八神家
また真っ暗な空間にいる。
前にここで会った人影は玉藻だ。俺はまた玉藻に呼ばれたのか。
「お前が主人か」
仁「どちら様ですか?」
「俺を知らないだと。俺は酒呑童子という者だ。名前は聞いたことないか?」
仁「聞いたことないですね」
酒「そうか。まぁいいや酒くれ」
仁「俺、酒苦手なんですよ。玉藻」
玉藻「どうしたんじゃ?」
仁「なんでこの人残ってるの?」
玉藻「私でも消せないほど強い悪霊だったのじゃ」
仁「わかった玉藻。酒呑童子、俺は酒を呑まないから出せないぞ」
酒「え!俺、禁酒なの?」
仁「そうなるな」
酒「やだやだやだやだやだやだ。お酒ないと生きていけない。」
仁「じゃあ俺の式神になるか?そしたら酒飲んでもいいぞ。」
酒「式神になる。早くしてくれ。」
仁「俺が外に戻ったらな」
酒「早く戻ってくれ」
さてどうやって戻ろうか。俺は戻りたいと願う。すると気がついた時には布団に横になっていた。
安成「目が覚めたか」
安成さんの声がした。
仁「は、晶矢はどこにいますか?」
安成「晶矢君は居なかったぞ。夢でも見ていたんじゃないか?
それよりもだ。仁、お前俺たちに隠していることないか?」
夢あれが?
それに今の状況は絶対に良くない。身体見られたかな。
仁「ありませんよ」
安成「本当か?」
俺は安成さんの真っ直ぐした目を欺くことに罪悪感が湧いた。
仁「いえ、本当は皆さんに隠していることはあります。ですが、今は言えません。」
俺は真っ直ぐ安成さんに伝えた。すると障子を隔てた向こう側に誰かがいることに気がついた。
俺が障子を見ていると安成さんが呼んだ。
そこへ入ってきたのは華さんだった。
華「仁様。先ほどから話を聴かせていただきました。その話は仁様以外は誰が知っていますか?」
仁「誰も知らない。」
本当は二条家当主は知っているが、ここで言ってしまうと私たちにも教えろと迫ってくるだろう。
華「教えていただくことは叶いませんか?」
俺は首を振る。
華「もし、質問してきた方が瞳様でもですか?」
仁「ああ。そうだ。」
華さんは黙り込んだ。
安成「わかった。では話せる時が来た時は教えてくれ」
そう言い安成さんは部屋から出て行った。
俺と華さんとの間に気まずい空気が流れる。
それを俺は無視して酒呑童子の式神を作り始めた。
華「仁様。私はそんなに頼りないですか?」
仁「それは違う。華さんが頼りない訳ではない。これは私の問題だ。」
華「仁様はいつも一人で抱え込むではないですか。なんで私たちを頼ってくれないのですか?」
そんなこと言われても言える訳ない。俺の身体には悪霊がいると、悪霊を倒すための陰陽師の当主の身体に悪霊がいると知ったらどうするだろうか。
もちろん祓うだろう。そうすると俺の長年の鍛錬が全て無駄になってしまう。
仁「華さん。言える時が来たら全員に話します。それまで待ってください。」
華「分かりました。」
仁「三栗谷家は大丈夫でしたか?」
華「はい。仁様の式神と結界のお陰でみんなに怪我はなかったですが、塀と家が少し壊れていました。」
仁「良かった。」
俺の今回の手持ちはとび、くう、雫、柚の4体しかいない。
他の式神は全部、瞳に持たせている。何かあったら俺はすぐに帰ることができないからな。
式神たちが役に立って良かった。俺が倒れたのは瞳が式神を召喚したことによる俺の気が急激に消費されたのが原因だ。
もう少し気の使える量をもっと多くすれば倒れることはなくなるだろう。
酒呑童子を式神に移動させるために華さんには外に出てもらった。
なんの問題もなく酒呑童子を式神に移した。
俺は八神家の外へ出て酒呑童子を外に出した。
仁「自由にしていいけど人は襲うなよ」
酒「もちろんもちろん。俺は酒が呑めれば良いからね。じゃあまた。」
そう言い酒呑童子が歩いて行った。
安成「あいつが仁の隠していたやつか?」
安成さんが後ろにいたようだ。全然気が付かなかった。
仁「そうですよ。面白いやつですよね」
安成「お前がしたいようにすればいいと思うが何かあったら責任はお前が取れよ仁。」
仁「はい。」
安成「それと八神家はどうにか守れたけれど一堂家は封印が解かれた。
もし、奴の魂が今回の事を引き起こしたなら奴は足を取り戻したことになる。
ただ良かったことは負傷者は出たものの、死者がいなかったことだ。
気をつけろよ仁。」
仁「はい。」
そう言い屋敷に戻った。どうやら晶矢を倒してから悪霊は発生していないらしい。
ただこれからは迎え火が来るから悪霊の発生が増えるだろう。
迎え火は悪霊が発生されてもランク四だ。妖霊省の職員で対処できるだろう。
それと残りは八神家の手と二条家の身体、神宮寺家の頭だ。
もし全部の封印が解かれてしまったら日本は終わってしまう。
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