ぶらり旅(船旅)
昨夜...余に何が起きた...
巨漢はその疑問を浮かべながら...景色を見ている。
確かに...あの時余は悲鳴が聞こえた。
愛する我が君に危険が及ばれるではないかと思い、其方が立ち入りを禁止にした空間に無断で駆けつけた。
幸いなことに其方は無事だが...その空間に入った直後に目の当たりにした光景が...全く思い出せない。
今景色を見ている巨漢の脳裏には消去された記憶を復元しようとしたかのように必死で思い出そうとしている。
その記憶には思い出せないものの、そのとき巨漢の不完全な心が感じた感情はまだ残っている。
その感情は...【感謝】だった。
しかし、記憶がないせいで何者に感謝するのかははっきり分からない。
思い出したくても思い出せない巨漢の中に葛藤が生じている。
にしても...気分が悪くなってきた。
このような状態になるのは初めてだ...
この余に何か異変があるのではないか?
昨夜の消えた記憶とは関係があるのか頭がクラクラする。
何か掴めないと体が揺れで倒れてしまいそうのほど...めまいが酷くなってきた。
この余が?なぜこんなに衰弱してしまったのだ。
余は...愛する我が君と共に旅をすると決めた。
例え、その旅には何が待ち構えようとも...
例え、余の残りの心の破片を見つけるまでに時間がかかったとしても...
例え、愛する我が君と...っ!?!?
突然襲われた...吐き気
一体...余の体に何が起きたのだ。
そう思ったとき、余の背中に何者の手の感触を感じた。
その手はとても小さくて...余の背中を優しくさすってくれる。
...少しだが、気持ちが楽になった。
振り向くと...そこには愛する我が君がいた。
とても心配そうな顔をしている。
あ...余のこの異変に心配してくれるのか...なんという慈悲深きなんだ。
ありがとう...と言いたいところだが、気分はそれが言えるほど回復していない。
そこで一つのことに気づいた。
そうか...
あのシュクハクする場所を出た余と愛する我が君はまたデンシャに乗った。
しばらく乗った後にある場所に降りた。
その場所から少し歩き、大きな桟橋のような場所に着いた。
そこにはいくつか海に浮かんでいるものがある。
そして、【船】に乗った。
船という乗り物は知っているが、乗るのは初めてだ。
なぜかって?乗る必要がないからだ。
空を飛ぶ戦車があれば、わざわざ船で海を渡る必要はどこにある。
一応船に乗る前に愛する我が君に提案したが、強く反対された。
「他人...見える...いけない...」
別に他の人間に見られても何かが問題ないと思うが、愛する我が君が嫌であれば仕方あるまい。
不便だが、船に乗るか...
...
こんな気分になったのは船に乗った後だった。
この乗り物に何かの呪いがかけられたのか!?
どんな術を使ってきやがった。
まさか罠...っ!?!?
ダメだ...呪いの力が強すぎた...気分が全然回復できない。
敵もかなり強力の術使いだ...この余をこの状態にさせることができるのはな...
しかし、
こんなこざかしいマネを使うなんて...あ...あいつらだ。
正々堂々に戦うと言いながら、よくこういう汚い手を使うあいつらしかいない!
お...の...れ...
見つけたら、全滅してやる...うっ!
今の余の心の救いは愛する我が君がさすっている手から伝わる感触だけだ。
そこで、巨漢の背中に手をさすっている彼女はこう言った。
「時間...少し...着く...我慢...あと間もない...」
それを言った愛する我が君...つまり
まさか...魔王も船酔いするんだね。
辛そう...
まさか20分ぐらいしかかからないフェリーでもこんなに具合が悪いとは...
それなら、酔い止めとかを買っておけばよかった。
それは魔王に効くかの話しだけど...
私ができるのは介護?とは大げさか...こうして背中をさするしかできない。
変な話...本当に吐いてしまったら、どのように...
虹が出るのかな?
確かにあくびをしたら、星とかが出てきた者がいる...みたいな話は聞いたことがある。
あれだ!オーナーが話していたタイ版のラーマーヤナの話...
...
それは違う話だし...見たい好奇心があるけど、船に乗っている人が驚くじゃないかとも思ってしまった。
ここでまた目立つことが起きても...いや、それでもダメだ。
シンプルに迷惑になるから...あと少しの我慢だ。
...でも、久々にこのフェリーに乗ったな。
伯父様の家にはいつぶりだろう...
確かにあの時はおばあちゃんと...いつだろう...
まあ...それはともかくやっとここまで来た。
昨日はいろいろありすぎて、今でも整理しきれないけど...
ぶらり旅とはちょっと違うけど...興味深い旅の一日になった。
この人?のことも少し理解できたようで自分の仮説には立証にも少し近づけるじゃないかと感じた。
まあ...ともあれ...まずは伯父様に会うことだ。
あ、もう着いた...
メギ島...別名【鬼ヶ島】
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