後日

華「仁様大丈夫ですか?」


仁「大丈夫だよ」


華「傷だらけじゃないですか」


華さんに治療してもらった。


夏でも夜の空は肌寒い。


仁「気術火炎きじゅつかえん

火の玉を手のひらに作る。


仁「火って温かいですね」


華「そうですね」


家に着くと俺はすぐに瞳の部屋に行った。


仁「瞳いる?」


瞳「いますよ。お兄様」


仁「昌矢が健康に気を付けて長生きしろって、あと上の兄ちゃん2人みたいに悪霊とは絶対に契約するなよって」


瞳「なんでお兄様たちはいつも自分勝手なんでしょうね」

瞳は怒っているように言ったが、涙が零れている。


仁「ごめんね自分勝手なお兄ちゃんたちで」

俺はそれ以上声を掛けることができなかった。


ここから夏休みが終わるのは一瞬だった。


悪霊が発生することも無く、今まで起きたことが夢ではないかと思うほど静かな夏休みだった。


遂に明日は登校日だ。


桜田さんがいない学校ってどんな感じなのか全然想像がつかないが俺は三栗谷家を瞳に任せて寮に向かった。


翌日、俺は久しぶりの学校に懐かしく感じた。


教室につくが桜田さんの姿がないことに悲しく思う。


担任「神宮寺家への悪霊の襲撃で分家である桜田家の桜田千夏さんも悪霊に殺されてしまいました。


現場では神宮寺家当主だけが生きていましたが当主様も重傷です。皆さんも黙祷を捧げましょう。」


全員が黙祷をする。


担任「神宮寺家の他にも八神家と二条家が悪霊に襲われています。


君たちは命の危険がある場面にこれからたくさん遭遇するでしょう。それでも前を向いて進むしかありません。


桜田さんの件は残念ですが陰陽師として人々の平和を守るために力をつけて卒業しろ」


先生の言葉に改めて陰陽師として働くことでの命の危険さを感じ取った生徒たちであった。


今日は応急処置で使える術についての説明があった。


陰陽師は基本的に前線で戦うことが多いため自分の命は自分で守るしかない。


担任「来週は全学年合同でトーナメントを実施する。


何でもありのトーナメントだから準備をしっかりして臨めよ」


トーナメントは学年関係なく全員参加で行われる。


如月「仁君久しぶり〜」


仁「久しぶり」


橘「仁君大丈夫?」


仁「何が?」


橘「さっきからずっとうわのそらだよ」


仁「うん。そうかもね」


橘「私が癒してあげる!」

橘さんがハグしてきた。


人の暖かさを感じる。


仁「桜田さんを守れなかった」


橘「仁君は悪くないよ」

橘さんが撫でてくる。気恥ずかしいが自然と涙が零れた。


仁「守れなくてごめんね」

仁から消えそうなほどか細い声が聞こえる。


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