお酒飲めればいいじゃん。だから宿主の身体が必要なわけよ。」


仁「それで?」


酒「こいつが力が欲しそうだったから渡しただけ」


仁「玉藻はどう思う?」


玉藻「生かしてていいと思うな」


仁「酒呑童子、絶対に人は襲うなよ」


酒「約束しよう」


俺は妖壁を解除した。


華「勝者三栗・・」

すると上空から1体の式神が降りてきた。


どうやら伝言を伝えにきたらしい。


式神「八神家が悪霊の襲撃に遭っています。すぐに応援を」


いきなりの事で学生達は動揺している。


それに式神を伝達で使える学生はいないため初めて陰陽師の技術の高さを目の当たりにしたのだろう。


理事長「仁すぐに向かえ」


仁「はい」

「とび」を出して八神家へと向かった。



俺が八神家に到着した頃には門や屋敷は粉々に跡形がなかった。


封印もどうやら解かれているらしい。


全員の怪我の具合をみたが全員気絶しているだけだったのでホッとした。


安成「仁、すぐに二条家に向かってくれ」


仁「安成さん!」


安成「早く二条家に」

安成さんは叫んで気絶した。


俺は二条家に向かった。

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