英雄王の追憶~正義~

これは正義の戦い聖戦である。


羅刹ラクシャーサの王を倒し、愛する者と共に世界の秩序を取り戻す...そのための聖戦である。

そう...

我は【愛】と【正義】のために戦に挑む者。


しかし、今になっても考えてしまう...

彼女を愛する故に...彼女を奪還するためにこの戦を始めたのだろうか?

我は本当にシーター彼女だろうか?

それともこれは奪われたものを取り戻すだけの我が身の強欲なのか?

そのために戦まで発展して、様々な者を巻き込んでしまった。

それとも...

これはに仕組まれたことだとしたら、

と思ったときに誰に声をかけられた。


「こちらにいらっしゃるのですか?」その声の主を見ると、馴染みのある顔の人物が立っていた。

「あ...か。」

「明日は最後の戦になりますので、そのためにも兄上も休まないといけませんよ。」

「はは...いつもの心配性だな。心配せずとも、私は大丈夫だ。」

「兄上のことを心配することは仕方のないことです。なぜならあなたは戦場で陣を取る使命があり、あなたは私たちの【王】ですから...」

「よせよ、ラク。何回も言ったが、私は【王】ではありません。今はただの戦の指揮を任された追放される最中の王子ですよ。」

「何を言いますか、兄上!もともとはあなたは王位継承者の第一王子なんですよ!カイケーイー王妃あの女のせいで私たちは追放され、その揚げ句シーター義姉上が攫われて、ここまで戦う羽目になったのですよ!私は今でも許しなんてできません!あっ...申し訳ございません、兄上。」と怒りを抑えようとした声で話したラクという男性に対して、彼の兄上に呼ばれた男性は微笑んで言った。


「大丈夫だ、気にしないでくれ。そして...その話はもう済んだと言ったはずだ。君のもう一人の兄であるバラタは追放された私たちに尋ねてきたときからもうこの話は解決したではないか。私は誰にも恨んではいません。追放もこの戦いもきっと...があると私は信じているから、最後までやり遂げよう。」

それを聞いたラクは少しため息をついて、彼の兄上の顔を見た。

「やれやれ...いつまでに立っても兄上は変わらずに善人、いや失礼...聖人ですね。これこそ皆に慕われたお人好しのあなたです。」と少し笑顔を見せたラクだった。


そして、彼は膝を地面につき、頭を下げた。

「では、例え世界の果てでもお共にいたします!大将、王太子殿下!」

「ああ...明日は大事な戦だ。よろしく頼むよ、第三王子殿。」


そうだ...きっと意味がある。


この戦いも...


彼女への愛も...


羅刹の王との対峙も...


しばらくして、ラクシュマナが去って行った後に一人になったラーマと呼ばれた王子はさっきまで頭の中に考たことを再び考え始めた。


考えてみたら、いつからこの考えは頭の中に存在するだろう...



これは記憶というより心の中に眠っている、まるで【暗示】だ。

そして、都合よく今の状況では愛する者を取り戻すために、あの羅刹の王を倒すことは一つの目的になってしまった。


と自分の心がそう言った。


じゃ、何でそうしなければならないのだ。

まるで誰かの暗示で【命令】されたようだ。


【愛】のため...

そして、【正義】のため...だと錯覚させるためのように...

大義を成し遂げるためには【正義】を掲げ、誰を【悪】をしなければならない。

果たして...それは本当の【正義】なのか?


我は英雄になりたくて、ここに来たではない...

なんで我はここにいるのか今更だが、心に疑問を持ってしまった。

...

分からない...

自分ではその疑問を晴らす答えが見つかりはしない。

こうなったら、誰かに聞くべきだろう。

そう...神様なら、今の我を導いてくれるはず...

そう思うと、王子は空に向かって、話しかけ始めた。

「神よ!...我が守護神よ!...我の迷いにお導きを...啓示を我に与えてください!」


静かな夜に響いた王子の声

何者かに届けただろうか...

沈黙の中に王子は何者からの返事を待ちわびているように空を見上げた。


どうか...教えてください。

我の正義が本当の正義である理由を...

その理由が霞んでしまい、何のために戦いに挑んだかその理由を


すると...

彼の目の前にまぶしい光が現れた。

その輝きは直視できないほどまぶしく、見えるのはその光の向こうにある人間のような影法師だけだった。


その影法師の正体?の存在は分からないが、王子に指で指したような仕草をしたその瞬間、王子の頭の中に激痛が走り、痛みのあまりに立つことさえもできなくなった。


「ああああああああ!」と叫んだ王子は頭を抱えながら、うずくまってしまった。

その王子の様子を見守るようにしてからしばらく時間が経ち、その影法師は光と共に消えていった。

そして、静かな夜は元に戻った。


痛みが和らいだ王子は息切れをしながら、もう一度立ち上がった。

そして...理解できた。

は頭の中に直接に話しかけたんだ。

その「答え」を...


「そういうことか...これでようやく分かった。」ともう一度空を見上げて、こう言った。


「これは真の理由...真のだ!」

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