お盆(1)

家に着くと使用人たちがすぐに仁様をお風呂に入れた後に、布団に運んでくれた。


相当疲れておられたのかこの最中は一度も起きられなかったが朝になっても起きて来られない。


朝ご飯はみんなすごく静かだった。


例年お盆の時期はうるさいと思うほど賑やかなのだが今回は色々ありすぎた。


「華、仁様のお役に立ちたいんだけどどうすればもっと強くなれる?」

めずらしくお父さんが聞いてくる。


華「鍛錬するしかないね」

そう、仁様は幼い頃から毎日鍛錬をされていたかた今の力がある。私も神職上段だけど鍛錬を怠ったことは1日もない。


父「俺に稽古をつけてくれないか?」


華「良いけど私は仁様ほど優しくないよ」


「もちろんだ」


「俺も参加して良いか?」


「私も」


「僕も」

想像以上に参加者する声が多かった。私は参加者に昼前に庭に集まるように伝えた。


仁様のお役に立ちたいと思うのが私だけではなかったことを知り嬉しく思った。


昼前


私が庭に着いた頃にはたくさんの人が集まっていた。参加すると言った以上の人が集まり子供たちもいる。


華「今から1時間、気功を使うけど使えない人いる?」


「僕まだ使えない」


華「分かった。じゃあ教えるね」

使えない子供たちを集めた


華「お父さんたちはもう初めて。1時間後に戻ってくるから」

そう言い子供たちを少し離れた場所に連れて行った。


「華お姉ちゃんどこ行くの?」


華「ここだとお父さんたちが見えるからちょうどいいね」


華「いまお父さんたちが気を使っているのはわかる?」


「うん」


「光っているのがみえるよ」

気功を使うと光が視える。


華「みんな視えてるみたいだね。次に使い方はまず集中するの」


さっきまでにこにこしていた子供たちが無表情になった。


集中している。


華「体が熱くなってきた?」


「うん!熱くなったよ」

みんなできているようだ。


華「それを続けてやってみて」

子供たちの体が光っている。


恐らく成功している。


華「そのまま散歩しようか」

子供たちを連れて歩く。


「体が軽い」


「華お姉ちゃん見て。高く飛べる」

子供たちはぴょんぴょん跳ねたり思い思い行動をしている。


どうやらみんな気功が使えているようだ。


何人か辛そうな顔をしている子供たちがいる。


華「辛かったら気功をやめていいよ」


そう言うと何人かの子供たちが気功を解除して座り込んだ。


華「疲れた?」


「つかれた!けど楽しかった」

「華お姉ちゃん教えてくれてありがとう」

「ありがとう」


子供たちの笑顔が眩しい。


突然後ろから妖気を感じた。


私が後ろを振り返るとそこには瞳様がおられた。


瞳様は先ほどまで気功を使われていたはずではなかっただろうか?


華「瞳様それは?」


瞳「華さんはわかりますよね。お兄様みたいにもっと上手く使えるようになればこの屋敷を守れると思ったんですけど」


華「悪霊と契約されたのですか?」


瞳「はい。お兄様の悪霊と契約しました」


あれ?仁様の悪霊は玉藻だけじゃないの?


華「悪霊との契約は代償があると聞いたことがあるんですが、本当ですか?」


瞳「本当ですよ。」


華「なんですか?」


瞳「教えられません。これは契約者と悪霊だけの秘密なんです」


華「すみません」


瞳「当然気になりますよね。一つ私から言えることは私の悪霊よりお兄様の悪霊の方が強いです」


華「では代償は瞳様より大きいんですね」


瞳「そうです。私より重い代償って何をかけられたんでしょうね。・・・」


その事実がショックという形で来たのか瞳様の話が入ってこない。



瞳「・・さん」

誰かが呼んでいる。


瞳「華さん大丈夫ですか?」


華「大丈夫ですよ。そろそろ大人たちの所に行きましょうか」


考えすぎていたようね。


華「みんな楽しかった?」


「楽しかった!」


「もっとやりたかった」


華「お父さんたちのとこに戻ろうか!」


遠目から見ているとお父さんたちはとても疲れているのか座り込んでいる。子供たちは元気だ。


華「どうだった?」


父「こんなのを毎日やっているのか?」


華「そうだよ。仁様はこれを毎日2時間だね」


父「2時間も!」

お父さんや他の大人達は驚いているようだけど継続してやらないと強くならないからね。


華「お昼ご飯にしましょう瞳様」


瞳様がみんなに声をかけて広間に向かった。


私は自分に向けられる視線に気づいたのでそちらに向かった。

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