第3話「ふと、気持ちが落ち込む時」

 あなたはどんな時に気持ちが落ち込んだりしますか?




 思うような結果・成果が得られない時?


 人と話が合わなくて、段々と孤独感を持った時?


 特に理由のない時?




 人それぞれに落ち込む理由はあって、原因がはっきりしている場合はまだいい方かもしれない。さらなる努力を重ねるか、改善を図るか。正直に人に尋ねてみるか、孤独ではない、孤高の存在になっているのだと開き直るか。


 明確な原因がなくて落ち込んでいる時——どんな風に時を過ごせばいいだろう。


 無為にSNSを覗いたりもするだろうし、書き込みもするだろう。楽しくもないのにゲームに没頭しているふりをしたり、特に興味のないバラエティ番組を観て、すぐにチャンネルを変えるか、消してしまったり。


 私事わたくしごとになるが——自分の場合は書くことだ。本当に口に出せないこと、例えば罵詈雑言ばりぞうごんの類いなどは手書きの日記に書き殴るようにしている。大学二年生の頃から書き始めていたものだから、おかげで今は十冊を超えている。読み返すのが恐ろしい。




 世の中、一週間の中で一日も気分が沈まないという人はいないだろう。何かしらあって、それでも耐えている。酒を呑んで憂さを晴らしたり、美味しいものを気分よく食べたりする。


 ただ、そんな風に気分転換をするのが下手な人もいる。自分もそうだ。


 ひと口に「気分転換しよう」と思っても、うまくいかないことがある。むしろ、「気分転換を図る」ということ自体がノルマのように思えてくるのだ。読書をしても、映画を観ても、ゲームをしても、気分がすっきりしない。何か――やるべきことをやっていないような罪悪感を持つことさえある。


 そうなると厄介だ。


「気分転換をしようと思っても、うまくいかないんです」と人(できればカウンセラーが望ましい)に話せればいいが、「ただなんとなく、気分が落ち込む」程度では「人に話すほどのことじゃない」と思ってしまう人もいる。


「そういう日もあるよね」と、自己解決をするのだ。


もちろん、それは悪いことではないし、それで済むのなら結構なことだ。自己解決ができる人は、柳のように悪いことや悩ましいことをしんなりと受け止め、流し落とす。そして元の状態に戻る。




 ふと気分が落ち込む時というのは、得体の知れないものがじわじわと、心と体を侵食している状態に近い。一週間に一回程度ならまだいいが、定期的に発作のように起こるのなら、今すぐ相談をした方がいいかもしれない。




「なんの理由もないのに、ふと気分が落ち込んでくる」


 それは、あまり原因や理由を突き詰めない方がいいものかもしれない。つまり、考えすぎない方がいいのでは、の一言に集約されてしまうだろう。


 無責任な、と思うだろう。それでは嫌だ、今すぐこの沈んだ気持ちをどうにかしたい――と思うだろう。


 その気持ちは自分にもよくわかる。自分も常に求めている。寝れば大抵のことは脳が勝手に処理をしてくれるが、まだ寝るという時間でもないのに「そういう時」が来ると非常に困る。



 今すぐ気分が良くなる魔法なんてないが……もし、自分が人に勧めるとしたら日記をつけることだろう。


 毎日じゃなくていい。気分が落ち込んだ時だけでもいい。落ち込む暇もないぐらい、熱中していると言えるぐらい、手を動かすのがベターだ。


 最初は支離滅裂な文章になるだろうが、次第に自然と、整っていく。過去に書いたものを読み直し、恥ずかしくもなるだろうが——そこには「落ち込んでいる時の自分」がれっきと存在しているはずだ。落ち込んでない時の自分が読むことで、自分という人間を俯瞰して見られる。




 少し長くなってしまったので、今回はここまでにしておく。


 次回は未定だが、書いてしまった以上収まりが悪いので、とりあえず「気分が落ち込んだ時」をテーマに、もうちょっとだけ書こうと思う。

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