もうそうのようなもの

たかみ真ヒロ

本編

ハルヒ

「そうなのよ。いったい何をしたらあんなに大きくなるのかしら。」


キョン

「知るかよ、そんなこと…」


ハルヒ

「なにいきなり黙って、あんたどうせいやらしいこと思いついたんでしょ。」


キョン

「断じてない。朝比奈さんに限ってそれはあり得ない。」


ハルヒ

「なんであんたがそんな自信満々で言うのよ…まあいいわ、それでミクルちゃんのコスプレの衣装のサイズが合わなくなりそうだから、今日は新しいのを買いに行くのよ。」


キョン

「だからか、休みだってのに朝っぱらから呼び出しやがって…みんなはまだ来ないのか?珍しいこともあるもんだ。」


ハルヒ

「今日はみんなは呼んでないもの。どうせあたしが選ぶんだから荷物持ちのあんた一人で十分でしょ?」


キョン

「まったく…ってことは、ここの喫茶店の代金は…」


ハルヒ

「もちろん、あんたのおごりよ。」


・・・


キョン

「そういや、前コスプレの衣装はネットで買うって言ってなかった?」


ハルヒ

「そうしてたんだけど、この前注文したやつで色がいまいちのやつに当たっちゃってやっぱり直接見ないとダメね。」


キョン

「ふーん。お前も理想と現実の違いを少しずつ理解し始めたんだな。」


ハルヒ

「どういう意味よ。それじゃあまるであたしが世間知らずみたいじゃない、なんであんたにそんな風に言われなきゃなんないのよ。」


キョン

「へいへい。すいませんでした。」


ハルヒ

「まったく…」


キョン

「それでどこ行くんだ?俺はコスプレの売ってる店なんか知らんぞ。」


ハルヒ

「あたしも知らないけど、このアニメやらなにやら流行ってる現代において、コスプレの売ってる店が近くにないなんてありえないわ。だから、ぶらぶらしてたらすぐに見つかるわ。」


キョン

「そんなバカな…」


ハルヒ

「ほら、あったじゃない。」


キョン

「なんですと!」


・・・


ハルヒ

「大漁、大漁っと。」


キョン

「まったく、ああいう店で値切るとは…」


ハルヒ

「いいじゃない。あんたが止めなきゃもっと安くしてもらえたのにあんたが言うからあたしもあれくらいで我慢したのよ。」


キョン

「そうかい。」


佐々木

「おや?キョンじゃないか。珍しいところで会ったものだね。それにどうしたんだいその荷物は?」


キョン

「おお。佐々木か。妙なタイミングだな…」


ハルヒ

「あんたどうしたのよ?急にキョロキョロして。」


佐々木

「キョン。心配しなくていいよ。本当にたまたまだから。」


キョン

「そうか…」


・・・


ハルヒ

「へー、中学の頃の同級生、それに親友…」


キョン

「なんで俺をにらむんだよ。」


佐々木

「涼宮さんはきっとキョンのことが心配なんだよ。」


キョン

「心配って…」


ハルヒ

「…そうよ、心配は心配ね。あんたじゃなくて佐々木さんにだけど、あんたと親友って、あっそういえば、佐々木さんはどうしてキョンとしゃべる時とあたしとしゃべる時で口調が変わるの?」


佐々木

「あっ、それは…」


キョン

「…昔からのこいつの癖だよ。仕方ないんだよ。」


ハルヒ

「ふーん。でも、なんか変な感じがするから、あたしにもキョンと同じ喋り方にしてちょうだい。ちょっと、トイレ行ってくるわ。」


佐々木

「いってらっしゃい。」


キョン

「それで、なんで、三人で喫茶店で昔話に華を咲かせてるんだよ?」


佐々木

「いいじゃないか別に。それに僕が言い出したことでもないし、それは涼宮さんに言ってほしいな。」


キョン

「あいつが俺の言うことを素直に聞くわけないじゃないか。だから少しでも可能性のあるほうにかけたんだよ。」


佐々木

「くくく。君は僕なら君の心情を酌んでくれると思ったのかい。こんな機会は僕にとってなかなか無い出来事なのに。」


キョン

「ぐっ。無理か…」


佐々木

「そうだよ。だからおとなしく会話を楽しむことにしようじゃないか。」


・・・


佐々木

「それじゃあ。また機会があれば。」


キョン

「おう。」


ハルヒ

「佐々木さんっていい人だったわね。あたし的には、あんたと親友って時点で、怪しいってにらんでたんだけど。」


キョン

「なんだよ、そりゃ…」


ハルヒ

「まあいいわ。とりあえず、今日は解散ね。その荷物は明日学校にちゃんと持ってくること。」


キョン

「俺がか?」


ハルヒ

「当たり前じゃない。何のための荷物持ちよ。最後までやり切りなさい。」


キョン

「やれやれ…」


・・・


古泉

「おやおや。それじゃあ、昨日は涼宮さんとデートしてたんですね。大変喜ばしいことです。」


キョン

「俺が伝えたかったのはそこじゃないんだが…俺が家に帰って妹からの‘買ったもの見せて’攻撃から衣装を死守する苦労をだな…」


古泉

「いいじゃないですか、それぐらい、しかし、佐々木さんと出会ったのですか…道理で…」


キョン

「なんなんだよ?」


古泉

「いえ。涼宮さんも大人になったものです。」


キョン

「ん?いきなりなんだ?」


古泉

「実は昨日一時だけ神人が現れたのですよ。しかし、破壊活動を始めるでもなく、止まったまま。そして、自然に消えていったのです。」


キョン

「ふーん。そりゃよかったな。」


古泉

「あなたを信頼している証なのでしょうね。」


キョン

「どうしてそうなる?」


古泉

「本当は分かっているのでしょう?」


キョン

「…ふん。」


古泉

「そうですね。ちょうどいい機会なので、僕の持論が変わってしまったこともお伝えしておきましょうか。」


キョン

「特に聞きたくないんだが。」


古泉

「まあそうおっしゃらずに、我々、機関は、涼宮ハルヒを中心に考えてきました。」


キョン

「だろうな。第一今もそうじゃないのか?」


古泉

「そうですね。すべてにおいて優先するべきは涼宮さんの意思です。しかし、最近そうでもない気がして…」


キョン

「どういうことだ?」


古泉

「涼宮さんはあらゆる不思議を願った…しかし、その不思議を本当の意味で経験しているのは誰なのか?そう考えたときこの世界はいったい誰の夢なのか?」


キョン

「おい、それは…」


古泉

「ですから…」


みくる

「あ、キョンくーん。」


古泉

「おやおや、もうお迎えが来たようですね。この話は次の機会にでも。」


キョン

「ふん。」


・・・


みくる

『やめてくださーい。自分で着替えますからー。』


ハルヒ

『いいじゃないのよ。こっちのほうが早いじゃない。それにしてもこの胸…』


みくる

『きゃあ、変なところ触らないでくださーい。』


キョン

「まったく…あいつは…」


古泉

「いいじゃないですか、楽しそうで。」


キョン

「そのせいで朝比奈さんが大変な思いをされていることに配慮すべきだ。」


古泉

「では、あなたは、朝比奈さんのコスプレ姿を見たくないと?」


キョン

「それは…」


ハルヒ

『二人とも入っていいわよー。』


古泉

「終わったみたいですね。どうします?」


キョン

「…どうしますって、入るに決まっているだろう。お前も変わったな。」


古泉

「いい変化と捉えていただければ幸いです。」



ガチャ ドーン



キョン

「えっ。なんで、長門がスクール水着で俺にダイブを…」


・・・


朝倉・キミドリさん

「おかえりなさーい。」


長門「今日は本当に疲れた…」


朝倉「長門さん珍しいですね。それにこんなに遅くなるなんて、いったいどうしたんです?」


・・・


キミドリさん「なるほど。真面目ウィークですか。」


長門「そう。本来であれば、今日の15:00にそのウィークは終了するはずだった。しかし、肝心のあの人もツッコミを忘れる始末…改変されてしまった世界をもとの軸に戻すための役割を私が行うことになった。」


朝倉「改変だなんて、懐かしいなー。私も…」


キミドリさん「過去編には突入させませんよ。」


朝倉「まあ、長門さんもお疲れみたいですし、夕食にしましょうか?」


長門「涼宮ハルヒの力で学校でゲームが出来なかった為、今からしたい。」


朝倉「ダメです。」


長門「…」


END

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もうそうのようなもの たかみ真ヒロ @takamimahiro

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