迎え火(2)

「おう仁、久しぶりじゃな」


仁「お久しぶりです。国彦くにひこ様」


三栗谷家を陰陽師5家の1つにまで成長させた先代の国彦様だ。


国彦「ここも随分、悪霊から攻撃を受けて被害が大きかったのだろう」


仁「はい。しかしみんなの協力で復旧工事はすぐに終わりました。」


そんなお話をしながら修理した門や塀、屋敷を案内した。


国彦「仁がちゃんとしているから家の者がみんな仁に付いて行っておるな。良いことじゃ」


仁「ありがとうございます」


「お話し中すみません。仁様に二条家の当主様より電話が来ております」


二条家当主からの電話ということは緊急の要件かもしれない。 


仁「国彦様。私はこれで失礼いたします。」

俺は一礼した。

仁「要件は何と言われましたか?」


「はい。用件は聞いておりませんが緊急だと申されました。」


仁「お電話変わりました」


理事長「仁、緊急事態だ。いま八神家、二条家、神宮寺家が襲われている。二条家はもう少しで制圧できそうだ。


八神家には妖霊省の職員もいるが一応一堂家を向かわせた。


仁は神宮寺家に行って欲しい。」


仁「分かりました」


理事長「どのくらいで付ける?」


仁「40分ぐらいです」


理事長「分かった。そっちは頼んだぞ」


仁「はい」


電話を切った。


仁「電話呼んでくれてありがとうな」


「いえいえたまたま近くを通りかかりましたので」


仁「私はいまから行ってくるから私が夕食に間に合いそうになかったら先に食べといてくれとみんなに伝えてくれるか?」


「わかりました。仁様すぐにお弁当準備しますので行く前に台所に寄ってください。」


華「仁様どこへ行かれるのですか?」


仁「ちょっと神宮寺家に行ってきます」


華「私も行きますよ」


仁「華さんには家を守って欲しいです。お願いできますか?」


華「しょうがないですね。無理しないでくださいよ」


仁「妖霊省の職員もいるので大丈夫だと思うけど念のために行くので大丈夫ですよ」


華「無事に帰ってきてくださいね」


俺は台所に寄り弁当を持って家を出た。


街中は霊がいつもより多かったためとびで行くことにした。


40分後、神宮寺家に着いた。


一言で表すなら悲惨である。


人肉が飛び散り妖霊省の職員らしき制服の人の顔が無くあたり、一帯が血にまみれていた。


式神は壊され門と塀はボロボロになっていた。


俺は神宮寺家の屋敷の中に入った。


中では大人、子供たちも殺されていた。その中に見知った顔もいた。


桜田さんだ。俺は桜田さんに駆け寄る。


桜田「はあはあ、仁君」


仁「桜田さん、もう少しだけ耐えて」


柚を出して応急処置をしてもらう。しかし傷が深く血が止まらない。


桜田「私ね仁君に会えて良かった。」

仁「うん」

俺は泣きそうになりながらも涙を堪えて返事をする。


桜田「まだ少ししか経ってないけど修行以外で同年代の子たちと話したことなかったの」


仁「うん」


桜田「仁君と話せて嬉しかった」


仁「俺もだよ」

桜田さんは少しびっくりした顔をした。


桜田「それ・・もっとみんなと・・・べりした・・・し遊び・・・・な」


仁「桜田さん桜田さん」

俺は彼女の肩を揺さぶる。


最後に桜田さんは息を引き取った。


陰陽師の家に生まれて陰陽師として生きていくなら人との別れが多い仕事である。


普通の人よりも多くの物を背負っているため仕方ないが友達の死は悲しい。


俺は他に生存者がいないか探した。


「仁」

どこからか声が聞こえる。


「仁、後ろ」


俺が振り返ると倫花さんが血だらけで倒れていた。だが倫花さんの傷は浅い。


倫花「仁、千夏がね学校の話よりも先に仁の話を楽しそうに話してたよ。

千夏と話してくれてありがとうね」


倫花さんの言葉に俺は涙が流れてくる。


仁「誰がやったんですか?」


倫花「最初にね門番をしてくれていた妖霊省の職員が門の前にいるということで門の所に行ったの


そしたらその少年が悪霊を発生させて職員も家の者も次々に少年に食べられていった。


その少年と戦ったんだけど私も惨敗した。

それに封印が解かれたの。」


仁「倫花さん今から三栗谷家に行きます。式神に屋敷中を探させましたが生き残っているのは倫花さんただ一人でした」


倫花「私が弱いばかりに」

そう言い倫花さんが泣いた。俺はまず血を抑えるための治療を式神にさせた。


仁「柚大丈夫そうか?」


柚「はい。もう少しで傷は塞がります」


仁「頼む」


しばらく経つと

柚「仁様、傷は塞がりました」


仁「ありがとう」


俺は倫花さんを抱えた。目の前にはたくさんの死体が転がっている。


そこに悪霊が群れ始めた。


俺は柚にとびに乗って倫花さんを連れて家に帰るように言った。


仁「倫花さん、家で休んでくださいね」

そう言い柚に任せた。


俺はとびが飛んで行ったのを見送った。

くうには二条家に伝言を伝えるように頼んだ。


よくもやったな悪霊どもが


仁「妖撃」

1体の悪霊が消滅した。


俺は放ちまくると全体の6割は消滅した。妖撃で倒せなかったということはここに残っているのはランク弐以上ということだ。


玉藻ここにいる奴らは全員喰っていいから力貸して


「仁良いよ。その代わり体かしてね」

力がみなぎってくる

グォオオオオオオオ

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