羅刹羅闍(生配信:その②)
とあるインターネットカフェ
狭い一人用の個室席の中にはまた一人の男性がパソコンの前に座っている。
この男性のハンドルネームはAxe。
彼はヘッドホンをしながら、片手で即席ラーメンのカップを手に持って、片手は箸を持っている。
パソコンの前にも読まれたか分からない漫画が何冊積んでいるが、彼の今の注目で見ているのはモニターが映し出す映像である。
それは...前にも見た某有名配信プラットフォームの動画...
そして、画面には前と変わらずに鬼の仮面を被っている人が何かを話している様子。
(ここからはその配信の内容をお届けいたします)
「
「えーでは、このチャンネルを見ている皆さんのコメントを見る前に...なんと!このチャンネルの登録者数は10人達成しました。ありがとうございます!皆さんのおかげさまです!そのために日々頑張っております!では、今日の生配信を見ている方のコメントを確認しましょう...ふむふむ...今日もいつものメンバーですね...登録者数10人レベルのチャンネルは人気チャンネルに成り上がるまではまさに険しい
「今日は...
Vibs:それで構いません。皆さん、始めまして。新参者ですが、どうぞよろしくお願いします。
Axe:歓迎しますよ!Vibsさん!ようこそ!
Somchai66:Welcome to RASETSU CHANNEL
Naraya:また物好きな人間が迷い込んでしまったか...愚かな人間よ、歓迎する。
鬼ぎり:それも俺たちも含まれているけどな草
「では、新規さん一人も入ってきたことで、今日の話題の紹介をしちゃいまーす。」
Axe:いつものドキドキ
鬼ぎり:ガチネタ希望
Vibs:こういうチャット、楽しそうですね...
Naraya:ふっ!どうぜくだらない情報でしょう?
「ハハ...Narayaさんには信用されないですね。でも、今回はいつもと違って、ある場所とそこにまつわる伝承について話したいと思います!」
鬼ぎり:伝承って...
Axe:今回は伝承ですね。
Somchai66:伝承...I don't know this Kanji
Vibs:いつもと違うのですか?
「都内シンジュクのあの有名な
その神社の名前になんと!【
Vibs:鬼の王?
Axe:それも大胆なネーミングセンスですね。
鬼ぎり:マジで魔王崇拝のところじゃないよな草
Naraya:鬼はよく悪者扱いされただけど、もともと修羅とか羅刹とかは上級の魔物だ。亡くなった人間も祀られるこの国では鬼ぐらい...
「お?Narayaさん、いいことを言いますね。その通りと言いたいところですが、正式に祀られる神様の名は【
Axe:ほ...
鬼ぎり:なんだ...結局鬼じゃないじゃん
Naraya:まあ...弱った人間の戯言かもしれないぞ...途中で誰か遭って、何が起きたか本人しか分からないから...
Axe:本当に鬼と遭って、助けられたということですか?
Naraya:まあ...私に聞かれてもね
「いろんな諸説がありますので、真相は分かりません。しかし、気になるのはかなり鬼のことを邪悪の存在だと思った江戸時代からでもこの名前が使えるということです。実はその神社の宮司の方さえも詳細がハッキリ分からないらしいですよ。ある説ではあの
Axe:それもそれで興味深いですね。
Vibs:本当に鬼と遭ったりして、それもすごいことですね。
Somchai66:Momotaro!
鬼ぎり:いやいや!桃太郎と違うでしょう!w
Naraya:災いを払ってくれる...ね...人間は自分がどうしようもないところで神でも天使でも悪魔でも縋ってしまう...さすがに愚かな生き物だ。
Vibs:それも普通かと思いますが...
Axe:Vibsさん。Narayaさんはそういう設定なので、真に受けないでくださいねw
Naraya:失礼ね!あなたも私の力で消し去ろうか!
「なんかチャット内でヒートアップしていますね...ハハ...議論は問題ありませんが、暴言だけはやめてくださいね。あと、神社の境内には渋々の顔で大きな鉢を支える鬼型の水鉢
鬼ぎり:出た!鬼!
Somchai66:Yaksa!
Axe:でも、これはまたさっきの伝承と関係ないですよね?
「そうです。これは簡単に言うとこの水鉢がなんか呪われたようで、そこで神社に奉納された話です。」
鬼ぎり:なんだ...
Axe:まあ...でも何か関係があるかもしれませんね...あまり可能性が低いですが...
「そうですね。これからも私はもっと羅刹と鬼にまつわる伝承や面白いネタを探しますので、今後ともよろしくお願いします!では、今回の生配信はここまでです。いつものメンバーと新規のVibsさんも話を聞いてくれてありがとうございました。次回!またさらに謎に迫る!魔王!羅刹!鬼!では、RASETSUチャンネルのご視聴いただき、ありがとうございました!アーカイブはまた後でアップします!高評価もよろしくお願いいたします!羅・説でした~また!」と仮面の人が最後に挨拶して、手を振りながら、配信終了の画面に切り替わった。
Vibs:面白い話が聞けて楽しかったです。ありがとうございました!
Somchai66:No Thank you!
鬼ぎり:乙!
Naraya:次回はもっとマシなネタを提供するように!
Axe:お疲れ様でした~
【鬼ぎりがログアウトしました】
【Narayaがログアウトしました】
【Somchai66がログアウトしました】と次にログアウトされたが、Axeはまだログアウトしていないままにメッセージが続いた。
Vibs:Axeさん、ちょっといいですか?
Axe:はい。なんでしょうか?
と返事したものの、Vibsからの返事が来なかった。
そこで、突然彼の携帯が鳴り始めた。
それを取り出して確認すると、携帯の画面には非通知と示されている。
それを警戒しながら、電話を取った。
「もしもし...どちら様でしょうか?」と言ったら、電話の向こう側の相手はこう言った。
「久しぶりだな...Axe...いいえ、斧を持つ者よ...」
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