設楽(ラク)
現在
都内にあるアジアン料理レストラン「
「ここは...君のおすすめの店で間違いないな?」
店の前に立っている看板は英語とフリガナの店名が縦に載っているとともに背景には山、さしずめヒマラヤ山脈のエベレストの写真といったところか青空と一緒に映っている。
しかし、看板の中に名前と背景より違和感が丸出ししたのは国旗...さらに1枚2枚じゃなく、
サフラン・白・緑の横三色の中央に
世界では珍しい2つの真紅色の三角旗のネパール国旗と...
赤、白、紺、白、赤の5本の横帯のタイ王国の国旗...
そして、真っ赤の四角の中央にシンプルの黄色の星が載っているベトナム国旗、金星紅旗...
いわゆるここは多国籍料理の店なのか?というツッコミところ満載の看板である。
「はい。ここは僕の親戚が働いている店です。インド・ネパール料理は普通に美味いですけど、ここの一押しはタイ料理の定番、トムヤムクンは絶品だと言われます。僕はあまり食べていませんが...」
一押しの料理はあまり食べていないのかい!というかトムヤムクンは一押しのところはそもそも違和感を感じるけど!?とツッコミたくなる回答だが、話はまだ終わっていなかった。
「ここならあまり他の客がいないし、話の続きをする場所にしてはかなり都合がいいかと思いますが...先生はインド料理とかでは大丈夫ですか?」
「いや...特に問題ないが、君が言う都合がいい店っていうのは仮に君の親戚が働いている店の面では問題ないが、あまり客が来ないというのは店としては大丈夫なの?」とやはりここはツッコミを入れた方がいいところだと思った鳳だった。
「はい...特に不景気というわけではないらしいので、問題ないかと思います。」
はっきりとした返事は逆に鳳が少し店の人にシンパシーを感じてしまった。あと...絶品はインドカレーではなくトムヤムクンというのはやはり引っかかるが、話をする場所としては確かに都合がいい。
「分かった...場所を提供したお礼に今日は私の奢りにさせてもらうよ。店の少し助けになればいいが。」
「分かりました。では、入りましょうか。」と言って設楽はドアを開けて、二人は第一印象怪しさ満載の店に入った。
...
インド料理屋に入った経験は誰でも一回二回があるではないでしょうか。駅の近く又は家の近くにはインド料理屋が一つぐらいある確率は低くないといっても過言ではない。正確にはネパールの人が料理担当でやっている店も多数いるが、インドとネパールの類似している料理とネパール独特の料理をメニューに追加する店も少なくない。それはさておき、インド料理屋の中の内装は一つの共通点がある。それはヒンドゥー教の神々の絵がたくさん店内に飾ってある。さらにいうと、インドの音楽又は映画の映像がテレビに流れるというステレオタイプのザ!インド料理屋!のイメージがある。
ところが、それをさらにごちゃ混ぜする形でテレビにはタイ語の歌のカラオケ音源が流れて、店の一角では小さな神社が建てられ、神社の前に小さな黄金の仏像が置いてある。もっとツッコミたいのは各テーブルにはベトナムの伝統的な衣装、アオザイを着ている小さな女の子の人形がメニュースタンドの前に置いてある。まさに4つの国の要素が
少しではなく、かなりの大ボリュームの情報量が鳳の脳内に流れ込むというより殴りこむ感じで思考がしばらくうまく機能できなくなったが、一方で設楽という少年は厨房に立っている人を呼び掛けた。
「
「ラク!久しぶりだな!」というネパール語で返した。
ラクと呼ばれる少年は男性に近づいたら、大きくハグされて、少し照れた表情を見せた。しばらく二人のネパール語での会話が続き、鳳はただ二人の談笑を静かに立って見ることにした。それに気づいた設楽ラクは少し教師の前の態度に対して、申し訳なさそうな気持ちで少し頭を下げた。
「あ、先生...お待たせてしまって失礼しました。こちらは僕の親戚のラジブさんです。」と男性のことを紹介した。
鳳は設楽という少年の親戚がネパール出身の人という事実より気になったことがある。
「大丈夫...それより君は...ネパール語が話せるのか?」
「ええ。僕のフルネームは設楽・シン・
「そういうことか。でも、君の見た目はどちらかというと東アジア...日本の人にも見えるね。やはりネパールでは部族との交流も多く、様々な顔立ちの人がいるということは確かに本当だな。」と感心を持っている鳳に対して、ラクは困っている顔で返した。
「そうですね。見た目からどう見ても日本人だろうと昔から言われました。僕も日本生まれ育ちなので、不便がないのですが、代わりに家族と一緒にネパールに里帰りしたときは逆に観光客扱いされて、複雑な気持ちでした。この前にネパールに行ったときに「お兄さん、ネパール語が上手ですね!どれぐらいネパールにいたの?」と店員さんに言われて、そのときはさすがに何秒か思考がバグってしまいました。やれやれですね。」
「そう...か...それも大変だったな。」と改めて見ると、ラクは色白の上に顔立ちは日本寄りで、さらにメガネをかけているせいかより日本独特な【律儀】感を出している。ハーフという偏見がない分、逆に典型的な日本人という偏見で見られてそれもそれで大変だと鳳が思った。
「ラク、このカタは誰?」とラクの親戚の男性が日本語でラクに尋ねてきた。
「ああ、大学の先生だ。授業の後にもっと話が聞きたいから、僕がここに招待したんだ。」とラクがネパール語で答えを返した。
「センセイですか?すごいですネ!いらっしゃいませー!ようこそ、ハーブ・スパイス&モンキーへ!いっぱいタベテ、いっぱいタノシンデくださいネ!」と陽気に鳳に歓迎の気持ちで声をかけた。
「あ...ご馳走になります。」と丁寧に返した後、鳳とラクは空いている一番奥の席に座った。
「では、君のおススメで構わないので、適当に注文してくれ。あ、なんでもいいと言ったけど...鶏肉以外でお願いできるかな?」
「はい。分かりました。鶏肉じゃないなら、
「マトンビリヤニを一つ、トムヤムクン一つ、後...生春巻きとモモもよろしく。飲み物はラッシーと...先生は何を飲みますか?」
「あ...お茶的なもので頼む。」
「分かりました。じゃ、マサラチャイを先生に一つ。これでよろしくね、ダイ」
「かしこまりまシタ...ラクはやはりネパールの
「あ...では、料理をご用意しますノデ、少々お待ちくださいネ。」と言って、厨房に戻った。ラクもそのあとすぐいつもの表情に戻して、鳳の方を見た。
そのやりとりを見た鳳は空気を読んで、何もツッコまずに別の話を始めた。
「では、料理が来る前に話の続きをしようか...理不尽によって復讐心が燃えた一体の
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