第4話
「おまえがレオか? ……これがヨゼフからの手紙だ。 読むか?」
白髭の老人が手紙を出した。
レオは抱いていたヨゼフを優しく地面に寝かせ、手紙を読み始めた。
馬鹿息子へ
おまえがこれを読んでいるって事は、俺は死んじまったんだな。 てことは、これからの事を話さなくちゃな。 まず、おまえの中には魔力が封印されている。 だから魔法が使えなかったのだ。 左胸の紋様が封印の証みたいだ。 そして、この封印はそんじょそこらの封印とは訳が違う。 四大精霊による封印術で解くには各精霊に会い、四つの封印解いてもらった後に、精霊王から最後の封印を解いてもらうっていう、とんでもない封印術なんだよ。 これについて色々調べたが何故、封印されたのかがわからなかった。 すまないな。 おまえはこの封印を解く旅にでるんだ。 詳しいことは俺の親友 ルファス という白髭の老人に話してある。 そいつと一緒に旅に出ろ。 俺が唯一認める男だ。 さて最後に、俺の亡き骸があるのか無いのか、あったとしたらおまえ泣きまくってるんじゃないか? そんなに俺のこと好きだったのか? まぁ冗談はこれくらいにして、おまえにはやらなきゃ行けないことがあるだろ。 旅をし、色々学び、経験し、自分を磨け! 俺はいつもおまえを見ている! おれを失望させるんじゃないぞ! おまえはおれの馬鹿息子だ! おまえの名前を俺のとこまで届かせてみろ! レオ……強くなれよ。
「……うぅっ。……見てろよ親父!おれがどんな奴より強くなって仇取ってやるからなぁーーーー!!」
レオは手紙を握りしめ、両腕を上げ、天に向かって叫んだ。
「……あんたがルファスか?」
「そうだ。 ヨゼフを弔うとしよう。」
二人は地面を掘り、ヨゼフを埋め、折れた剣を刺した。
レオは花を摘んだことを思い出し、鞄に入っていた花をヨゼフの墓に添えた。
「カーベラの花か……たしか、花言葉は感謝と希望だったかな。 柄にもないことするな」
ルファスが墓を見ながら笑みを浮かべた。
ヨゼフはこうなることを予想して、レオに花を摘むよう頼んでいたのであった。
「……カッコつけてんじゃねぇよ……」
レオの目から一筋の涙が流れた。
「……レオよ、これからは私がおまえの面倒を見る。 険しい旅になるが覚悟はあるか?」
「……当たり前だろ。 おれは名を轟かせ、親父にまで届くくらい強くなる!」
「ふっ……さっきまでビービー泣いていたくせによくいうわ」
「う、うるせぇ! 支度するから一回家帰るぞ! 行ってくるぜ……親父」
「……ヨゼフよ、ちゃんと見とけよ。 これからどう化けるか、楽しみだな」
二人はヨゼフの墓に別れを告げ、家へ向かった。
レオは荷支度を済ませ、ルファスと共に村の出口に向かった。
「ルファ爺、これからどこへ向かうんだ?」
「ル、ルファ爺!? 私のことか!?」
「ルファスで白髭ときたら、ルファ爺だろ? で、何処向かうんだ?」
「……まったく、私をそんな呼び方で……あいつの息子らしいと言えばらしいが……まぁよい。 これから向かうのは、村から西へ向かって、ダラスの森の奥にある、水の神殿へ行く。そこで四大精霊の一人 水の精霊王に会いにいく」
「水の神殿か、水の封印を解いてもらったら、水の魔法が使えるのか?」
「それはわからんな。 行って話を聞いてみるしかないな」
「ふぅん……そうだな」
二人は行き先の話をしながら歩き、村に着いた。
村には避難していた村人達が集まっていて、その中から村長が寄ってきた。
「……レオよ……何も出来ず、すまなかった」
「何言ってんだよ。 親父が守った村だ。 おれが戻ってくるまで、家と親父の墓頼むよ!」
「……わかった。 任しておけ。 道中きおつけての」
村長の話が終わると、村人達から声援が響いた。
「みんなまたな! ばぁちゃんにも宜しく行っといてくれ! 行ってくるわ!」
レオは笑顔で大きく手を振り、強くなって帰ってくると心に決意しながら村を後にした。
レオとルファスの二人は森の入口付近に着くと、上空の方から声が聞こえてきた。
「おのれぇーーー! 覚えとけよ馬鹿者どもがぁーーー!」
レオは声が聞こえる方へ目を向けると、女の子が空から落ちてきていた。
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