お盆(2)

私が視線の先に歩いて行くと縁側に1人いた。


華「倫花様お身体はもうよろしいのですか?」


倫花「華ちゃんみんなを守れなかった」

私は寄り添いながら話を聞く。


実力があり、心も強いあの倫花さんが泣き崩れている。


倫花「みんなもういないし、封印も守れなかった」

私は当主になったことがないため何を声かけて良いかわからない。


仁「倫花さん」

仁様が来られた。


仁「皆さんは倫花さんのために戦われました。」


倫花「でもみんな死んだ」


仁「そうです。たがらこそ皆さんのために倫花さんがならなきゃいけないことはなんですか?」


倫花「悪霊を倒すこと」


仁「そうですね。ですからまだお身体を休ませなければいけませんので寝ませんか?」


倫花「わかったわ」


仁「私がご飯を運びますので部屋にいてくださいね」


倫花「わかってるって」


倫花様は部屋に戻られた。


当主である仁様だからこそ立場が分かる倫花様に声を掛けれる。


華「仁様ありがとうございます」


仁「こちらこそ倫花さんの話を聞いてくれてありがとう。華さん」


仁様はそう言われて台所へ向かった。


瞳「華さんご飯食べましょう」


華「はい。今行きます」


瞳様と広間に向かってみんなと食事をした。



俺は倫花さんと食事をしている。


仁「倫花さんご飯美味しいですか?」


倫花「味が全くしない」


仁「そうですよね。身体を壊さないようにご飯だけは食べてくださいね」


倫花「そうだな」

倫花さんは黙々と食べている。


桜田さんを守れなかったのがとても悔しい。


だけど今の倫花さんが勝てなかった相手に気功だけを使う俺では絶対に勝てない。


「仁よ考え事をしている最中で悪いが、妾の力を次に使うときは覚悟しておいた方がよいぞ」


仁「どういう意味だ?」


「妾との契約内容を忘れてはあるまいな?」


仁「もちろんだ。」


「なら妾がこれ以上言う必要はないの」


仁「ちょっ」


最後まで言う前に消えた。


どうやらこれからの戦闘で玉藻の力を頼ることはもうできなそうだ。


俺はそれ以上考えることを止めた。


俺は倫花さんの分の食器を持って部屋を出た。


台所は大忙しである。


仁「お疲れ様です」


「仁様、食器はこちらへお願いします」


「ありがとうございます」


仁「いえいえ、ご飯とても美味しかったですよ」


そう言い台所を出た。今日は華さんが子供たちに稽古をつけていたらしい。


大人たちよりも子供たちの方が元気だったと言っていた。


縁側に座っていると瞳が来た。


瞳「お兄様。もう大丈夫なのですか?」


仁「もう大丈夫だよ。稽古楽しかったか?」


瞳「はい!華さんの教え方が上手で分かりやすかったです」


仁「それは良かった。華さんに伝えたら喜ぶだろうな」


瞳はこの2日間であった事を話してくれた。


ご先祖様は料理にとても満足してくれたそうだ。


瞳「お兄様。私、酒呑童子と契約しました」


仁「そうか」


瞳「はい。ですので力の使い方を教えて欲しいです」


仁「いいぞ。酒呑童子呼んでくれ」


瞳は酒呑童子を呼び出した。


酒「久しぶりだな仁」


仁「久しぶりだな」


酒「で、今回は何用で?」


仁「瞳がお前の力の使い方を教えて欲しいと言われたんで協力してくれないか?」


酒「分かった。じゃあ主様教えますね」

と言い立った。


酒「まず「フッ」と力を入れます。次に「ハッ」とすれば完璧に使えます」


瞳「????」


仁「確かにそれで合ってはいるがそれでは伝わらないな」


瞳「え!これ合ってるんですか?」


仁「合ってるぞ。」


仁「基本的な使い方は気功と同じだが使うときはこいつに力を借りて気功を使うようにすればできる」


瞳「力をお貸しください」


酒「よかろう」


瞳から妖気を感じる。酒呑童子の力が流れているのだろう。


瞳「うう・・ああ・・ああ」

瞳が苦しんでいる。多分初めて力を貸りたのだろう。


悪霊に適合することができなければいくら陰陽師とはいえ、悪霊になってしまう。


瞳がもがき苦しんでいる。


瞳「ううああああああ」

どうやら瞳にはまだ早すぎたようだ。


仁「酒呑童子やめろ」


酒「分かりました」


瞳からの妖気が小さくなる。


先ほどまでは苦しんでいた様子だったが今は落ち着きを取り戻している。


瞳「お兄様なんで止めるんですか!!もっともっと力が必要なのに早く早く強くならなきゃいけない」


その言葉と共に瞳は意識を失ったように倒れた。


俺は瞳を抱きかかえ部屋に向かう。


瞳は何をそんなに焦っているのか俺にはよくわからなかった。


瞳を寝かせた。俺が部屋を出ようと立つと瞳に袖を握られた。


瞳「お兄ちゃんいかないで」


俺は瞳を見るがぐっすり寝ている。


どうやら寝言のようだ。


仁「大丈夫だよ瞳。家は守るからね」


俺は瞳が寝ている布団の横に袖を握られたまま座った。

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