三栗谷家

俺は翌日の朝に家に着いた。家の塀や屋敷がボロボロだ。


玄関にいる狛犬の式神が家を守ってくれたのだろう粉々になっている。


こんなに悲惨なことになっているとは予想もしていなかった。


瞳「お兄様お帰りなさいませ」


仁「みんなは大丈夫だったか?」


瞳「はい。お兄様の式神たちが守ってくれました。ただ結界と屋敷は守り切ることができませんでした」


仁「良いよ。みんなが無事ならそれで良い。みんなはどこにいる?」


瞳「広間にいます。行きましょう」

広間がある屋敷の外に着いた。


屋敷の中からは子供たちのはしゃいでいる声や大人たちの楽しそうな話声が聞こえる。


俺が扉を開けた。


「おかえり仁様」

「おかえりお兄ちゃん」


子供たちが駆け寄ってくる。大人たちはその光景を微笑ましく眺めているように見えた。


仁「ただいま」

俺は子供たちにハグをする。


「狛犬がね動いたの!」


「そうだよ それに悪霊を食べていたんだよ カッコよかった」


「悪霊が攻撃してきたのを式神たちが助けてくれたんだ。悪霊たちを沢山倒してくれて俺たちを守ってくれたんだ」


子供たちは当時あった事にキラキラした目で話してくれる。


この子たちは将来、陰陽師になるため今回の悪霊による襲撃は大きな損害も受けたが子供たちにいい刺激を与えてくれた。


仁「そうかそうか。じゃあ式神出してみたい人?」


「はい」

「ぼくも」

「俺が先にする」


子供たちは元気いっぱいだ。俺は瞳と華さんに目で合図を送った。


仁「式神の使い方は瞳お姉ちゃんと華お姉ちゃんが教えてくれます」


「みんなこっちだよ」と瞳と華さんはやる気満々なようだ。


子供たちが外へ遊びに行った。


仁「家がピンチの時に帰ってこれなくてすいません」


「大丈夫ですよ。福岡の方で悪霊が大量に発生したから全部の家が派遣しなければならない状況で仁様が行っておられたんですよね」


「私達こそ頼りなくてすみません」


仁「いやいや、みなさんには三栗谷家当主代理の瞳のサポートをしてもらっています。」


「私たちにできることはそれしかございませんから」


俺は家と塀の復旧工事に取り掛かった。家族総出でやっている。


男性は家や塀の修理などの力仕事を女性は式神や結界の基礎となる紙や札の作成を頼んだ。


「勝敏こっちに木材を運んでくれ」


「美穂さん式神はこの形でよろしいですか?」


先ほどまで式神で遊んでいた子供たちが戻ってきた。


「仁様、俺たちも手伝う」

そう言い男子はお父さんたちの方に行き女性はお母さんの所へ行った。


子供たちのお手伝いもあって驚くほど順調に進んでいる。


塀の修理が終わり、札も作り終わったらしい。俺は華さんと結界を土地全体に張った。


前回は狛犬が2体しかいなかったため今回は4体に増設した。


残りは居住スペースの修理だけだ。


俺は久しぶりにみんなでご飯を食べた。華さんと一緒に食べるご飯も良いがみんなでご飯を食べるのも良い。


翌朝も修理をし、その日の昼には修復がすべて終わった。


俺は二条家当主の学園長に報告しに行かなければいけないためどの日の夕方に俺たちは家を出た。


寮に着いたのは夜中の12時だ。俺はこの1週間の疲れからか浮沈にそのまま突っ伏してしまった。


翌朝、二条家に緊急会議で来ている。俺と二条家当主はいつもの会議室で参加し一堂家、八神家、神宮寺家はリモートで参加している。


理事長「仁、福岡に行ってくれてありがとう」


仁「二条家は大丈夫でしたか?」


理事長「家はけが人はいたが死者がいなかったことが幸いだ。」


なんだこの違和感は


理事長「今回はどの家も負傷者は出たが死者は出ていない。しかし一斉に各家が悪霊に襲撃された。」


安成「それにしても悪霊の襲撃のタイミングが完璧すぎるのが不自然ではあるがな」


理事長「そうだ。そこがおかしい」


楓「一堂家では悪霊を生み出す少年が発見されました。」


理事長「たぶんそれが今回の襲撃の本体であろう。封印していた5つの内2つが解かれた。この2つは元の持ち主の所に行ったと想定される。。」


倫花「そうなると危惧されるのが悪霊の活発化ですね。

生み出す少年は恐らく人の体を乗っ取っただけの魂でしょう。

しかし今回は足を手に入れた。

そうすれば次狙ってくるのは手か頭、二条家は陰陽師も祈祷師も人数が多いので身体は最後に狙ってくると思われます。」


理事長「今回のことは妖霊省に報告してある。八神家と神宮寺家には妖霊省の職員が派遣されるはずだ。


絶対に封印を解かせないでくれ」


そう言い二条家当主は頭を下げた。他の家の者は驚いている。あの二条家当主が頭を下げたのだから。


理事長「みなに最後にお願いがある。悪霊の襲撃があった場合はすぐに二条家に式神を送るようにお願いしたい」


仁「もし二条家が襲われた場合はどうされますか?」


理事長「その時は一堂家と仁に式神を送る。八神家と神宮寺家は絶対に家を離れないでくれ」


一同「わかりました」


理事長「以上解散」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る