羅刹羅闍(心の行方)
現在
もともと一人用の部屋のため、蘭華以外の何者かがいると、かなり狭くなる。
その部屋の片隅では現在ラージャという名で名乗っている巨漢はデカい石像のごとくずっと動かずに座っていた。
この巨漢の正体は
そして、その魔王は存在感を消すところか存在感と目線を全開で蘭華に向けて集中しいる。
一方、蘭華はただスマホを見て、何かを調べている...少なくともそのふりをしている。
(ここからはこの二人?の言動と心の声が混ざった内容になります。)
ラージャ:(ああ...ずっと
蘭華:(ずっと見られている...この部屋はさすがにこの大きさの人?にとっては狭すぎるよな...窮屈しているのかな?それとも怒っている?意思疎通ぐらいができるようになるまでだけど...何を考えているか分からないよ...ずっとその強面だし...数日続けると、さすがに私でも段々緊張...というか不安になってきたよ~)
と思った蘭華は一瞬巨漢との目線が合ってしまった。蘭華は何かを察したように目を逸らした。
蘭華:(気のせいか...殺気を感じた...背筋が一瞬凍ってしまったよ。怖いよ...私、今度こそ食べられるじゃないのか?そんな訳がない...よね...ハハハ。今のところは香蓮ちゃんに彼の住まいを探すのを手伝ってもらっているけど、それまで私...まだ無事でいられるのかな...(涙目))
ラージャ:(余のことを見てくれたのか...何たる幸せな刹那だろう。こんなのは初めて其方を自分の目で見たとき以来の気持ちだ。あ...愛する我が君よ、余の心の全ては其方にくれてやっても足りないほど...例え、この世界の大海の水を余の今の気持ちを表してもそれは計り知れないほどだ。謁見のことは一旦取りやめよう。余にとっては永遠でもこの世界の終りでも其方をここで見つめるだけでもこの一生には何の後悔も塵ほどもない!)
沈黙がしばらく続いた。
徐々に時間が経てば経つほどかなりの気まずさが蘭華に少しずつ襲ってくる。
手にしているスマホはもはやただ見るふりをして、別のことを考えていた。
蘭華:(何か...とりあえず...この気まずい状況を脱出する方法が...ないのかな...)
ラージャ:(そういえば、余の心の欠片はその時以来手がかりになる兆しも何も現れていない。
「これで一欠片があなたの元に戻ります。全ての心の欠片が集めると、あなたは自分を取り戻すだろう...もちろん、これは心臓という器の欠片でしかありません。この心臓の破片と共に本当の【心】を取り戻すのです。しかし、果たして取り戻したのはあなたが望んだものなのか...私にも分かりません。」というあの大樹の下で其方が放った言葉を思い出した。この国まで来ていたが、愛する我が君こそが手がかりだと思ったが、今後はどうするか...余の弟がまだ生きていれば、すぐに占術で何か分かるかもしれないが...例え今生きているとしても...余のことを許してくれるわけがなかろう...理由はとっくに知っている。余自身が自分の弟の助言に聞き入れず、その挙句には王国から追放したからだ。
うん...前回のように都合よく愛する我が君の姿が変わり、何かの助言をくれたような何かが来るわけが...ん?...なんと!?」
と突然ラージャは立ち上がり、頭を天井に衝突した。その衝撃で気づいた蘭華は音がした方向を見ると、見事にラージャの頭が天井を突き破った。
慌てた蘭華はラージャに座るように話しかけたが、声が届かないのかその体が反応しなかった。
ようやく動いて、改めて座ったラージャはある方向に指をさして突然話し始めた。
「そちら...方向...余...心...在り」
「え?何?というか天井がやばいことになっているけど!どうしよう...鬼王に殺される前に大家さんに殺されるよ...」
「そちら...行く...所望する」
「そっち?何かあるのか?方向だけ言っても詳しく言わないと...あ!」
とここで何かひらめいた蘭華はとりあえずこの気まずい状況を脱出する方法が見つかったようだ。
「そうだ!ちょっと散歩に行ってみない?えーと、外...一緒...出る...いかが?」
「外...余...心...在り...然り?」という巨漢の言葉に蘭華は微笑みでこう答えた。
「分からないけど。あなたが行きたい方向でもいいよ...いわゆるこれは...【ぶらり旅】だ!」
「ブラリタビ...良い...今から...外...行く。」
ついに...心を探す旅...ぶらり旅が始まろうとした。
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