蘭華(inスリ:ランカ)

現在より1週間前に遡る


スリランカの最大都市、コロンボ

バンダラナイケ国際空港


蘭華ランカはついにここ...スリランカランカ島の地を踏むことができた。

「着いた...ラ・ン・カ・島~!って思ったより蒸し暑いね。」と空港を出た早々蘭華の第一声は高温高湿の空気に対するコメントだった。


「ネパールと違って、どっちかというと、このトロピカルな気候は東南アジアの方に似ているかな?この服装で正解だったね...」と自分の服装を見た。

通気性のいいピンク色Tシャツとクリーム色ショートパンツ&黒スパッツのコーディネート、そして寒さと日焼け対策の赤黒チェック柄のシャツが腰の周りに巻いておいたのはいい感じに今の気温と合っている。


「さて、とりあえずはバス停...バス停...」とコロンボの街に行くためのバスを探そうとした蘭華だったが、彼女が見かけた看板を読もうとしていたとき...違和感が脳内に走ってきた。

「あっ」と小さな声がこぼれてしまった蘭華。その原因は看板に書いてある文字だった。


これ......

それはそうだ。なぜならこれは蘭華が分かる言語から。


スリランカここでは別の言語、『シンハラ語』を公用語として使っている。南アジアの一部であるスリランカは自分の言語を使う理由は人口の多くはインド半島とは違う民族だからである。人口の第二の多さでタミル語が使われ、それぞれも公用語だが、蘭華にとってはどちらでも分からない。

文字は知らない人から見ると、同じじゃないと言ってしまうが、言葉が違うことと同じく、違う文字が使われるため、当然簡単に解読することなんてできない。


「まるで異世界に転生して、ようやくその世界の言語が分かるところで、また知らない言語と遭遇する気分だな...」


インド半島の中で多く使われる言語としてヒンディー語はよく知られているが、実際には200以上の言語とさらに1000種類以上の方言が使われているという事実は驚きしかない。細かいところはさておいて大さっぱでいうと、ヒンディー語は北部で、タミル語は南部で多く使われると言いましょう。しかし、ネパールでもネパール語もジャナクプルではマイティリー語みたいに違う言語で話される。マイナーな言語は言うまでもなく、それほどの言語の数で同じインドの人でも言葉が通じないことは珍しくはない。逆にいうと、イギリスの植民地時代から影響が残った英語の方が通じるということも冗談に聞こえたが...である。

じゃ...英語なら大丈夫ではないか?と思うだろう...

蘭華の場合、脳内は母国語の日本語以外に第二言語にするであればヒンディー語やネパール語が話せる。そのため、実を言うと...英語は日本の一般人の平均ぐらいである。

まあ...観光客としては問題ない...はず


「忘れるところだった!ヒンディー語が分かってもこっちには通じないよね...困ったな。もう自分の英語能力を頼るしかないか...」と考えた蘭華の頭の中にジャナクプルの不可解の出来事の記憶が脳内で再生された。

「申し訳ございません!...お許し下さい!シーター様!」という老婆から出てきた言葉...というより分かるはずもない言語が頭の中で理解できたことの方がよほど驚きだった。

なんであのとき、あのおばあちゃんが言った言葉が分かるんだろう...

さらにシーターって...


何だろう...この感覚


シーターと呼ばれるたびに、どこかに遠くて懐かしい気持ちになったのはなんでだろう...まさか...ね...


その後、英語の看板を探して、バス停には無事に着いた蘭華はとりあえずバスの中の席が確保できたて、一安心の表情と共に言語は本当に文化や歴史に影響されるからこそ興味深いなと改めて思った。

しばらく待つと、バスはようやく出発した。

蘭華は親友である香蓮のことを思い出しながら、走っているバスから見えた景色を眺めていた。


香蓮ちゃん...怒っていたな...いや、怒ってくれたな...

ごめんな、香蓮ちゃん。やっぱり自分が今体験していると『ラーマーヤナ』とは関係があると確信したから、ここまで確かめに来たんだ。


時は二人の食堂の中の会話に戻った。


「で?気を付けて帰ってきてと私は自分で言ったけど...スリランカでは本当に伝承のランカ島だとして、そこで何かを探すの?」と香蓮が蘭華に率直な質問を投げた。そして、どうやって香蓮が納得するかその回答には少し...いや、かなり戸惑った蘭華だった。

ただ旅先のネパールで『ランカ』とか『シーター』とかの誰かのささやきが聞こえたと言っても、まあ...信じてくれると思うけど、それは理由になるまでかというとまだ足りない。自分でも安直すぎると思う。

知らない子供や老婆に自分が『シーター』と呼ばれたり、分かるはずないの言語が聞き取れるの話も...不可解すぎて、逆に怖がらせてしまうかもしれない。

でも、このままにはいかない。


そう思った...そう感じた。


この不可解の出来事も解明して、そして、自分が思うことを確かめたい。

羅刹ラクシャーサ...鬼と人間の共存...この地なら何か掴めるかもしれない。」と蘭華が放った回答に対して、さらに理解が追い付かない香蓮だった。

「えーと...鬼はまだ今でも存在して、その地にいるという前提だよね?それはどうやって探すの?」と当然この返しが来ると予想した蘭華だが、返す言葉は見つからない。


スリランカではかなり蘭華の専門かつ趣味から一歩離れた部分がある。

それは...この国では、ヒンドゥー教より【仏教】の教徒が多いからである。

仏教はインドとネパールの辺では発祥の地だと言われたが、ヒンドゥー教、さらにイスラム教の影響で発祥地であるこの二つの国では仏教の人口が少ない。それに比べて、スリランカはかなり多い。その起源は起源3世紀前に伝わったと言われる。当時の王は仏法に帰依きえすることが始まりで、王国に住んでいる人々は仏教の教えを受け入れて信仰し、昔から仏塔や大寺など仏教に関する建造物はたくさん建ててあり、今でも仏教徒の人口が多い国の一つである。宗教や民族の違いでこの国も長く続いた内戦があったが、今は昔より落ち着いている状態になっている。

それはさておき、仏教が専門外の蘭華はスリランカで何を探し求めるか少なくとも理由を見つけないと香蓮親友という第一関門を突破すらできなくなる。


「そう...まずはインドとスリランカの間の海峡にある石灰岩でできた砂州と浅瀬の連なりがあって、ラーマズ・ブリッジとも呼ばれるんだ!『ラーマーヤナ』の物語ではラーマ王子がランカ島へ渡るために橋を架けたという伝承があるんだ。」と必死にラーマーヤナの話を結び付けようとした蘭華だが、これだけでは足りないようだ。

「あと...そう!その伝承でランカ島は今のスリランカであれば、そこには羅刹の王国が存在したという仮説ができる。そこで...そう!スリランカには仏教に関する遺跡や建造物は多いけど、ここではまだ謎が包まれている場所も多くある。例えば、4宗教の聖地でもあるアダムスピークという山でね...頂上の辺で足跡のような穴が見つかって、仏教ではブッダ、ヒンドゥー教ではシヴァ神、イスラム教では人類始祖のアダム、キリスト教は聖トーマスの足跡だと言われたんだよ。面白いでしょう?同じ場所で4宗教の聖地だよ!現地の名前も【聖なる足跡】という名前だ。」と説明を続けた蘭華だが、香蓮はそれを聞いて、また質問を投げた。

「それで?これは羅刹の王国とは何か関係があるの?」というツッコミ攻撃に、さすが蘭華は説明をいったんやめた。


そう...

一回頭の中に整理しよう、私...

そう...

そこではまだ謎が多い場所がある...そこでいにしえの羅刹の王国がありそうな場所...

...うん...

と蘭華はスマホを取り出し、何かを検索していた。そして、何かを見つけたようだ。


「ここだ!」と叫んだ蘭華にびっくりした香蓮。

「え?何?」と言った香蓮に見せられたスマホの中の画像と共にニッコリした蘭華だった。


目的地はやはりここしかない...

巨大の岩で築かれた天空の古代都市、シギリヤ...そう、【シギリヤロック】だ!


そして、スリランカの旅が始まった今。

バスに乗っている蘭華はその時に言った場所に行く途中である。

まずはコロンボのホテルに泊めて、明日からはシギリヤだ。

と考えたそのとき...

またが聞こえた。


ネパールにいたときより遠いところからのささやきから近くにいるところからのささやきになったように音量が上げられたような声だった。

聞こえてきたのは今までの名前とか単語とかじゃなく...台詞のように聞こえた。

その内容は...


「余〇×△□愛×、守△@*る」


これは......


古代言語のサンスクリット語に近い言葉だ!蘭華の聞き取り能力の限界で途切れ途切れに聞こえたが、

「余?愛?守る?」と自分が聞き取れた言葉を理解しようとした蘭華だったが、ちょうどバスはコロンボ市内の終着点に着いた。

バスから降りても蘭華はまださっきのことで頭がいっぱいの様子。


「余...つまり、私は愛を...守る?...何のことだろう。私じゃなくて余を使うというのはひっかかるね」と自分に言った瞬間、一つの仮説が頭の中に出てきた。

余という自分の呼び方...【王様】とか...!?

...

もしかして!とここで「羅刹の王...」というキーワードがぴったり頭の中の謎にハマった。

そうだ...ここはランカ島だから、羅刹の王国があるなら、【王】もいたはず...


でも...


あの王は...


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