○○の記憶~兄者~

兄者あにじゃ

...

兄者!この岩は凄く重たい...でも、兄者なら余裕だよね!

...

兄者兄者ってうるせーよ!

俺にまとわりつくな!

異父兄弟で、俺は年上だからと言って...仕方なく一緒にいてあげただけなんだ。

でもさ...

あの太陽神の子だと聞いて、どんな強者かと思ったら...

こいつは本当に...軟弱!

見ているだけでイライラする。

俺の目の前から消えてくれないのかな...と本当にそう思った。

少なくとも最初に会ったときはそう思っていた...


兄者!

神様から力をもらったのは誠か?

さすが兄者!神様も認める強さだ!

否!神でも劣らない力の持ち主は俺の...この国の皆の誇りだ!

...

ふっ!軟弱のお前と違って、俺は選ばれし者なんだよ...

この力でもはや俺は無敵になった。

一対一という条件はただの大してない枷!

俺なら幾多の相手でも無敵だ!

と...そのような意地を張って、お前にそう思われたいだけなのかもしれん。

いや!誰相手でも勝つぞ!

俺には神の加護がなくても無敵だ!

誰が相手であろうと...


兄者!

改めて即位おめでとう!

やはりこの国の王に相応しいのは兄者だけだ!

これからも兄者の側近に相応しい者になれるように最善を尽くす...

いいえ、尽くしてまいります...我が王!

...

ああ...ありがとう...

なんか照れくさいな...直に言われると...

とお前に言ったが、俺の心の中は少し複雑だ。

俺は王か...いや、俺は王だ!

この力を持つ俺には王に相応しいに決まっている!

でも、気づいてしまった。

俺は王になれるが、王に相応しい器を持っていないということぐらい...

それでもあいつは何も言わず、俺の側近になってくれた。

だから...あのときの出来事でお前を心底恨んだ。

そして、あんな目に遭わせた。


兄者!

俺と勝負だ!

今度こそ兄者に勝ってみせる!

...

ほ...

こんな大口がたたけるようになったか、この軟弱者が!

俺を裏切って、王になりすましたくせに、また俺の目の前に現れてきやがった。

いいだろう...受けて立とうじゃないか!

この俺にはこの国を治めるだけじゃ...小さすぎる

この俺なら...魔族アスラでも天人デーヴァでも負けるわけがない!

神さえ...全てを手に入れてみせる!

まずはお前を始末することで、俺が一歩その野望に近づけられると証明できる機会だ。

そう思っていた。


勝負は俺の勝利だが、

結果的には俺の敗北...つまり死だ。

なんだよ...あんな軟弱の人間の矢でくたばるなんて...かっこわりー

俺はこんな罰を受けるのはしゃくだし...介入してきたあんな人間から説教までくらった。

正論は好きじゃないが...でも、それもそうか...

あのときもお前を心から信じきれなかった。

訳があると心が分かったのに...お前を裏切り者だと思ってしまった。

お前は昔から今でも俺のことをずっと変わらずに俺のことを信じていた。

結果はどうであれ...

俺は王ではなくなった時点で俺の負けが確定だ。

そもそも俺は王に相応しくないかもしれんな。

認めたくないが...お前は王に相応しい。

少なくても俺よりは...な。

お前は軟弱者じゃない...前からな...

悪いな...俺はお前の理想の兄者にはなりきれなくて...

悪いな...お前の兄者はお前が思ったほど強くなんかじゃない。

強さを求めるばかりに...大事なことを忘れたみたいだ...

まあ...何を言っても俺の役割はここまでだ。

だから、俺はもう逝く...

俺の子供を頼んだぞ。

王の素質を教えるのはお前の方が適任だ。

力は俺譲りだけどな...きっとこれからの大戦に活躍できる。


言い残したいことはもうないな...

ん?

転生はどうって?

あ...に話したら、それはもう当然できるざ。

むしろここで蘇ることさえも可能ぐらいだ。


でも、これは俺の生きてきた道だ。

例え、神でも...俺の生き様を指図されるつもりはまっぴらだ。

だから...これで俺の物語は終わり...

転生とかは遠慮させてもらう。

お前らの物語はどうなるか知ったこっちゃないが...

俺より良い結末が待っていると祈るぜ...

...


いいや...

一層、神様にお願いしてみるか?

もっともっと面白い展開が訪れるように...ってか?

無論、俺がそれに参加できないところでつまらないに決まっているけど...な

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