竜王の試練(伝達④)
或る場所
誰かの手に取っているスマホは通知音が鳴った。
そのスマホはその誰かに画面を確認された。
それはあるチャットアプリのグループチャットだった。
そのグループ名は【竜王】
その内容はこのように示された。
陸号は【竜王】グループに追加された。
弐号)
現状報告
尊敬するお方からのお告げを頂いた我々【竜王】は、復活した魔王に【試練】を与えるべく封印から解き放たれ、次々と現世に出現しました。
そして、新たな同胞を迎えるべく
すでに自分の任務の遂行が完了した陸号ですが、本人から報告したいという希望でもあり、今から今回完了した試練の詳細について説明してもらいます。
ご苦労...では、陸号よ...説明せよ。
陸号)
は!
初めて同胞とつながり、大変嬉しく思います。
何より...尊敬するお方のお役に立てて、この世ではそれ以上の幸せが存在しません。
では、私が行った試練、【哀】の試練についてご説明いたします。
捌号)
【力】...【血】の次にはようやく【感情】の試練に到達するか...さすがあの
その中で【哀】の試練は今までとは違う...
陸号)
はい...今回の試練は破片の一部を取り戻した魔王の心に感情を注入するかのようなことです。
弐号から以前の試練のことを聞きました。
私の任務は魔王にその哀しい感情を気付かせるということになります。
以前の試練に比べてははっきりとした結果の確認が難しいため、私が行った試練の後の状況を説明すると...
魔王はとても哀しい顔をして、そこからしばらく動けなくなったということぐらいです。
それはその場から去る前目視で分かったことで以上になります。
弐号)
動けなくなるぐらい魔王の中には何が変化があると見えるね。
それだけでも成果があると思いますが...捌号はどのようなお考えですか?
捌号)
感情は簡単に理解するものではない。例えそれは人間であろうと...魔王であろうと...むろん竜王でさえも...
陸号)
弐号が言った通り...捌号のおっしゃったことはまさに真理!全く異論する余地がありません!
捌号)
この世界の理を述べるまでだ。賞賛されるほどではない。
陸号)
感服しました...
弐号)
それはそうだとして、魔王の心に感情が入ってちゃんと作動しているのかしばらく様子を見るしかなさそうですね。
捌号)
そうだな...
次の試練を行うためにも今回の試練がしっかり効果があるか魔王の観察をするといい...
適任者に心当たりがないか?
弐号)
観察者の件については小生にお任せ下さい。
捌号)
何かいい人材がいるのか?
弐号)
小生にはある考えがあります。
詳細についてはまだ話せませんが、安心して進捗報告をお待ちしていれば良いのです。
捌号)
分かった...任せよう
弐号)
御意!
陸号)
私に何が手伝えることがあれば、ぜひ言って下さい。
捌号)
弐号と陸号にはとても感謝しているし、頼りにしている。
次の報告を楽しみにしている。
では、尊敬するお方とこの世界の行方のために!
弐号)
この世界の行方のために!
陸号)
この世界の行方のために!
というメッセージを手に取ったスマホで見た人は、興味がありそうな顔をして、こう言った。
「なるほど...竜王の試練はここまで遂行されたか...兄様に報告しないと...」と言ってから、スマホを操作して、誰かと連絡しようとした。
「もしもし?兄様?前に言った話...進展があったよ。
うん、私たちの中に裏切り者が誰か分かった気がする。あとは確信を得るのみだ。」
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