羅刹の王国(板球)
ある場所でテレビが付けられている。
そのテレビの中にはスポーツ番組が流れている。
そこでキャスターらしき女性の声が聞こえてきた。
「今日のトピックは日本ではあまり馴染みがないが...世界では限定的に大人気のスポーツ、【クリケット】について紹介したいと思います。
イギリス発祥のスポーツで日本の人気な競技...野球の原点だと呼ばれたクリケットは英国から伝わり、様々な国で定着するようになりました。
その中で爆発的な人気になったのは、南アジアの国々でした。
特にインドでは国民的な人気を集め、競技人口はなんと!1.5億人!もはや国技と言っても過言ではないレベルの人気度ですね。」と言った女性に対し、そこで出演中のコメンテーターの声が聞こえてきた。
「国技というのはあまり正確ではありません。インド発祥の国技と言えば、カバディです。
しかし、カバディの方はもっと知られていない競技人口が少ないスポーツですね。
と言ってもインドの人にとっては私たちが野球をすると同じ感覚でクリケットをするので、国民的なスポーツと言って良いでしょう。」
「はい。おっしゃる通り、世界から見ても競技人口は3位でもちろんインドでは人口が1番多いという結果は日本からにしては意外な結果かもしれませんが、最も驚くべきなのは選手たちの年俸です。
最高年俸はなんと!30億円!あのサッカー選手の世界的なスター、メッシ選手とほぼ同じぐらいだと噂されています。インドや南アジアの国でも自国のリーグがあり、観客があふれるほど熱狂を見せました...
これほどの人気でありながら、日本国内ではあまりそのすごさが伝わらないクリケットの魅力について深掘りしたいと思います。
実は当番組のオファーに応じていただいた方と接触ができて、インタビューしてきました。
この方もまた現在のクリケット界のスターと言っても過言ではない方です。
では、それは誰なのかVTRでご覧下さい。」
と言い終わったキャスターの次に画面に映ったのは、ある男性の姿でした。
男性は黒いに近い褐色の肌からより目立った白歯の笑みを見せながらカメラに「ミナサン...コンニチハ」という片言の挨拶をした。
「今回インタビューに応じていただいた現役クリケット選手のヴィシュワ・ラヴァン選手です。
国民的の人気に誇る本場インドのインディアン・プレミアリーグの第一線で活躍している選手で、しかも他のインドのスター選手と肩を並べながら、実際はスリランカ出身の選手として史上初最優秀選手に選ばれた実力者!とんでもない方がインタビューに応じていただきましたね。
改めまして今回のインタビューに応じていただき、ありがとうございました...ラヴァン選手。」
というインタビューした女性の言葉に対して、男性の隣にいる通訳が男性に内容を伝えると、男性は笑い出した。そして、通訳を通してこう言った。
「とんでもないです。この競技に興味を持ってくれて感謝します。そっちにも本音を言うなら、私より有名なインドの選手とお話しがしたいではありませんか?」
「いいえ!こんなにすごい選手がこの番組に出てくださっただけでもすごいことです。あなた以上の選手が出演するとすればいろんな意味で無理があります。
また、スリランカ出身ということにもとても興味があります。スリランカでも人気であることは確かですが、そこからインドでの活躍までの経歴も素晴らしかったです。ぜひお話が聞けたらと思います。
そして、今回の来日の理由を聞かせていただければと思います。」
「今回日本に来たのは日本の皆さんにクリケットのすばらしさを教えるためのレッスンをすることとそのついでに募金活動もしています。
ご存じか分かりませんが、現在私の母国も大変な状況に陥っています。
その中にたくさんの子供は影響を受けています。
むろん...私がクリケットで活躍して手に入れたお金は母国のクリケットの少年チームに使っています。
簡単にいうと、才能ある子供を私のユースのチームで必要な食べ物や教育、そしてクリケットをするための環境...設備を整えました。これで私みたいに...いや、私よりすごい選手が将来現れるかもしれません。目標はまた1996年の優勝以来の功績を目指したいと思います。」
「とても素晴らしい活動と志しです、ラヴァン選手。母国のことをここまで考えてなさるのですね。」
「あと...もう一つの理由があります。」
「と言いますと?」
「実は日本ではとても遠い親戚がいるということを聞きました。正直今どこにいるか分かりませんし、直接会ったことがありませんが...ぜひお会いしたいと思って、今はできるだけのことをして探しています。」
「遠い...親戚ですか?なぜその方にお会いしようと思ったのですか?」
「どうしても...直接に伝えたいことがありまして、今回はダメでもこれからも探し続けます。」
「会えるといいですね...では、次の話題に移る前にCMに入りますが、CM明けの後にはラヴァン選手にクリケットの基本と面白さについて教えていただきます。」
「アリガトウゴザイマス...クリケット...タノシイヨ!」
という片言で番組はCMに切り替わった。
そして、その番組は一旦停止された
それを停止した人はリモコンを側にある机に置いた後、一言を口にした。
「間違いない...あのときの人だ...ラヴァン...ラヴァン家...」と言った人は携帯で誰に連絡を取った。
「もしもし...サトラ...今どこにいるの?
...人の護衛?それは誰だ?
...分かった...あとで話そう...その人を絶対に守るんだ。
これは僕の命令でも願いでもある...
とりあえずそれを優先してくれ。こっちはラヴァン家のことについて調べてみる。」
と電話を切った直後にその人の部屋のドアベルが鳴らされた。
すぐにドアの前に尋ねた者を確認した人は少し警戒をしながら、ドアを開けた。
開けられた扉の前に立っているのはさっきテレビの中に映った人だった。
しかし、先ほどの片言の日本語と違い、流暢にこう話した。
「またお会いしましたね...ラーマの血を継ぐ者...いや、
「僕に何かの御用ですか?」
ラヴァン家...再びの接触
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます