不可解な出来事(椎谷村)

シーターと名乗る謎の女性と夢の世界で出逢ってから翌日

古海うるみ香蓮カレンは今部屋を出て、ある場所に訪れている。

そこにはたくさんの書籍が並んでいる図書館だった。

利用者たちが黙々と読書に専念する静かな雰囲気に包まれた館内...

そこで彼女は今読書用テーブルに積んで置かれたあるジャンルの本を読んでいる。

1ページ1ページをめくって...書かれた内容の中に何かを探しているように見える。


...やはりない

とりあえず自分のうちから一番近い図書館に来てみたけど、蘭華ランカが前にも言われたっけ...

日本には中々南アジアとかインド神話に関する本は少ないって...

それもそうか。

この国では他の神話とかに比べたらマイナーだし...実際...もしランカと出逢わなければ、

私もこういうことを一ミリも知らない方になるかもしれない。

と言ってもすごく詳しい訳じゃないけどな...ハイライトみたいな出来事とか概要ぐらいしか知らない。

だから、改めてラーマーヤナのことをもっと理解できるようにこうして本を読んでいる。

ネットにはない情報を探るためにでもある。

これで今までランカから聞いた話が物語としてつなぎ合わせることができた。

出来事の時系列を整理すると、もっと全体的に分かるようになった。

しかし...さすが叙事詩と呼ぶだけであって...長い

かなりダイジェストされたバージョンを読んだ私でも気が遠くなるぐらいだ。

これの全巻バージョンを読破する人って、ランカみたいになるのか?

それはさておき...物語の理解度が上がった気がするけど、やはりないね。

その知りたい肝心なところには結構曖昧だ...

というか...その肝心なところについて聞きたいのにメッセージの返事もないんだから...あの南アジアオタクが!

となぜか一人で苛ついている顔をしたカレン。

何回もスマホを確認したけど、何をしてるんだ?

ランカは私のメッセージに対して既読スルーにはめったにないけど、一日経っても既読が付かずに読まれていないことは珍しいことじゃない。

でも...あんたにめっちゃ確認したい案件なんだよ、こっちは...

そう...

夢の中で聞いた話の記憶がないものの、彼女は目が覚めた瞬間...必死に脳に残された断片的なキーワードをメモに残しておいた。


...で...の...が...

...完全する

彼女に...

巫女

そして、最後に...【椎谷村】


他のキーワードには未だにピンとこないが、唯一ハッキリと脳裏に残った言葉が一つ...

その上に、それは自分の親友とどういうことか彼女の名字と一致している。

漢字が合っているか確信がないが、でも確かにと聞き取った。

可能性はかなり高いと思う。

それは一番確認したいことだ。

でも、名字と一緒だからと言って...ランカがそれと関係するとは限らないし、

第一...そのような名前の村は地図に...載っていない。

試しにネットで検索してみたが、何一つヒットしなかった。

これって...おかしいでしょう?

昔の村が合併して名前が変わったとかは考えられるけど、そもそも存在しないってなんか怖い...

とにかくヒントになりそうなのは親友が何かしら知っているかもしれないと思ったカレンはその返事を待つことにし、また積んでおかれた本を開き、何かの調べを再開した。


しばらく経つと、彼女は本から目を離し、両腕を上げてストレッチをした。

そこで図書館の中を見て、ふっと思った。

あ...もうこんな時間なの?

人が減っている。そろそろ図書館も閉まる時間か...

今日の収穫はこれだけか...仕方ない...

とスマホを見て、今の時間を確認したカレンは送られたメッセージを目にした。

返事が来たんじゃん!

急いで親友からの返事を確認したカレンだが...

え?

とその内容にカレンは驚愕の表情をした。

...

...?

ちょっと待って...

地図に存在しない村が実家?

それどういうことなの!?

この二文字だけで分かるわけないじゃない!

もっと説明しなさいよ...

しかし、それ以上の説明を求めるメッセージを送ってもランカからの返事がなかった。

返事がいつ来るか分からないカレンはため息をついてこう思った。

参ったな...

ある意味ではすごいヒントになることだが...逆にピンポイントすぎた情報をさらに知るには彼女の親友がキーパーソンになっているとも捉えられる。

どうしよう...一層電話した方が...

と思ったカレンのスマホが振動した。

誰からの着信らしい振動を感じたカレンは心の中にランカ!と思って、

スマホに表示された名前を確認せずに慌てて通話可能のエリアに移動して、電話に出た。


「もしもし!ねえ、どういうことなの!?もっと説明しなさいよ。」と電話の相手に言ったカレンだが、相手は少し困惑した声でこう答えた。

「古海さん?僕です。誰かと間違えていませんか?」と聞いたカレンはやっと表示された相手の名前を確認した。

それは別の人物からだった。

「あ、ごめんなさい...てっきり私の親友からかと思い込んでしまって...どうしたの、ラクくん。」

「え...昨日の部屋探しの手伝いもできず、不可解な出来事にも巻き込んでしまって、改めて謝罪します。

だから、今度は埋め合わせさせてもらいたいのですが、もしよろしければ何か...」

「ううん、昨日のことはラクくんのせい...じゃないとは言い切れないかもしれないけど、あまり気にしないで。埋め合わせとかは...」と突然カレンの言葉が止まった。

「古海さん?どうかしましたか?」

「あ...実はね...埋め合わせなのか分からないけど、手伝ってほしいことがあるの...」

「それはもちろん問題ありませんが、何の手伝いでしょうか?」

「えーとね...謎解き...と言っては大げさか...ネットとか普通の図書館にはないような情報を探しているの...

ラクくんなら、私が知らない何かの情報があるかもしれないし、どう...かな?」

「分かりました。それなら、そのような情報を調べるところなら一つ心当たりがあります。」

「それは...ヤバいところ...じゃないよね。」

「ええ...安心して下さい。国が認めたちゃんとしたところですよ。」

「それって...どこなの?」


存在しない村への手がかり...近づける...?

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