第8話
レオの左眼の瞳が金色に変わっていた。
しかし、ティアが魔法を止めたのそれではなかった。レオが溜めていた魔力量が想像を遥かに超え、このまま放てば山が崩れるかもしれな魔力量だったのだ。
「なるほどのぉ……色々納得いったわ……その眼……こっちでは精霊眼とよばれていたかのぉ」
「こっちでは??」
「こ、こっちでははこっちのはなしじゃぁ……」
レオの質問に対し、ティアは歯切り悪く答えた。 そこへ、ルファスが寄ってきてレオの眼を見た。
「ほぉ……これが伝説級の精霊眼か。 なんでも四属性の適性があり、魔力量も膨大で、いかなる魔法も使えるといわれている。 そんなものを見れるとは長生きはするものだな……今後の成長が楽しみだ……」
(……あの眼はそんな低レベルの代物ではないのじゃが、今はそういうことにしておこうかの。 にしても……まさか、あの眼を受け継ぐとはの……楽しみがまた増えたわ)
ルファスとティアはレオを見ながら不敵な笑みを浮かべていた。
「なぁ、俺の眼は結局なんなんだよ? 二人でニヤニヤしやがって。 つまり、四属性つかえるってことだろ?」
「まぁ、早い話がそういうことじゃ。 普通は一属性、二属性使えるのは稀で、三属性使えるのはエルフ族など魔法に長けた種族でさえ稀なのじゃ。 人族では数えれる程度じゃろ。 それなのにレオは四属性使えるとなれば、どれだけすごいかわかるじゃろ?」
「なるほどな てことは、早く魔法に慣れないとな」
「そうじゃな……レオよ、おぬしの魔力量は膨大じゃ。 その魔力量を制御出来なければ、なんの意味がないのじゃ。 まずは制御を覚えよ。 小さく、密度のある綺麗な球体を作れるようにするのじゃ」
「ティア、小さいので威力あるのか?」
「ふむ……見せた方が早そうじゃなの。 これを見よ」
ティアは右手に拳くらいの球体と左手にビー玉位の水の球体を作った。
「この二つの球体は大きさが違う。 この二つをあそこの左右の岩に当てるから、どうなるかよく見ておけ」
ティアが両方の球体を左右の岩へ放った。
爆音と共に土煙があがった。
「な、なんだよこれ……!? 右手のやつは粉々だけど……左手のやつは……なくなってる!」
「右手と左手は魔力量が違うのじゃ。大き方より小さい方のが魔力量を倍にして小さくしたのじゃ」
「すげぇ! ティアすげぇよ! ティア最高だよ!」
「わ、わかればよいのじゃ! れ、練習しながら先に進むぞ!」
レオの純粋な褒め言葉に頬を赤らめながらティアは先へ進んだ。
(レオは気付いていないが……ティアがやっているのは制御の高等技術……普通は形成した魔法を維持するだけなのだが、ティアの場合、魔力を凝縮させて魔法を形成している。 見た目は初級魔法だが、中身は中級魔法級。 それをいとも簡単にやってのけるとは……とんでもない娘だな……)
ルファスは改めてティアの底知れなさに興味津々であった。
山道からいくつかの洞窟を抜け、山を越え、森の入り口に到着した。道中魔物はいたが低レベルな魔物でルファスが先行し、ティアが魔法で援護し撃退していった。その中レオは一人魔法の練習をし、戦闘に参加していなかった。森の入り口付近で一晩野宿し、翌朝森を抜けることになった。
その夜、焚火囲うように三人は座っていた。
「レオよ、よくも飽きずにまだやっておるのか?」
「なんか、もう少しでコツを掴めそうなんだよな」
「まったく、一日や二日でできるものではないぞ。 はぁ……わしはもう寝るからの」
「あぁ……おやすみ」
ティアは飽きずに練習するレオに呆れながら眠りについた。その頃ルファスは、武器の手入れをしていた。
「飽きずによくやるな。 ティアが呆れるのもわかる。 ほどほどにしとけよ」
「あぁ……わかってる」
返事はしているが辞めるそぶりはなかった。
レオの手の平には手の平サイズの綺麗な水の球体が出来ていたが、レオは納得していなかった。
「これは驚いた。 綺麗な球体が出来てるじゃないか」
「……う〜ん……なんか違うんだよなぁ……」
(その違和感は凝縮だな。 だが、私の説明では理解しないだろうな)
「今日は休んで明日、ティアに聞いてみたらどうだ?」
「……そうだな でも、もうちょい練習するわ」
「そうか。 では、先に寝させてもらう。 寝る時起こしてくれ。 見張りを変わろう。 おやすみ」
「わかった おやすみ」
ルファスは眠りにつき、鳥や虫の鳴き声が聞こえ、空は星が輝く中、レオは一人黙々と魔法の練習をしていた。
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