最終話

お兄様がいなくなったあの戦いから2年が過ぎた。


悪霊は妖霊省で対処できるくらいの悪霊しか発生せず2年間、陰陽師5家が呼ばれることがなかった。


おそらく今までの悪霊はあいつが生み出していたものだと思う。


私はそのまま三栗谷家の当主となった。


華さんは妖霊省の特別顧問に就任されながら、仁様が生きてると信じて今も三栗谷家で待ってあられる。


私もお兄様が死んだとは思いたくない。


咲は都内の学校に進学した。どうやらお兄様が入学金や学費などのお金を出しておられるようだ。


お兄様はやっぱりすごい人だ。代々、霊の視えない者はこの家には居れなかったがお兄様はその常識をくつがえしてのけた。


理事長は二条家当主の座を降り陰陽師育成学校の理事長も辞められ今は二条家でゆったりとした生活をしておられる。


倫花さんが居た神宮寺家は事実上消滅して倫花さんは陰陽師育成学校の理事長となった。


八神家、一堂家の当主たちは相変わらず元気だ。


私は神職中段になった。



男「ふぁぁぁぁ」

男が起きた。その男には左腕の肩から先がない。


男「あれ?もう良いのか?」


女「妾はもういいよ。十分食べた」


男「あの日からどのくらい経った?」


女「たぶん3年じゃな」


男「帰るか。お前もくるか?」


女「よかろう。行こう。お主の最期を見てみたいものだからな」


男「わかった。行くか」

「くう」男は犬の式神を呼び飛び立った。



門ら辺がいつも以上に賑わっている。


使用人「瞳様大変です。早く来てください」

珍しく家の使用人が慌てている。


私は使用人について行った。


門では子供も大人も大騒ぎである。それに今は都内にいるはずの咲の姿もあった。


私は門に向かい歩いて行く。


すると見覚えのある一つの顔があった。


仁「ただいま瞳」


瞳「おかえりなさいお兄様」

私は涙が無数にこぼれ落ちるとお兄様が優しく抱きしめてくれた。


しばらく経つと華さんや元理事、現理事長、八神家一堂家当主達が次々とやってきた。


当主や元当主達は用事があるため2、3日で帰られ、私は久しぶりにお話をした。


瞳「なんですぐに帰ってこられなかったのですか?」


仁「いろいろあってね」


瞳「もういろいろってらなんですか!お兄様達はいつも隠し事ばっかり」


仁「ごめんね。でもこれからはずっと三栗谷家にいるよ」

お兄様が優しく微笑んでくださった。


瞳「もう、良いですよ」

私はお兄様に抱きついた。


仁「どうしたの?」


瞳「これで許してあげます」

お兄様はハグをしてくれた。


それからお兄様は華さんと結婚された。数日後、お兄様は悪霊と契約していることを華さんや陰陽5家の各当主たちに話された。


お兄様はたまに誰かとお話しされているが恐らく契約している悪霊とだと思うが少し嫉妬しちゃう私がいる。


お兄様が戻ってきてからは楽しい日々を送っている。


俺が帰ってきて1年が経つ。生活が穏やかすぎてこんなに幸せで良いのかと困惑することが多々ある。


玉藻「仁、そんなに考えなさるな。亡くなった者たちの分もお主が生きれば良かろう」


そうだな。


俺はこれからも瞳や華たちと楽しく生きていこうと思う。




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最後まで読んでいただきありがとうございました。


仁は私が一生体験できないようなことを体験し、絶望の中でも前を向いて生きるという信念を見せてくれたので私も学ぶことが多かったです。


また次の作品でお会いしましょう。

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陰陽師の現当主が陰陽師育成学校に入学する?? さまえる @samaeru36

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