定例会議
「本日、午前9時頃東京都第8区域に隣接する龍懇高等学校で悪霊が発生し生徒及び警察官が死傷する事件が起きました。
生徒60人、警察官24名が死傷し現在も妖霊省及び警察省は悪霊の侵入経路を捜査中とのことです。これにより妖霊省は発令を警報から特別警報に引き上げました。
悪霊が発生した場合は速やかに妖霊省が指定している避難場所に移動してください。」
数日後
「先日、東京都第8区域の学校で起こった事件を知っているか?」
「あれでしょ。結界が割られていないからなんで中に入ったのかわからないっていう事件でしょ。」
「そうじゃの~我ら5家で封印した頭、体、手、足、霊魂の内、霊魂の封印が解かれたことはお主ら知っておるな。
霊魂の力がどの部位よりも一番強いため封印を100年に1度交換しなければならない結果300年目の更新でその場にいた三栗谷(みくりや)家の次男の昌矢(しょうや)が更新の邪魔したことで霊魂は封印することができなかった。
その後、霊魂を封印しようと三栗谷家総出で尽力するもその場ではどう対処することもできなかった。その霊魂は元々悪霊じゃ。絶対に体の部位を取り戻しに来るだろう。それに悪霊が今回の事件のように表立って事件を起こすことは大変珍しいためあの悪霊からの宣戦布告ととっても良いだろう。
どの家も絶対に部位を奴に渡す出ないぞ。今の我らの力であやつを滅することができるかわからないからな」
「そうですね。私達三栗谷家はあの悪霊のせいで人手が足りていません。」
「それに陰陽師神職中段以上が少ないですよね。今年は陰陽師育成学校が開校されて10年目ですが学校からは神職中段を超えるような生徒が1人しか出てきたいない。もっと多く輩出できるようにならない?」
「分かった。もっと教育に力を入れるように要望しておくね」
「お主らは引き続き部位の封印を解かせないことに尽力しなさい。それと妖霊省から悪霊の討伐の依頼があった時はすぐにそちらに人員を割き対処しなさい。その場合の足りていない人員はこちらからも妖霊省に部位の警護に人員を割いてもらうように要望する。これらで何か問題がある事項はあるか?」
二条家当主の言葉にそれぞれの家の当主は質問は無いという意味を込めて首を横に振り、陰陽師5家の定例会議は終わった。
俺が門を出ると
「お兄様」
そう言い妹の瞳が駆け寄ってきた。
瞳「定例会議お疲れさまでした。」
「お迎えありがとう」
「昌矢が家を出て行って10年になるな。」
瞳「あの者は家を裏切り悪霊となりました。」
瞳の目には怒りの色が見える。それに瞳の周りにいる善霊も怒っているようだ。
「確かにな。そういえば瞳、今日は歩いてここまで来たのか?」
瞳「いえ、式神に乗って参りました。」
「では式神で帰るか」と言い式神に瞳を乗せて帰った。
昌矢は小さい頃から悪霊と善霊が全く視えない子だった。普通の家の子であれば何の問題もなかったがこの陰陽師5家の1つの三栗谷家は霊が視えないと仕事にならない。だから父上も母上も昌矢のことを厄介がった。
私達兄弟は霊が視えないとか正直どうでもよかった。昌矢は明るい子で毎日方楽しかったからだ。しかしいくら兄弟たちと遊んで楽しい日々を送っていたとしても両親に愛されないことは昌矢を精神的に追い詰めていったのであろう。そういう時に100年に1度の更新日がやってきたのだ。
悪霊の力を手に入れた昌矢は楽しいそうに笑っていた。霊が視えると喜んでいたが両親たちは悪霊の力を手に入れた攻撃した。
私たち陰陽師は悪霊を滅するために存在している。いくら子供や兄弟であれ悪霊になってしまったら敵なのだ。その事実を悪霊の力を手に入れた時に昌矢は知ったのだろう。俺は初めて昌矢の悲しそうな顔をその時見た。昌矢は霊魂に連れられどこかに行ってしまった。俺はあの顔が今でも忘れられない。
そんなことを考えていると家に着いた。
俺たちが門を超えると
「
次女の
仁「ただいま花音」
俺は明後日から陰陽師育成学校に入学する。今は一般職上段であるが最終的には2代前の当主と同じ神職上段になり家を引き継ぎたい。5家の中で神職に行ってないのは三栗家だけである。
他の4家の当主は「お前は若いから仕方ない」と言うが、もし5家で霊魂を封印することができるとしてもその封印を維持するための力が私にはない。三栗谷家には分家の人間も数人、屋敷に住んでいるが一般職上段や神職下段しかいないため封印を維持することが厳しいだろう。
育成学校は二条家がある京都にあるため俺は翌日の夕方に家を出発することにした。
育成学校の卒業資格は3年間通うか神職上段になるかの2択である。俺が学校に通っている間は長女の瞳が当主代理として動いてくれるが実際に動くのは分家の大人たちである。
分家の大人たちは10年前私たちがもっと強ければご両親を守れていたと後悔しているそうで当主として俺が動けない時はサポートしてくれている。瞳が当主代理として動いてくれるが分家の大人たちがサポートしてくれるそうだ。
「仁様定例会議お疲れさまでした。」
分家の中で一番強い人が三栗谷華(みくりやはな)さんだ。最近帰ってきた人ですごく美人で神職上段という実力者だ。陰陽師の数少ない神職上段者である。
「いつもお迎えありがとうございます華さん。無理して来られなくても良いのですよ。」
「いえいえ、妹たちがいつもお世話になっておりますのでお迎えぐらいはさせてください。」そう言うと華さんの妹たちが来た。
「仁にいちゃんお帰り」
華さんの妹たちがやってきた。
「お帰りみんないい子にしていたか?」
みんな笑顔で「うん」と元気な返事をしていた。
みんなとご飯を食べて眠りにつこうとしたが、明後日の入学式のワクワクか妹たちへの心配かわからないが眠りに付けなかった。
俺は1人外に出た。満月の夜で雲一つなく美しいこの家を少しの間であるが去るのは少し寂しい。
「仁様」
俺は誰かに名前を呼ばれた。呼ばれた方向を振り返るとそこには華さんが立っていた。
仁「華さんこんな時間にどうされたんですか?」
華「誰かが外に出たのが見えたのでついてきました。学校は不安ですか?」
仁「学校は不安ではないな。それよりも家のことが心配だが華さんと分家の人たちがいるなら安心できるな。」
華「こちらはお任せください」
仁「華さんたちがこちらに来られる前は私と妹の2人でしたので心配でしたが今は心配はございません。ただ少しここを離れる寂しさがあるだけです。」
すると突然
華「ほら仁様。私がハグして差し上げますよ」
と言ってきた。
俺は少し驚いたがその提案に乗りハグしてもらった。両親にハグしてもらったことは記憶の中では一度もいない。
そのため華さんにハグしてもらったのがとても嬉しかった。華さんとのハグで人の温かみを知った。俺はこの居心地の良さに任せて眠りについた。
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