華
俺は部屋に戻る前に倫花さんの部屋に寄った。
仁「倫花さんおられますか?」
倫花「どうした仁?」
仁「明日か明後日に瞳が稽古をつけて欲しいと頼み込んでくると思います。その時はよろしくお願いします。」
倫花「全然良いよ!」
仁「ありがとうございます」
倫花「もう戻るのか?」
仁「はい。長居しては迷惑かと思いますので」
倫花「仁。私の話を聞いてくれないか?」
仁「良いですよ」
その後色々聞いた。神宮寺家の皆さんのことや毎日何をしていたかみんながいなくなった当日どんなことをしていたのか、何が好きなのかを聞いた。
倫花「仁、聞いているのか!!」
仁「聞いていますよ。結構、吞まれましたね」
倫花「全然吞んでない。まだ寝ないぞ」
べろんべろんに酔ってらっしゃる。
仁「まだ吞まれますか?」
倫花「もちろんだ。酒もってこい」
俺はお酒を取りに自分の部屋に向かった。
仁「倫花さんの部屋に戻ったころには熟睡されていた」
俺は倫花さんを布団まで連れて行った。
倫花「まだ呑めるぞ」
俺は驚き倫花さんを見たがどうやら寝言のようだ。
仁「おやすみなさい」
俺は部屋を出て自室に戻った。
翌朝
いつも通りみんなとご飯を食べる。
華さんはいつもより笑顔が多く倫花さんは二日酔いみたいで顔色が悪い。
瞳は元気がないようだ。
昨日は少し強く言いすぎてしまったかもしれないと反省している。
みんなでご飯を食べ終わり俺は部屋に戻った。
10時前に華さんの部屋に向かった。
仁「華さん服に合ってます。可愛いですね」
華「仁様もかっこいいです」
仁「華さん行きましょうか」
華「はい」
とびを召喚した。
初めて学校に向かうときに通った街中に行った。
陰陽師や祈祷師は普段は街中に行かない。なぜなら霊が視えてしまい視界が悪いからである。人によっては集合体恐怖症で気分が悪くなる。
華「仁様、クレープ食べましょう」
華さんは全然大丈夫なようだ。
華「美味しいですね」
華さんの笑顔が可愛い。
華「服屋さんに行きましょう」
華さんが試着室でいろんな服を着て仁に見せる。
仁「華さん何でも似合いますね」
少し照れている華さんも可愛い。
そんなこんなで時間が過ぎた。服を買い食事をしてボウリングもした。
今まで遊んだことがほぼなかったから一瞬で時間が過ぎて夜になった。
華「仁様もう帰りましょうか」
仁「そうですね。帰りましょう」
俺は華さんと人気がない場所に歩いていく。歩いている途中に一つの路地裏が気になった。
玉藻の力を使ってから目に見えなくても悪霊の数や強さを認識できるようになったため、華さんは大量の悪霊の存在に気が付いていない。
仁「華さん。やっぱりあっちから帰りましょう」
そう言い俺はUターンする。
華「良いですけど、どうかされましたか?」
仁「なんでもないですよ」
すると玉藻が声をかけてきた。
玉藻「仁よあそこに1体だけとても強い奴がいたぞ」
仁「そいつは悪霊を生み出していたか?」
玉藻「いや食べていたな」
仁「わかった」
仁「華さん先に帰っといてください」
俺はとびと柚を出した。
華「どうされたんですか?」
仁「知人を見つけたので挨拶をしようと思いまして」
華「待っときますよ」
仁「いえいえ長くなりそうなので先に帰っていてください」
華「何か怪しいですね」
仁「そんなことないですよ」
華「仁様がそんなことをおっしゃられる時は毎回戦われていますよね」
仁「そんなことないですよ」
華「私は絶対に待っときます」
仁「分かりました。じゃあとびに乗って待っていてください」
華「早く帰ってきてくださいね」
仁「はーい」
俺は足早に殺気の場所に向かった。
とびと柚を残したのは悪い方向に進んだら柚の気術束刻を華さんに使い拘束したまま屋敷に逃げてもらうためだ。
それに柚は祈祷師なので人を守ることに特化している。
俺は先ほどの路地裏に入る。
仁「お前こんな所で何をしている」
「オマエダレ?」
仁「そんなことはどうでもいいだろ」
「オレノコトバガワカルノ」
仁「分かるよ」
「オマエモアクリョウ?」
仁「違うよ。陰陽師」
「ナンデハナセルノ?」
仁「色々あるの」
「イロイロカ。マアイイヤオマエタベル」
仁「死にたいのか?」
「ヤッテミロ」
そいつの触手が飛んでくる。
ドォンン
壁にヒビが入った。俺は冷汗が流れる。
まじかこんなの当たったら一撃で死ぬ。
「ヨケルナヨ」
仁「避けるわ危ない」
本当に危ない。
仁「
ボォォン
そいつは触手で防いだ。
仁「
触手が1本焼け落ちた。
仁「気功」
俺は殴る
ドッォォンドンドンドンドォォン
「オマエホントウニニンゲンカ?」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドッカン
仁「
ボォォン
ウウーンピーポーピーポ
そうやら誰かが警察を呼んだようだ。
悪霊は壁に寄りかかっていた。
仁「死んでくれ。
「לָמוּת」
すると突然、妖気の塊をぶつけてきた。
こいつ妖術使えるのかよ!
ボン
俺は空中に吹き飛ばされた。
「תְאוּצָה」
目の前にはあいつがいた
「מכה」
触手に攻撃された。
「תְאוּצָה」
殴られた真後ろにあいつがいる。
「לָמוּת」
妖気の塊を背中からぶつけられた。
ドォォン
俺は地面にめり込む。
ドタドタドタドタ
あいつが近づいてくる。
「バイバイニイチャン」
こいつまさか
「אַפּוֹקָלִיפּסָה」
これは聞いたことがある。まずい
仁「雫」
俺は雫を召喚した。
雫「
サクッ
触手が切れて雫のおかげでギリギリで発動を阻止できた。
雫「主様逃げましょう」
仁「大丈夫だ。ありがとう」
立ちあがる。
「キシシシシ サスガニイチャンツヨイネ」
恐らく昌矢だろう。俺を兄ちゃんと呼ぶのは昌矢しかいない。
「コレデサイゴニシヨウカ」
「שִׁעתוּק」
昌矢の身体の傷が治っていく。
「אַפּוֹקָלִיפּסָה」
仁「気功」
雫「
ドォォォォォォォォンン
粉塵が立ち込める。どうやら雫はやられたようだ。
あの攻撃は想像以上に強く俺はもう動けない。
もし昌矢が立っていたら俺はどうすることもできない。
粉塵が晴れきた、そこには人間の姿をした昌矢が横たわっていた。
俺は最後の力を振り絞り昌矢に近づく。
昌矢「兄ちゃんやっぱり強いね」
仁「そうだろ」
俺は笑いながら言う
昌矢「俺は強くなりたかった。みんなみたいに陰陽師になりたくて悪霊に力を貰ったけど全然ダメだった。」
仁「そうだな」
昌矢「やっぱりあの時に悪霊の力が欲しいと思うべきではなかったと今は思う」
仁「昌矢、三栗谷家に一緒に帰ろうか」
昌矢「いやそれは無理かな」
仁「なんで?」
昌矢「兄ちゃんは分からないと思うけど人間が悪霊の力を使いすぎると代償を取られるんだよね」
仁「分かるよ。俺も悪霊と契約してるからね」
昌矢「え!兄ちゃんも」
仁「そうだよ」
昌矢「兄弟似た者同士だね」
仁「そうだな」
昌矢「兄ちゃん最後にひとついい?」
仁「どうした?」
昌矢「兄ちゃんごめんね。俺のせいでここ数年兄ちゃんがとても大変だったでしょ」
仁「そうだな。大変だったわ」
昌矢「それを謝りたかっただけ。あと、瞳に伝えといて」
仁「なんだ?」
昌矢「健康に気を付けて長生きしろって、上の兄ちゃん2人みたいに悪霊とは絶対に契約するなよって」
仁「その言葉をお前が伝えろよ昌矢。帰るぞ」
昌矢「ごめんね兄ちゃん。もう疲れた」
仁「おい、昌矢」
俺は昌矢の方を揺さぶる。
仁「昌矢、しっかりしろ。おい」
昌矢「バイバイ兄ちゃん」
昌矢の気が消えた。それから昌矢が動くことはなかった。
数分後警察官と妖霊省の職員が来た。
事情を説明すると解放してくれた。後処理はこちらでするから帰っていいと言われた。
俺は華さんの所に向かった。
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