業の矢先(翠猿②)
場所は「
きちんと整えたスーツ姿の目一重の男性の言葉に対して、この店のオーナーであるスリーヤは眉をひそめた。
「戦争だ?...今更それをやって何になるんだ。」
「あ...もちろん大戦のようなものではないと思いますが、現代風に言うとギャングの抗争みたいな感じじゃないかと思います。まあ...もっと派手にやりたい気持ちは山々ですが、国と国の戦というのは昔みたいに勝手が違うので、これぐらいで...」と言いかけた男性にスリーヤは話しを割り込んだ。
「お前はよ...あの大戦の結末は自分の目で見ていないから言えるかもしれないけど、同胞の数え切れないほどの屍を超えた先には...栄光なんて正義なんてもんがない!」という必死な訴えをしたスリーヤ。
「まあまあまあ...落ち着いてください、叔父さん...」
「だ...か...ら...俺はお前の叔父さんじゃねー!」と感情が高ぶって、怒鳴りになりそうなスリーヤと男性の間に白肌の女性が立ち入った。
「おまえら...話しが熱くなりすぎんだよ。ここはクールでいくんじゃ。特にお前...穏やかの口調の割には片手がずっと銃を握っているのは穏やかじゃないの...」と冷たい目線をスーツの男性に送った。
「さすが伝説の最強戦士...分かったのですね。一発しか撃てないもんなんですけど...」
「けっ!なめるもんじゃな...第一こいつとかを殺しても何も起こらんぞ。今はすっかり経営者気取りのおっさんだからな...」
「気取りじゃない...立派な経営者だ。お前のあのバナナジュースの店に負ける気がないぜ。」
「こっちは海外から日本に進出してやったぞ。ここの料理は美味いのは俺も思うからじゃよ...もっと宣伝とかもっと波に乗らないといけないのじゃよ。」
「お二人さん...本当に仲が良いですね。」
「もう...戦友で腐れ縁みたいなもんだ。兄弟にも近いかもしれん。お前にはない絆だけは確かじゃよ...」という白肌の女性の言葉に一瞬表情が変わったが、すぐにいつもの笑顔に戻った男性は改めて話しの続きをした。
「さっきの感触では、お二人にはこの提案には飲まないということでいいですかね...」
「俺は戦とかは良いと思わない。よりスマートな解決方法があるはずだ。」
「ほ...その野蛮で醜悪の者たちにはスマートに話し合うつもりですか?」
「違う!もっとこう...論点の核心が分かればもっと穏便にことが済ませることができるでは...」
「例えあの核心は、あなたも知っているある人物だとしてもですか?」
「!?」この会話の内容を聞いたスリーヤは一瞬思考が停止した。
「まさか...狙いは!」
「ご明察...と言いたいところですが、こちらもまだ詳しい情報が掴めないですが...恐らく...」
「
「ふっ!誰のことを言っているじゃ?ヴァーユの子の俺には追いつかれるもんか...」
「じゃ...お願い...先に行って...」という頼みにサトラと呼ばれた白肌女性は笑い出して、すぐに本来の少女姿に戻った。
「じゃ...おいら先に行くのじゃ!」と言って、早いスピードでその場を飛んで去って行った。
去った後に残されたスリーヤと目一重の男性は少しお互いの様子を見ながら、警戒をしている。
そこで、なぜかさっき去ったサトラが戻ってきた。
「あ...言い忘れたことがあるんじゃ...」と言って、何かを取り出した。
それは発信器のようなものだった。
「こんなこざかしい真似を二度とするんじゃねー...追いつけないなら、追いついてみろっつーことだ。まあ、あばよ!」と最期に言葉を残して、すごい早さでその場を去った。戻る気配がないようだった。
残された二人は仕方なく、店の中に向かい合って座っている。
「あの方はさておき、こうしてあなたと二人でお話ししたいのです、太陽神スリーヤの子...別の言語の名前でもやはりそれだけは残しますね...」
「それは俺の存在意義でもあったからな...太陽はいつも俺たちと一緒にいるように...俺もその太陽という希望の証を捨てる気がない。飛んでいったあいつほど強くないが、俺はまあまあ活躍したから。簡単に末裔程度なもんに負ける気がないぜ。例えあの人の末裔でもな。」
その言葉を聞いた目一重の男性は立ち上がって、手に隠していた小さな銃を構えた。
「そうですか...まずはこの銃に撃たれないところから考え直す必要がありそうですね。」
雰囲気は重たい空気に包まれて、一触即発の状態になってしまった。
とそこで突然入り口から声が聞こえた。
「すみませーん。デマエデリバリーです。受取です。」と言って、一般女性に見える人が入ってきた。
その状態で男性もさすがに銃を手のひらにしまって、スリーヤはどちらかというといつもの通りに対応に出た。
「はい。何番ですか?」
「○○XXです。」
「ちょっと待ってくださいね」と言ったスリーヤは厨房に走った。
そこにはちゃんと容器に入っている注文の通りの料理が置いてある。さらに一枚の紙も沿っている。
紙に書いてあるのは...【利用できるところを利用していこう】という内容だった。
それを読んだスリーヤは、配達人に品物を渡して、店を出るまでに接客モードになっていた。
その配達人がいなくなったら、スリーヤは椅子に座って、目一重の男性を見つめた。
「その提案...詳しく聞かせてもらう。俺たちを取り入れたいならなおさらだ。情報共有が必要だと分かっているだろう?」
「もちろん...共有できるものは今すぐできますよ...
例えば、あの方が向かっている場所にはラヴァン家の者も目を付けているところということ...とか?
あ...後は魔王はそこに向かっている...とか?」
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